『百貨店資料館』は、日本百貨店協会に加盟する日本各地各店を巡った記録やフロアーガイド、印刷物などを展示しております。

 

百貨店は都市のランドマークであり、都市の品格、街の中心に立ちそこにあって当たり前の存在でした。

 

1995(平成七)年1月17日早朝に発生した阪神・淡路大震災によるそごう神戸店や大丸神戸店の被災、2000(平成一二)年7月12日そごうグループ22法人の民事再生法(多摩そごうは特別清算、木更津そごう、長野そごうは自己破産)を申請し事実上の倒産、また景気失速や消費動向の変化、競争激化による撤退や建替え、地方の過疎化による大量閉店時代を迎え、あって当たり前の景色が消えゆくようになりました。

 

その都市の記憶を残すため、各地の百貨店を訪れ外観写真やフロアーガイド、印刷物やショッパー(紙袋)などを残すことをはじめました。

 

ニュースなどと連動して、今日では懐かしい記憶の中にだけ残る光景、または近く懐かしくなるであろう光景などをご紹介いたします。

 

埼玉県春日部市を舞台とする漫画『クレヨンしんちゃん』に登場する“アクションデパート”のモデルが春日部市に立地する「ロビンソン百貨店春日部店」は、元々はイトーヨーカ堂系の百貨店です。

 

ちなみに劇中に登場するスーパーは、サトーココノカドーです。

 

2006年6月にセブン&アイHDがそごうと西武百貨店の持株会社であるミレニアムリテイリングを完全子会社化、2009年8月には株式会社西武百貨店とともに株式会社そごうに吸収合併され、株式会社そごう・西武に商号変更、翌2009年9月には株式会社ロビンソン百貨店は株式会社そごう・西武に吸収合併されましたが、称号は残されました。

 

ピーク時の96年2月期には709億円の売上高でしたが、その後は減少基調。また店舗は4店ありましたが、札幌、宇都宮は業績不振のため閉店。現在は1985年開店の埼玉・春日部店と1990年開店の神奈川・小田原店の2店体制となっています。両店とも黒字ですが、周辺SCとの競合などにより激しく収益が低迷しており、アパレルから衣料品が仕入れやすくし販売力のテコ入れを図ることなどを目的として、2013年3月1日に西武百貨店へと転換します。このためロビンソン百貨店の名は消滅してしまうことになりました。

 

ロビンソン百貨店春日部店

店舗面積27,000平米

売上143億円

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-ロビンソン百貨店春日部店 2008.09.02

2008年9月撮影


1985年に西武百貨店が出店することが決定していましたが、店舗建設中に契約を解除したため、ロビンソン・ジャパン(当時)を立ち上げたイトーヨーカ堂が引き受け開店した店舗です。このような経緯を考えると、少なからず西武百貨店と縁があったということでしょうか。

 

ロビンソン百貨店小田原店

店舗面積20,178平米

売上138億円(2012年2月期)

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-ロビンソン百貨店小田原店 2005.12.13

2005年12月撮影

ダイナシティWESTの核店舗として入居しています。ダイナシティEASTにはイトーヨーカドー小田原店が入居しています。東海道新幹線が店舗の敷地のすぐ南側を通過しているので、東京行に乗車の場合、小田原駅を通過後、酒匂川を渡った直後に進行方向左手の車窓から見えます。

 

撮影当時、どちら店内も一巡してみて感じる違和感。何がちがうんでしょうね?

 

それは、MD?接客?内装?

 

両店とも郊外店ではありますが、百貨店という雰囲気ではなくやはり少しお高いスーパーの雰囲気でした。

 

ロビンソン百貨店小田原店はTBSのドラマ「プリティガール」のロケに使用され、テレビモニターを通じて見たこともありますが、制作側が百貨店とスーパーの違いが解らない?と思われる点が多々有っあたり、リアリティを感じない演出などを感じた覚えがあります。

 

スーパー各社が百貨店のブランド力を求め、経営権を手に入れようとしたり、自前での展開を模索した時代がありました。

 

しかし、同じ流通小売業界(流通と小売は別という意見もあります)に属するとはいえ、経営方針や手法は水と油、また公家と野武士と例えられたように、相容れない者同士です。部分的な提携やスーパーによる自前での業態開発などが行われましたが、ほぼ全滅に等しいのではないでしょうか。

 

春日部、小田原市民のみなさんは、ロビンソンから西武への看板架け替えを歓迎でしょうか?それとも寂寥を感じるのでしょうか?

 

いずれにしても街の景色が変わり、この写真が懐かしいと感じる日が来るでしょうね。

 

参考資料

日本経済新聞