1947年6月24日、世界はUFOという概念と「空飛ぶ円盤」という言葉を手に入れました。
そのきっかけとなったのが、ケネス・アーノルド事件です。
この事件の当事者は実業家でパイロットのケネス・アーノルドで彼の証言が、その後のUFOブームを巻き起こすことになります。
◎事件の経緯:なぜ「空飛ぶ円盤」が生まれたのか?
事件は、アーノルドが自家用機でワシントン州のレーニア山付近を飛行中に起こりました。
彼は捜索活動中に、9機の奇妙な飛行物体が高速で編隊を組んで飛んでいるのを目撃しました。
重要なのは、彼が「円盤状」と表現したわけではないという点で、アーノルドは記者に対しその飛行物体が「水面を跳ねるコーヒー皿のように飛んでいた」と表現しました。
ところが、この比喩が報道で誤って伝わり、物体そのものが「空飛ぶ円盤(Flying Saucer)」であるというイメージが定着してしまったのです。
実際、アーノルドが後に描いたスケッチは、三角形に近い菱形のような形をしていました。
しかし、一度広まった「空飛ぶ円盤」という言葉は一人歩きし、以降、多くのUFO目撃談が円盤型で報告されるようになるという、興味深い現象が起きました。
これは、人間の認知や記憶が、先行する情報によっていかに影響されるかを示す、心理学的にも示唆に富んだ事例と言えるでしょう。
◎科学的分析:あれは一体何だったのか?
では、アーノルドが目撃したのは一体何だったのでしょうか? 科学的に考えられる可能性はいくつかあります。
1.異常気象現象: レーニア山の特殊な気象条件が、未解明の自然現象を引き起こした可能性。
2.軍事機密: 当時開発されていた新型の軍用機、例えば飛行翼(フライングウィング)のような試作機だった可能性。しかし、これほど高速な機体は当時の技術では考えにくいとされています。
3.錯覚や誤認: 彼の目に映ったものが、光の反射や鳥の群れなどの既知の物体を誤認した可能性もゼロではありません。
しかし、当時の報道は「軍事機密でも、気象現象でも、錯覚でもない」という結論に傾き、多くの人々がUFOの存在を信じるようになりました。
【切手になった歴史的瞬間】
1999年にタンザニアが発行した**「UFOの目撃シリーズ切手」**に、このアーノルド事件が描かれているのは、この事件がいかに世界的なインパクトを与えたかを物語っています。この切手は単なる記念品ではなく、現代UFO史の出発点を象徴する歴史的資料なのです。
UFOは今なお、科学的に説明のつかない未解明の現象として存在しアーノルド事件は、私たちが未知なるものとどう向き合うべきかを問いかける、興味深いケーススタディと言えるでしょう。
この切手を見つめながら、宇宙にはまだまだ私たちの知らないことがたくさんある、そんなロマンに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?


