医学アラカルト-21.タリウムによる毒殺- | 血液の鉄人の医学と切手のサイト

血液の鉄人の医学と切手のサイト

医学関係の仕事に携わっている傍ら長年収集した医学切手を使用して、医学関係の出来事を興味深くそしてわかり易く解説いたします。

タリウムは医療の基礎分野で利用されている一方極めて毒性が強く、摂取すると腹痛やおう吐のほか、めまいやけいれんなどの神経症状も出て、成人の場合、およそ1gで死に至ります。

水に溶けたものは味や臭いがないことから、飲み物に混ぜられると全く分かりません。

一昔前までは脱毛クリームや殺鼠剤等にも使われていましたが現在では使われていませんし、劇物として厳しく管理されていて簡単には購入できません。

にも関わらずタリウムを用いた事件は発生しています、以下にそれを列記しますと、

1.2005年、静岡県伊豆の国市の当時16歳の女子高校生が母親にタリウムなどを摂取させた。
 

2.2015年、当時、名古屋大学に通っていた女子学生が、高校2年生の時に仙台市で同級生2人にタリウムを飲ませていた。

3.2022年10月にタリウムを使用して女子大学生を殺害した事件が起きています。

ミステリーの女王アガサ・メアリ・クラリッサ・クリスティ(1890~ 1976)が1961年に発表した小説『蒼ざめた馬』でも毒殺に使う元素としてタリウムが登場しています。

アガサ・クリスティーは、1914年 アーチボルド・クリスティ大尉と結婚し、第一次世界大戦中には薬剤師の助手として勤務し、そこで毒薬の知識を得えその知識を活かして小説を書いたと思われます。


切手は1977年国連ジュネーブ発行の「原子力の平和利用切手」で、タリウムが描かれています。

タリウムという名の由来は、炎光スペクトルが緑色のため、ギリシャ語の「新緑の若々しい小枝(Thallos)」に由来しています。

 

 



切手は2006年マン島発行の「ナショナル ポートレート ギャラリー切手」の中の一枚で、新聞を読むアガサ・クリスティーが描かれています。