天然痘は、天然痘ウイルスを病原体とする感染症の一つで、古くから人類を苦しめてきた感染症です。
天然痘で死亡したと確認されている最古の例は紀元前1100年代に没したエジプト王朝のラムセス5世(紀元前1145~1141)で、彼のミイラには天然痘の痘痕が認められています。
天然痘ウイルスに感染すると、およそ12日間の潜伏期に経て急激な発熱や頭痛、悪寒が起こり、その2~3日後に豆粒状の丘疹が主に顔、腕、脚に出現し全身に広がっていきます。
天然痘の丘疹は、水痘の丘疹に似ていますが、天然痘の丘疹はすべて同じ形態で経過するのが特徴的です。
少し盛り上がった丘疹から水疱ができ、少し濁り膿疱になり、その後乾燥し、黒っぽいカサブタになり、カサブタが取れたところは皮膚の色が落ち、薄くなっていき、正常に戻るのに何週間もかかり、一生残る「あばた」が顔に残ることもあります。
※水痘の丘疹は小さく1~5mmですが、天然痘の丘疹は5~10mmと一様に大きくのが特徴です※
また、水痘の丘疹は普通手のひらや足の裏に出ませんが、天然痘の丘疹は普通手のひらや足の裏にも多く出来ます。
世界保健機関による天然痘根絶計画により1977年ソマリアにおける患者発生を最後に地球上から天然痘は消え去り、その後2年間の監視期間を経て、1980年5月世界保健機関は天然痘の世界根絶宣言を行いました。
天然痘は人類史上初めてにして、唯一根絶に成功した人類に有害な感染症です。
2021年現在にいたるまで患者の発生はみられませんが、今後はバイオテロなどに使用される危険性が指摘されています。
切手は1970年ギニア発行の「天然痘撲滅記念切手」で、黒人の少年の背中に生じた天然痘丘疹がリアルに描かれています。
天然痘が撲滅されてからこの様な天然痘の丘疹は、切手の中でしか見ることができなくなりました。
切手は1977年国連発行の「天然痘撲滅切手」で、天然痘ウイルスが描かれています。
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