切手の中の病-5.百日咳- | 血液の鉄人の医学と切手のサイト

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百日ぜきは「百日ぜき菌」によって引き起こされる呼吸器系の感染症で、熱は出ないケースが多く、長期間のせきが特徴で、1~2カ月続くこともあります。

百日ぜきになると以下のような特有な咳発作を起こします。

百日ぜきに特有な咳発作は、夜間の方が、昼間より多い特徴があります。

まず、「コンコンコンコン→ヒュー」と、特有な咳発作が見られ、息をはくときに、「コンコンコンコン」と数回連続して、長い間、咳き込む発作(staccato:スタッカート)を起こし、その後の息を吸い込むときに、「ヒュー」と笛声を発して、息を吸い込む発作(reprise:レプリーゼ)が見られるのが特徴です。

百日ぜきの咳は、コンコンと5~10回以上連続した咳の後に、咳の最後に息を吸うときに笛を吹くような「ヒュー」という音が出る独特のものです。 

インフルエンザと同様、くしゃみやせきなどによって感染することから、マスクや手洗い、うがいなどが感染防止に有効とされています。

成人が百日ぜきになっても重症化することは稀ですが、子供は肺炎や脳症など重い合併症を併発することがあり、過去10年で5人が死亡していることから、注意が必要な感染症です。

日本においての最近の感染者の増加の原因などは不明ですが、20歳以上の成人の感染が目立つのが特徴で、今年も成人が51.3%と過半数を占めています。

感染予防としては、予防策はワクチンですが、厚労省は予防接種法に基づく定期接種としてジフテリアと破傷風のワクチンを入れた三種混合(DPT)ワクチンを接種しており、十数年は効果があるとされていますが、子供の頃に受けた予防接種の効き目が無くなり、感染しているとも考えられています。

母親からの免疫が期待できないために乳児がかかりやすく、重症化しやすい傾向にあります。

また、死亡者の大半を乳児が占めています。

成人でもかかることがありますが、これは小児期に受けた百日ぜきワクチンの効果が歳とともに弱くなり感染すると考えられます。

切手は1988年エチオピア発行の「予防接種切手」で、百日ぜきの予防接種と百日ぜきに感染して苦しむ子供が描かれています。