こんにちは!

 

さて、

救急外来に着きました。

 

私とマリオさんのミッションは、

 

救急外来に着いたら、

私は受付に行って、

チェックインと事情説明。

 

マリオさんは車いすを貰って、

彼を移動する。

 

 

夫ひとりを車に残して

車から降り、

 

二人手分けして

打ち合わせ通り

ことを進めようと

動き始めました。

 

 

下矢印気持ち的にはこんな感じですが、

実際はパジャマにセッタでした。

 

下矢印これでもまだ美化されてる。

3時から寝てない、食べてない、心配MAX。

 

マスクを装着し、

保健カードを握りしめ、

受付へと向かいました。

 

私)私の夫が病気です!!

昨日から・・・

 

受付嬢)名前は?

 

私)あ、OOです。

 

受付嬢)スペルは?

 

私)あ、ティー、オー、

 

受付嬢)保健カード見せて?

 

私)ここです!!

(ちょっと汗ばんでますけど!)

 

受付嬢)カードをココにくっつけて見せて。

 

 

 

今はコロナの影響で、

カードを提出する窓口が

ふさがれています。

 

その代わりに、

クリアボードに

赤テープが四角く

貼られていました。

 

 

受付嬢は、

ボールペンの先で

「ここよ。」とばかりに

内側からコンコンと叩いてみせました。

 

名前と保険番号か載ってる面を確認して、

保健カードをクリアボードに

バシッとくっつけました。

 

それを見ながら夫の情報を入力すると

夫のページが出たのでしょう。

 

受付嬢) OK. ナースがもうすぐ来ます。

 

 

心の声) こ、この人、愛想悪いな。

私、用意してたこと

ひとつも言ってないんやけど・・・。

 

 

と、思いましたが、

ココはアメリカの救急外来。

 

きっと、

数多くの

対応しきれない患者さんを

日々目の当たりにして

出来上がった対応策なのだろうな。

 

そう、

職場での私のように。

 

 

同志よ・・・キラキラ

 

 

殺気立ってた心を入れ替えて、

優しい視線を彼女に送りました。

 

 

彼女、すでに事務作業に取り掛かってたけどね。

 

 

 

そうこうしているうちに

夫がマリオさんの押す車いすに押されて

救急外来にやってきました。

(マリオ、ありがとう!)

 

マリオ)先生に説明した?

 

私) まだ。

 

マリオさんは、サッと受付まで行って、

 

マリオ)ハロー。(夫の名前)本人はここにいます。

彼の妻はレジスタードナース。

何が起こったか全て説明できます。

 

受付嬢) OK. ナースがもうすぐ来ます。

 

ニコリともせず言うと、

手首につけるIDバンドを手渡して

 

受付嬢)これを彼の手首につけてください。

 

 

夫の手首にIDバンドをつけながら、

ナースに伝えるべきことを

 

もう一度

時系列にまとめて、

頭の中で反復していました。

 

  1. 昨日の失語のエピソード、
  2. CT、
  3. 医師と連絡とっていること、
  4. 吐いた回数と内容物。
  5. ふらつきの症状。
 
そうこうしているうちに、
一人の患者さんが
ナースと一緒に
中から出てきました。

 

ナースがその患者さんに

お薬を渡して

その患者さんが出ていくと、

 

夫の向かって

 

ナース)ハロー、(夫の名前)ですね?

スグに戻ってきます。

 

夫)OK. ここで待ってます。動けないしね、ハハハ。

 

 

朝の3時からゲーゲー吐いていた夫。

 

バランス感覚を失い、

座位保持、立位保持が出来ない夫。

 

さっきまで車の後部座席で

吐き気と戦っていた夫。

 

 

車いす上で冗談言ってる・・・。

 

 

下矢印隣に立つ妻はこんなんやけど。

 

 

スグに同じナースが戻ってきて自己紹介をしました。

 

私はすかさず、身を乗り出して、

 

私)昨日、彼は失語の症状があって、

CTを取り・・・。

 

ナース)この病院で?

 

私)ハイ。

 

ナース)じゃぁ、記録を確認します。

彼はしゃべれますよね?

 

夫)イエス。

 

ナース)では、話は彼から聞きます。

コロナで付き添いの人も中には入れないので、

ここで失礼します。

 

ナースは、夫の車いすを押して

足早に中に消えていきました。

 

 

待合室と救急外来の間の壁は

大きなクリアボードになっていて、

 

中に入っていった夫を

ずっと見ていたのですが、

 

夫はナースに

車いすを押されて

まっすぐ個室に入っていったので、

 

コチラを振り向くことも無く、

個室に消えていく背中を

目で見送ることしかできませんでした。

 

 

またね。の一言も言っていない。

 

てか、

 

わたし、用意していた内容

何一つ言ってない。

 

 

 

夫の無事を念仏のように

ただただ祈っていると、

 

 

受付嬢)あなたたちは、外で待っていてください。

        (You have to wait outside.) 

 

マリオ)どういう意味ですか?

 

受付嬢)車があるなら車で。

コロナの影響で、患者本人以外は

ここにはいてはいけないのです。

 

マリオ)どれくらい外で待つのですか?

 

受付嬢)分かりませんが、2時間くらい?

 

マリオ)私たちが家に戻って

連絡を待つことは出来ますか?

 

受付嬢)オー、イエス。

 

マリオ)彼の妻の番号は知っていますか?

 

受付嬢)ちょっと見るわね。Michi?あーあります。

 

マリオ)迎えが必要になったら電話してきてください。

 

受付嬢)OK.

 

 

実は、マリオさんは

別の病院の事務の仕事をしていました。

(定年退職したて)

 

帰りの車では、

受付嬢のカスタマーサービスがなっとらん!

と怒っていました。

 

マリオ)外で待てってテイクアウト待つのと訳が違うだろ!

擦り傷を消毒して終わるような事態じゃないんだから、

ちゃんと連絡先を確認して、

連絡すると説明しなきゃ。

僕の部下があんな対応したら、絶対指導する!

 

 

家に着くまで

15分くらいなのですが、

 

マリオさんの

今日の受付嬢の

カスタマーサービスに対する苦情と、

 

退院の連絡が来たら、

何の検査をして、結果はどうだったか、

必要な検査は全部したのか、

なぜ家に帰っても大丈夫だと判断したのか

 

しっかり

 

聞きなさいよ!!

 

そして、

もし、おかしいな?って思うことがあれば、

 

そんな状態では

退院を受け入れられません。

 

 

って、言うんだよ!

 

 

という

強いアドバイスで終わりました。

 

 

マリオさんと一緒じゃなかったら、

歩けない夫を一人で

救急外来まで連れて行って、

 

夫が救急外来の中に入ったら、

一人ボッチで帰宅して、

 

次すべきことに迷って、

 

心配マックスになって、

 

そんな自分を受け入れるのが辛くて、

 

全部、

あの、

愛想の悪い

受付嬢のせいにしていたでしょう。

 

 

自分、ちっせ。

 

 

マリオさんには、

感謝しかありません。

 

 

つづく。