今月2回目のWヘッダーは私でも初めてのプロウィンドオケの2連発~TKWO&SWOとなりました
東京佼成ウィンドオーケストラ 第144回定期演奏会
Cond:大井剛史 BassBr:久保和範 2019年6月15日 東京芸術劇場コンサートホール
【第1部】
鳳凰が舞う-印象、京都 石庭 金閣寺 (真島俊夫)
壁《ベトナムで戦った人たちの想い出》 (R.E.ジェイガー)
トーンプレロマス55 (黛 敏郎)
【第2部】
シンフォニック・レクイエム (V.ネリベル)
第1楽章:プレアンブルム 第2楽章:モテット 第3楽章:パッサカリア 第4楽章:カンタータ
大井さんの気合の入った選曲で、壁と55は初めてのライブ演奏でしたが超重量級の曲にわお~
1曲目は亡き真島さんの代表作で吉兆の証である鳳凰が時空を越えて和洋折衷の世界を展開
TKWOもよく情景を表わして(真島さん曰く標題音楽ではないとのこと)クライマックスでは、シンシンと
降りしきる白雪のなかにみなさんご存知の金閣寺が燦然と佇む美しい和の世界が出現~Good
生誕70歳の真島さんに続いて2曲目は生誕80歳のジェーガー作品~昭和おじさんの私は初期作品の
豪華絢爛さにシビレタひとりですが(金管族が泣いて喜ぶ作風)今回はちょっと重たい作品です
タイトルの「壁」とはベトナム戦争戦没者慰霊碑のことで、いろいろな映画の題材にもなった現代戦の悲惨
さを戦死者の叫びだけでなく、奇しくも生還した者たちの憤怒・錯乱・悲痛までも慰霊碑から聴きとり、その
惨禍を表象するA.Saxの長大なsoloから始まり、いろいろなリズムや強弱で錯綜する魂を音楽にこめて演奏され、少なからず日本もかかわったベトナム戦争の慰霊碑に刻まれた5万8千人の兵士に捧げられました
前半最後は生誕90年の黛さん作品前衛音楽の開拓者として26歳のときに作曲されたものですが、
これはもう実際に聴いてもらうしかないミュージカル・ソウ(演奏用ノコギリを弦で奏する)ありサイレン
あり(甲子園を連想しました)途中ではビッグバンド編成によるマンボの演奏(戦後日本の表象)を
模した箇所もあり伝統的音楽の破壊といったところでしょうか
メインは生誕100年のヴァーツラフ・ネリベルのレクイエム詳細は省略しますがナチス・ドイツの祖国
チェコ併合やドイツ軍の進駐後の弾圧を潜り抜けソ連軍によるチェコ開放と共産化からスイスを経て
最終的にアメリカへ移住後に彼は吹奏楽に覚醒し我々に素晴らしい作品を残してくれた作曲家ですね
ご存知のように伝統的なレクイエムは典礼文の構成はほぼ決まっているので後は作者がどの文に対し
曲をつけるかということですが、典礼文ではなく6世紀の詩人ヴェナンティウス・フォルトゥナトゥスによる
ラテン語詩による独唱となっていますただし1~3楽章にはDies iræのモチーフが使われています
第1楽章前奏曲で怒りの日(Dies iræ)の最初の4音から主題が構築され、第2楽章はWリード&Saxによる
セクション演奏、第3楽章は金管&Perによるパッサカリア(17世紀伊では歌の前奏)そして終楽章
Tp&Tbはステージ・オフとの作者指定のとおり上手舞台裏で吹奏~久保さんがBr独唱をスタート
正直心に迫るものはありませんでした(自席はいつもの会員席2F中央2列目)う~ん吹奏楽と独唱は
なかなか構成自体も難しいか現世と死後の世界の対比を追及する終楽章は幽玄の世界ですかね
今回堂々と吹奏楽の大曲に真正面から取り組む(独唱をsolo楽器に置き換え多し)その姿勢アッパレ
来シーズンは変則3公演となりますが今後も充実したコンサートを期待していますよろしくです