東京に在住時代には名曲耳タコの代名詞のひとつであるドヴォ9は、自動的にパスする演目のひとつでしたが、九州に戻ってからは演奏会の絶対数が少ないので、今回久しぶりに聴いてきました
そしてここのところピアノリサイタルやピアコンが続いていたので、Vn協しかもドヴォ協なのでそれはそれでGoodでした
曇天で蒸し蒸し
2024年7月7日
アクロス福岡シンフォニーホール
プラハ放送交響楽団
来日公演2024
Cond:P.ポペルカ
Vn:三浦文彰
1732年製グァルネリ・デル・ジェス《カストン》
【第1部】
連作交響詩「我が祖国」から
第2曲《ヴルタヴァ》(B.スメタナ)
ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.53
(A.ドボルザーク)
第1楽章 Allegro ma non troppo
第2楽章 Adagio ma non troppo
第3楽章 Finale: Allegro giocoso ma non troppo
【第2部】
交響曲第9番 ホ短調 Op.95 B.178
《新世界より》(A.ドボルザーク)
第1楽章 Adagio - Allegro molto
第2楽章 Largo
第3楽章 Molto Vivace
第4楽章 Allegro con Fuoco
前半配置
まずはヴルダヴァ(モルダウ)ですが、定演や名曲など2コース以上会員へのサンクスコンサート(クローズコンサート)で九響の演奏で聴きましたが、それはそれで美麗な演奏ではあったものの判定はやはり今回のPRSOに軍配
これまでもチェコフィルを筆頭に東欧系・旧東ドイツ系のオケもいろいろ聴いてきましたが、現代のワールドワイドなオケメンバーの多国籍軍にしても、伝統なのかサウンドは独自
ヴルダヴァはまさにチェコのオケにとって自家薬籠中の曲で、最初の源流のせせらぎを現わすFlのパッセージが始まると、おお~本物だあと私のアンテナがピピ
指揮者のポペルカさんは、2022年8月20日東響第702回定演で代役で急遽来日したにもかかわらず日本にも新風を巻き起こした、マケラとともにヨーロッパで活躍する新進気鋭の次世代指揮者ですね(2024~ウィーン響首席指揮者就任)
東響も定期会員でしたが帰郷で入れ替わりだったので今回はよい機会でしたが、確かにそのグリップと構築は確かで、細かく隅々までキューを出す指揮法は賛否があるかもしれませんが、私は紡ぎ出される音楽が素晴らしければそれで良し
来日メンバーは絞られているはずでフルメンバーではない少数精鋭(特に金管)だからか、サウンドの厚みにはやや物足りなさもあったものの、最初から十分満足はできました
ポペルカさん
三浦くん結婚して幸せ太り
ドヴォVn協第1楽章
ブラームスとの親交が深かったヨーゼフ・ヨアヒムに献呈されたこの曲は、結局ヨアヒムが演奏することはありませんでしたが、協奏曲といえばという曲のひとつドヴォコンはVcコンチェルトを指しますが、Vc協もなかなか演奏はされないもののドヴォらしいメロに溢れた楽曲
第1楽章冒頭の短いTuttiからドヴォらしい叙情性豊かな旋律をsoloVnが奏でてスタートしますが、三浦くんのツカミはまずまずで20歳ごろから聴いてきた彼の演奏スタイルもますます磨きがかかったよう
グァルネリ・デル・ジェスの鳴りも十分で(自席2F最前列ソリスト真正面)、抑揚やアーティキュレーションも問題ないものでした
ドヴォVn協第2楽章
第2楽章は第1楽章とは対照的に静謐ななか独奏Vnが切々と心情を紡ぐような、アレグロ・マ・ノン・トロッポのゆっくりとしたテンポのなか、音符は細かい動きながらアクまで優美さエレガントさを出しながら、オケの伴奏をふわりと纏い音楽が流れていきました
第2楽章終盤と第3楽章冒頭
第3楽章は独奏Vnのソロで軽快に始まりますが、いかにもボヘミア地方を思わせる民族色豊かな舞曲風の展開を見せます~第2楽章との対比が明確でより煌びやかに感じました
ドヴォVn協最終楽章中間部
特にそう感じるのがKからの主題以降で、この後に細かい装飾を加えて変奏していきNからのTempⅠで、主題への回帰から華やかさを増してp~ffの強弱を付けながらコーダへと突入し、ラスト15小節の追い込みは見事でした~ブラヴォウ
三浦くんの演奏はしっかりと堅確なテクをベースにしっかりとこの曲を弾き込んでいましたが、若干好き嫌いが分かれる部分もあったのかなあ~会場の反応も分かれているようでした
第1楽章
ドヴォ9に関しては各楽章の主題の提示が明確で立派なのですが、なんだか昔の全日本吹奏楽コンクールの課題曲の見本演奏CDを聴いているような感じでした良くも悪くも・・・
例えば第1楽章冒頭のHrもきっちりと決めて文句はなし、と言う具合に要所要所が確実に決まっており、特に後半1stHrが男性に交替しましたがTp&Tbよりも断然上手かった
第2楽章
第2楽章のE.Hrの日本でも超有名な家路のテーマも、切々と情感を込めて歌っていました
第3楽章
第3楽章のスケルツォはダイナミックレンジもしっかり確保しながら軽快さも失わず、弦部の激しい動きに呼応して入るHrの下降もしっかりとしたffが明確でSO~GOOD
第4楽章
冒頭からずっと気になっていたのがTp・Tbで、第4楽章の有名な主題の強奏してもあまり音がパートとして飛んでこず、1stTpだけが突出して聴こえていました(2edとのバランスの問題)
ケチを付けるとすればそれぐらいで、逆に他はほぼ完璧で秀演ではあったものの、私はなぜがこのドヴォ9で感動したことがないのは相性の悪さか~有名曲過ぎて耳タコ
まあともかくポペルカさんは今後とも注目したいと思いますそして遙々来日してくれたオケのメンバー・スタッフの皆さまお疲れ様でした
またね
終演
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