「ハイヌヴェレと竜」


昔 竜を飼って居た 

虹色の鱗の有る美しい竜だった 

或る時 竜が居なくなった 

僕は 泣いて泣いて 探しに行った 

何処と言う当ても無く 

唯ひたすらに 

竜の面影を求めて 

霧煙る山の彼方にも居ない

たゆたう海の更なる底近くにも居ない 

谺に聞き 

太古の化石の言霊に聞き 

あらゆる町の裏に潜む

怪しげな占い師に聞き 

其れでもダメで 

疲れて路地の隅に蹲って居た 

そんな時 

彼女が声を掛けて呉れた 

彼女の名はハイヌヴェレ 

竜を知って居ると言う

僕は付いて行った 

彼女に導かれるままに 

そして知った 

彼女こそ 僕が探し求めて居た竜だと・・・


昔 竜を飼って居た 

竜は今や僕の傍を片時も離れない 

昔 竜の首に付けて居た首輪は

彼女の細い指に煌めく

約束の指輪に変わり

僕の指にも燦然と輝く

愛の証のリングに姿を変えて居る


昔 昔の 物語・・・
16:41 2010/06/30


ペタしてね


言葉は、何の前触れも無く、突然に現れる事が有ります。
良い曲を聴いた時、何かの物語の一部をかいつまんで見た時。
何の理由も無く、今まで書きためて取ってある物語の続きと言う訳でも無く、
新しく違う物語として浮かぶ事が有ります。そんな時は、ためらわずに書いてやります。
この詩も、そんな風にして浮かんだ仲間。訳も無く、悲しくて、穏やかになりたいと思った時の、
自然に思いつくままに出してあげた詩です。自分でも何故こう書いたのか分かりませんが・・・

読んで頂ければ幸いですm(__)m