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Sand Rose

サンドローズ:砂漠に咲く薔薇

足元が見えなくなった。

何の疑いさえも抱かないままに
歩み辿った道は
影すら残さずに

帰る家を無くした、子供の様に
途方に暮れて、答えを探す力さえも無くして

あの光に彩られた街が恋しくて堪らないのは
ねえ、ただ懐かしい、それだけなんだろうか

帰りたいと、何度口にしただろう
帰りたいその場所さえ
どこか知りもしないくせに

本当はね、寂しいんだと思う。
帰りたい、帰れない景色に恋焦がれるのは
私が其処に居ないから

そして、此処が、私の帰る場所じゃないと感じているから。

だけど、どこに行けばいい?
少しずつ作られた景色なのかな
夜空を彩る星たちよりも
艶やかに瞬く地上の星たちは

いつだってどこに居ても
そんな光に魅せられて
心の中を照らされるような

この夜の綺麗な景色に憧れるのは
手を伸ばせども届かない
何か、を求めて、 
だけど手に入らないことを
知っているから?

地上を彩るこの星のどこかに
貴方は居るんだろうか

欲しいと、いやただ近くに居れたらと
願う貴方の姿を
この光の洪水に、霞ませたまま、いつだって
近いと、会わないのは
いつだって会える、安心感からなのかな。

一度遠くなってしまうと
会いたくても、会えないのに。

会いたいと、願うのは

きっと、会えないと、知っているから。
遠い遠い過去の
辿ったかも知れない未来を
想っては焦がれ
心を乱す夜も良いかもしれない。

もしも。

貴女が此処に、私の隣に居たのなら。
貴方が此処で、私の腕の中に居たのなら。
私が此処で、あなたの腕に抱かれていたなら。

私は今、笑っているだろうか?

沢山の笑顔と涙が心を乱すけど

こんな夜があっても良いかもしれない。

少しだけ、あと少しだけ
私に夢を語ってください。
繰り返す毎日に
自分の存在を見つけられない。

いつか見つけ出した
簡単な存在理由に
縋り付いてでも
証明して欲しくなる。

だって、どこにも居ないでしょう。
そこにも、私は、ほら、居ない。

光の消えたこの街に
惹かれた理由は分かってる。
あなたにも。

儚い希望だったけど
少ない数の中なら
特別になれると思ってた。

特別だったと、信じてた。

永遠に眠っていられれば良いのに。

優しい夢だけど心に抱いて

目覚めることの無い夢を

貪り続けられたなら。
少しずつ少しずつだけど
前に進もうと思っただけなのに
前に進んでると思っていたのは私だけなんだろうか。

あの場所よりも遠く遠くに進んできたはずなのに
また、すぐ其処に貴方の背中が見えたりして。

未練や後悔や思い出に足を捕られながらも
どんなに醜くたって良い
匍匐前進ででも前に進もうとしたのに
ふとした瞬間に、前を行く、貴方が見えるよ。

どうしてだろう。

貴方のお気に入りの秘密の場所や
貴方の語った物語や
私に希望をくれた甘い甘い幻想の夢。

未だに少し、夢見てる。

私は貴方の心に居ないのに
私は貴方の傍に居ないのに

今だって手を伸ばして
この腕の中に貴方を感じられたらと
願って止まない夜がある。

前になんて進めない。

心はいつか貴方と歩いた夜に
忘れてしまったみたい。

遠い遠い昔の夢に心は捕えさせたままでも良いかな。

いつか小さな黒い猫と歩む道が見えるまで。
ピンクの空が、少し、恋しい。

見慣れた空が
見上げれば包むように
優しく佇むあの空が。

一人で、天井を眺めて
眠る夜が
寂しくなかった訳じゃない、だけど

少し、恋しい。

空の見えないこの部屋で
星さえ、月さえ見えないこの空で
眠る夜は、静かだよ、だけど

時には街の音が
静かに包む明かりが
欲しくなったりもする。

ピンクの空が、少し、恋しい。

不思議な色に染まる空を
ぼんやりと眺めながら
朽ちた窓枠を通して
もう一度見てみたい。

この気持ちが
遠い遠い思い出に変わる前に。
不意を突かれて。

そんな気紛れさが
いつだって愛しかった。

手を伸ばすことに いつだって躊躇して
躊躇して尚、衝動に負ける相手は
いつだって気紛れな貴方

狂おしいほどに愛しい気紛れさと我侭

強く見せる弱さと脆さ

愛を乞う古傷と仮面。

判らないよ。
どうしても判らない。

愛しているのに
愛し合っているのに離れなくちゃいけない理由。

大好きだよって、心の底から言えるなら
愛してるよって、伝え合えば良い。
ただそれだけの筈なのに

だけど、そういえば、遠い遠い昔
愛しい思い出の中で
愛だけじゃ一緒に居られないって
言ったのは私。

愛してる、って
お互いに聴こえないところで違う誰かに伝えて
涙する
愛しい貴女と君を
見ているのが今は辛くて

だから言える言葉なのかもしれない。

誰かを愛する方法なんて
遠い昔に忘れた。

愛が遠い。

愛って、何だっけ。

だって貴方は、もうここに居ない。