映画美術と言っても色々な分野があります

セットの設計を司る美術監督(デザイナー)、その仕事を補佐する助手

図面に基ずきセットを建上げる大道具の棟りょう、その下で働く助手(大工)の人達、張りや(経じ師)、塗や、背景(絵師)等等

出来上がったセットに飾り付けをする小道具装飾、劇中で必要な小道具係り、

衣装部方も美術の範疇に入ります。


今回は余リ表にでてくる事の無いしかもとても大切な仕事をしている大道具の中の背景を担当する人達を紹介することにします。

撮影所の中のセットを造る空間をステージと言っていますが,何物も置かれていない空間の壁面四方の面にシートがぶら下がっています、これをホリゾントと言います、このホリゾントは一種のキャンバスであり、この存在によって窓外の風景であったり森の向こうの空であったり、遠景を造る大切な部分になります、

この仕事をこなすためには大変難しい技術が必要の為大抵美術学校出身で画家をあきらめるか、画家を続ける為にこの仕事を選ぶ人が多いようでした。


スタジオの中独特の臭いはこのホリゾントに吹きつける膠で溶いた泥絵具のせいです。夏場になりますと膠が腐食し発酵するためとても臭いものです

背景さんの仕事は先ず夜半になってから始まります、装飾係りと共に夜なべ

仕事です,通称八百屋(ヤオヤ)と言われる技術は其の最たるものですが奥行

きを出す為に一定の場所から突然地面が斜めに立ち上がりホリゾントに向かって登ってゆきます、その変形の中パース技術を使って奥行きを出すのです、

ちなみに八百屋とは店先に並べられた野菜箱が斜めに立ち上がってお客の眼に野菜が見える様に展示した状態を指したものなのです。  (続く)