600ページほどだからすぐ読み終わるつもりでいたのにかなり日にちがかかってしまった。滝汗 翻訳本は上下二巻だからそこそこの長編小説になるのかな。キングの1200p超えの本と比べてしまってサクッと終わると勘違いしたわ。爆  笑

 

読書は細切れだとのるのが難しい。ラスト200pはまとまった時間がとれたので3日でいけた。のってしまえば先が気になるので一気に進んで気分よくフィニッシュ。照れ

 

 

舞台はスコットランドの自然あふれる地方、年代は多分1990年代ではないだろうか。ステイントン家の娘のために9月に催されるダンスパーティーの招待客の当日までの日常が描かれている。主となる人物たちは地主のバルメリノ家とその友人家族エアード家の人々だ。アーチー・バルメリノとエドモンド・エアードは昔とても親しかったのだがよそよそしい感じになってしまっている。アーチーの妹パンドラは18歳で家を出てそこから数十年帰郷していないが、パーティーに出席することになった。

 

登場人物の数はかなり多い。どの人もきめ細かに書き込まれていて、よく知っている人のような気がする。唯一エドモンドだけがつかみどころがない。感情を表に出さない人物設定ではあるが、妻ヴァージニアの最愛の夫であるのに魅力をあまり感じない。ヴァージニアはアメリカ人でエドモンドの後妻になる。亡くなった前妻との子どもアレクサと実子ヘンリーの母親だ。

 

エドモンドの母ヴィ(ヴァイオレット)、エドモンドの娘アレクサが魅力的なキャラクターだ。彼女たちの住まいがどちらも素敵。特にアレクサの母方の祖母から譲り受けたロンドンの住居がいい。リッチで品がある室内はとても魅力的だ。そんなところに住んでみたいものだわ。デレデレ

 

文章は上品で心地よい。知らない単語はたくさんあったがこの小説はほとんど辞書を引かなかった。多読で培ったスルー力(りょく)と脳内映像の助けを借りて読み進んだ。

 

お話のキーパーソンはパンドラなのだろう。両親の葬儀にも帰郷しなかったパンドラはなぜ帰ってきたのか。パーティーが終わった後パンドラはどうするのか。彼女の行動ゆえに周りの人々は結びつき、許し、和解する。

 

心安らぐものを読みたいと選んだ本だったが、思いのほか深い読後感となった。

 

スコットランドにいたわけではないが、その時代を知っているので読んでいて郷愁を感じる。携帯電話もパソコンも出てこない。若い人が読んだら、昔々私が赤毛のアンシリーズを読んだ時のような古き良き時代を感じるのではなかろうか。(笑)