還暦雑言+4である。

何事にも常に準備は怠らないでいたいのである。

いつどんな形で役に立つかわからないのである。

筆者の父の従兄、と言っても父より20歳以上年上の人だったのだが、お医者さんだった。

戦前の医学専門学校を卒業した人。
森鴎外の世代の先生方が、一番高齢の教授陣の頃である。

なので、ドイツ語を学んだのだそうである。
しかしながら、実人生では、全く使うことなく、50年以上経ったのだそうだ。
功成り名遂げて、オーストリアのザルツブルグにご夫婦で旅行に行ったときのこと。
ホテルのフロントで、50年前に学んだドイツ語で話をしたのだそうだ。

覚えて話せるのも、考えてみればすごいことである。
そして、見事に通じたのである。

奥さんは、大変に喜んだのだそうである。

学問は、一生の間に使うことはないことも多い。
でも、いつ何時、どんな形で、どのように使うことになるのかは、全くわからない。

ただ、学んだことが、その時に使えることによって、
その人の人生がより豊かに良くなること、とんでもなく悲惨な状況からより悪くなることがく無くなることがあり得そうである。

そんなときがあるとも言えないし、絶対にないとも言えない。

なので、いろいろなことを学び準備しておくことは、必要だなあ、と感じているのである。

64歳になっても、その準備だけはしていたいのである。