家族の歴史、映画館編である。

京成立石駅の北側に、「立石東映」と言う映画館があった。
筆者の記憶では、夏休み等の前に、小学校に「東映まんがまつり」の無料招待券を配ってくれていたのである。
1968年の夏休みにも券が来た。
当時、筆者は小学3年生。
担任の麻生はる先生からこの券をもらい、夏休みに見に行った記憶がある。
メインは「太陽の王子 ホルスの大冒険」。
併映は、「魔法使いサリー」と「ゲゲゲの鬼太郎」と「ウルトラセブン」である。

たくさんの子どもたちが、映画館の中に溢れ、舞台の上にも子どもが登っていた。
そうそう、休憩時間中に「鬼太郎のナイナイ音頭」がかかっていたのを記憶している。
熊倉一雄さんの「もてないきたないあいそうもない」というあの歌は、この休憩時間中に覚えたのであった。
数学の方程式でも覚えておけばよかったのに、とちょっと残念に思っているのである。

そう、「ホルス」は、よく分からなかった。

ただ、半分沈んだ廃船の上でヒルダが歌を歌うシーン(あのうえで遊びたかった)。


それから、戦闘シーンの始まり。
村から逃げ出そうと舟を出す大人たちに向かって、小さな女の子が「逃げて、どこへ行くの」と問うシーンは憶えていた。
高畑勲監督の努力の結晶は、小学三年生にはまだ響かなかったのである。

それから次の1969年3月の春休みの時は「長靴をはいた猫」であった。
こちらも、春休みの前に、無料招待券が教室に回ってきた。
併映は「怪物くん 砂魔人をやっつけろの巻 怪物くんとハニワ怪神の巻」・「ひみつのアッコちゃん サーカス団がやってきた」・「チャコとケンちゃん」・「ひとりぼっち」であったが、全く記憶にない。

これは、面白かった。
「びっくりしたニャ、びっくりしたニャ、びっくりしたびっくりしたびっくりしたニャーオン」という歌い出しのテーマソングは、映画館の帰りに歌って帰ってきた記憶がある。
宮崎駿の場面設定と世界観は、当時の小学三年生の心をつかんでいたようだ。

さて、この後、この映画館に行った記憶はない。
「消えた映画館の記憶」と言うサイトを参照した(参考にさせていただきました)。
立石東映は、開館年は1952年。
1969年頃に廃止となっているのである。

跡地は、ボーリング場になってしまった。
確か二階建てだったかな。

しかしながら、このボーリングブームも台風より早く駆け抜けて、あっという間に廃業してしまった。
その後、かなり長い間、「葛飾区立石地区センター」として使われているのである。