東京回想、文学編。

隅田川の流域にある文学歴史美術系のネタを拾いながらほぼ2Kmずつ進んでいくという記述である。

隅田川左岸(東岸)の第10回目。
総武線橋梁あたりから下って行くのである。

箇条書きで短く書く。

・百本杭。
総武線の鉄橋あたりの左岸一帯は、荒川開削以前は「百本杭」と呼ばれていたようだ。
荒川分流以前の隅田川の激しい流れを緩やかにするため、このあたりには、たくさんの木の杭が撃ち込まれていたのだそうだ。
芥川の小説やエッセイの中にも出てくる場所である。

・ももんじや
両国橋の東詰の袂に、「ももんじや」という今でいえばジビエ料理店がある。
値段を確認したら、コース料理で一万円行かないので、人生で一度は行ってみたいのである。
以前は、玄関先にイノシシを吊るしてあったような気がしたけれど、筆者の記憶違いか。

・竪川と竪川水門。
両国橋から250mほど下ると、竪川の水門が見える。
真上には、首都高速7号線が通る場所である。
大横川までは船が通えるようだ。

・安宅丸係留地跡。
新大橋東詰にある新大橋永谷マンションは、かつて江戸幕府作った軍船形式の御座船「安宅丸」が係留されていた場所である。
1934年頃作られた全長約50m、幅約16mの当時としては巨大な船である。
その後、この場所に係留され、1650年と1662年に修理されている。
1682年に解体されているのだそうだ。
つまり、建造後50年近く存在していたようである。
このマンションがあった場所は、その船を係留していたところで、記念碑が建っている。

・芭蕉記念館と芭蕉庵史跡展望庭園。
新大橋から200mほど下ると、芭蕉記念館がある。
俳人・松尾芭蕉の記念館で、興味のある方はいかれると勉強になる。
またこの記念館から250mほど下流の小名木川との合流点に、芭蕉庵史跡展望庭園がある。
芭蕉さんが住んでいた場所でもあり、彼の像が建てられている。
その場に行くと、彼の感じていた日の光や風を感じられそうだ。

・小名木川。
この庭園のすぐ脇が小名木川。
現在でも、東西に船が通れる運河である。
昔の首都高速7号線で、千葉方面への水運に使われていた運河。
葛飾北斎の「富嶽三十六景 深川万年橋下」は、小名木川の上から万年橋の橋脚の間に見える富士山を描いたもの。
今、同じアングルからは見えない。

この先、清洲橋を越えたあたりでだいたい2Km。
続きはまた次回である。