大きなハローワークで受付の仕事をしていた時のこと。

失業給付を受けに来たか何かのヨーロッパ系の男性青年がいた。
やたら英語だけで喋り、傲慢な態度を取っていた。

たぶん、第二次大戦後にできた言葉、「不良外人」という表現がぴったりの男性であった。
(具体的な事例を言えば映画「モスラ」に登場する悪役、クラークネルソン(演:ジェリー伊藤)を思い出して。)
そうやって相手が怯んでいるうちに、自分の都合の良い条件でいろいろなことを進めていこうと考えていたようだ。

喋っている言葉は英語。
こちらも一瞬考えたが、「Please show me the document.」と言ってみた。

グダグダ言い続けるので、同じ言葉を返していたら、相手もこの手は通じないと考えたらしい。
「すいません。赤い線と方向に行けばいいんですか。」と日本語で尋ねてきた。

彼は日本語ペラペラの本家本元の「不良外人」で、それも立場が弱くなるとすぐに弱気になる一番情けない人物だったのである。

「ああ、これではどんな場所に行っても、出世はできない人だな」とかん゛ながら案内をしたのである。