BSテレ東で「昭和は輝いていた」の再放送が流れていた。
中村メイコさんの追悼特集である。

もう、この番組と「徹子の部屋」くらいでしか、このあたりの世代の人の追悼はしてくれないのである。

戦地の慰問団の話を中心にした構成であった。

以前のVTR(50年も前のものである)を聴いていたら、渡辺はま子さんの「愛国の花」という歌が流れてきた。
「ましろきふじのけだかさに」という非常にきれいで透明な歌であった。

聴いていて、気持ちが惹かれて行った。
良い歌である。

そして、当時、10代の少年少女だったら、この歌の崇高さ、純粋さに陶酔していったに違いないと感じたのである。

ファシズムの持つ統制の力の道具に使われてしまったのだから、大変に残念な歴史を持った歌なのである。

美しいがゆえに、悲しく恐ろしい歌なのだろう。

筆者たちは、その歴史を知っているから、冷静に聴くことができる。

でも、この先、同じような機能をもつ、美しく、真面目で、気高いもの、つまり「真善美」が、再び筆者たちを妙な形で魅了するとも限らない。

心に留めておく必要があるのである。