今回の大河ドラマ「光る君へ」。
何しろ1000年も昔の普通の人の生活なんて、何の資料も残っていない。
言い換えれば、「当時は絶対になかった」と言い切れること以外は、うまく組んで使うことができる。

前回、鮮烈なストーリー展開だったので、続きを見るか、躊躇した。
でも、妻が見ているから見てしまった。

今回の「絶対になかった」とは言い切れない事物。
「代書屋さん」(行政書士では絶対ない)。

才気煥発な女の子、まひろさんが表に出て始めた仕事である。

戸の陰に隠れて、低い声で来た人の要件を聞く。
大抵は、恋の悩みである。
悩みを聞いた上で、その状況にちょうど合う歌を書いて渡すのである。

うわぁ。
凄い発想。

平安時代の歴史と文学と政治に関する文書資料で頭をがんじがらめにされている学者先生には絶対に出てこない。

脚本家は、原案を考えた段階で、時代考証の先生に「こんなの問題ないでしょうか」と尋ねたはず。
先生の方だって「うーん、絶対になかったとは、言い切れませんねぇ」と言うしかない。
後は、整合性を取りつつ、お話を組んでいく。

代書屋で苦労して文を構成する中で、まひろさんも男女間の機微を理解する。
なぜ紫式部が男女の恋について精通していたかも、納得のいく説明ができていく。

今日見ていて気になった俳優さん。
マンガ「テルマエ・ロマエ」で、ローマ時代から現代に来た主人公が、日本人の顔を見て「平たい顔族」と言っていた。
その言葉にピッタリな俳優が続々である。

まず、柄本祐。
親代々平たい顔族である。
そして、毎熊克哉も、そのタイプ。
一番笑ったのが、矢部太郎。
もう、平安時代の絵巻から抜け出してきたようなそのまんまの姿。
これだけでも大満足。

あと、意外に似合っていたのが、代書屋を経営している絵師。
まあ随分水干姿が似合う人だなあ、見覚えがあるなあと思ったら、三遊亭小遊三師匠だった。
突然「われてもすえに」とか「ちはやふる」とか言い出すのではないか、心配になってしまった。

さあ、この先の展開が待ち遠しいのである。