アクトザール エム上映会  村川透監督『白昼の死角』 | Blog ばったもんのめっけもん

山形県村山市、村川透監督がご実家跡地に創られた文化拠点
強行スケジュールでお邪魔してしまったにもかかわらず、あたたかく迎えてくださった皆様・・。「こんにちは」ではなく「おかえりなさい」と。「ここは、ふるさとだと思っていつでも帰ってきてね」と初訪問のときに言っていただいて。だから、いつも「おかえりなさい」と。だから「ただいま」と言える場所。
当地はまさに桜満開で、花見はしてなくても、新幹線の車窓を走り抜けていく春の色とか、何より、すごく、心があったかくなる時間で。お会いした人全員から、優しさやお心遣いを感じるってすごい。こう書くとなんかうさんくさくな、でも本当にそう。
ありがとうございました。「また、帰ってきます!」


 

 


上映会は2日間にわたる三部制。私は二部のみ参加させていただいた。

白昼の死角』(79年)
(主演:夏木勲  撮影:仙元誠三  製作:角川春樹 音楽:宇崎竜童) 
 

◆あらすじ(Amazon解説より引用)
戦後の混乱期、東大法学部はじまって以来の秀才といわれた隅田光一が、鶴岡七郎や仲間たちと設立した金融会社「太陽クラブ」は急成長を遂げる。だが、隅田が闇金融容疑で検挙されると組織は崩壊し、隅田も焼身自殺を果たす。その炎を見つめる鶴岡の内部にはどす黒い悪意が目覚めていた。鶴岡は新たに手形金融業「六甲商事」を立ち上げ、完全経済犯罪を次々と遂行していく―。悪に徹した天才的知能犯・鶴岡の反逆の青春を軸に、彼にからむ仲間や女たちの生きざま、追及の手を緩めない検察の姿、陥れられる企業幹部たちを群像劇として描く。また頭脳犯罪集団の華麗で巧妙なテクニックを冷徹に描写し、犯罪そのものを追求している。実話をベースにした高木彬光の同名小説を角川春樹製作のもと、「最も危険な遊戯」でハードボイルドアクションを極めた村川透が監督。<悪>を人間そのものの存在をかけた情念として描ききった反逆のピカレスク・ロマン。



◆制作背景
日本映画斜陽のなか、76年の『犬神家の一族』を皮切りに角川映画が大ヒット。文庫や劇伴などとのメディアミックス戦略を成功させた。その角川春樹氏が、同名小説を原作に製作。
当時の村川監督は、78~79年の”遊戯”シリーズ、79年『蘇る金狼』、テレビドラマでは『大都会 PARTIII』『大追跡』『探偵物語』『西部警察』・・と怒涛に連なる頃。本作でも歴代の作品をふまえた、所謂「村川組」の豪華な面々が集う。ただ、前述の作品たちと『白昼の死角』は、全く毛色の違ったジャンル。その点について監督は、「ジャンル、映画かテレビかも僕は問わない。もらった話、ひとつひとつに応えていくだけ」と仰った。


◆ロケハンは監督自ら
本を読んであらゆるカットのイメージがわき、それを実現できる場所を四六時中、夜通しも探した。最初に登場する事務所以外は、監督自ら見つけてきた。
「探せばいいところがたくさんある。そこに役者を連れて行くと、また良くなる」

◆実話のモチーフ
劇中の「太陽クラブ」は、1948年の「光クラブ事件」がモデル。また、当時実際に「手形のパクり」も横行していた。監督は経済学部のご出身。「学業としてはぜんぜんだったけど、この本(原作)を面白く読むことが出来た」


◆こぼれ話
・長回し・対面・マルチカメラ(2つ?)
・編集は3コマずらすの法則
・なんといっても主演の夏八木勲さん!なのだけど、本作のクレジットが「夏木」のため隠れた名作になっている・・
・夏八木さんと監督とは、本作をきっかけに永年の関係が築かれた
・室田日出男さん・・・!
・ゴンザレス演じたエドワード・ジェームズ・オルモスさんは、本作では無名だったけどこの後大出世・・!
・鬼籍に入られたかたも多い。。。ご存命は、中尾彬さん、監督、そして角川春樹氏!!!
・そしてそして恭兵さん!この見せ方・この役どころ!!めちゃめちゃ恭兵さんならではなので、「ひゅおおおお!」ってなる
・アクトザールMの素晴らしい音響で堪能



騙し騙され、さしずめ和製『スティング』。詐欺という名の芸術は、次々と周囲を不幸をもたらす。それでも次々に繰り出される犯罪の手腕。村川監督としては、そして日本映画としても類をみないジャンルなのだけど、ラストの展開が村川監督らしい。カタルシス!!

監督自ら、当時の貴重なエピソードをありがとうございました。
そして毎度、司会進行(+余興)のかたの、周到さと見事さ!


山形の村山はちょうど桜が満開。現地では花見をしなかったものの、行きの車窓では何回も春の色が走り抜けていった。村山で唯一撮った、桜の写真。この子は季節ごとの粋なおべべを着ていて、どこか志村けんみがある。。(東村山ではなく村山である)