想い出の名峰【北ノ俣岳】 | がんちゃんの雪山讃歌

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石川の山スキーヤーがんちゃんが登山、山スキーを中心とした日常生活や山への想いをつづります。
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先週末の北ノ俣岳、というか薬師沢左俣での沢登りは会心の山行だった。

 

元々北ノ俣岳は好きな山のひとつだったが、薬師沢を歩いて、赤木平から北ノ俣岳の姿を眺めて改めて北ノ俣岳の素晴らしさを再認識した。

 

そもそも「北ノ俣岳」というのは名前が地味百名山でもないので不遇の山だと思っている。

 

だがしかし、山そのものはそこら辺の百名山より遥かに素晴らしい。

 

北の薬師岳、南の黒部五郎岳という超一級の山に挟まれているがために存在は目立たないが、個人的には十分百名山と肩を並べる価値のある山だと思っている。

 

この山の特長を上げるとざっと下記のような点が挙げられるだろう。

  • 広い山頂
  • 360度の大展望
  • 降雪量が多くスキー向きなたおやかな山容
  • 雲ノ平を中心とした巨大円形劇場の展望台
  • 登山者が圧倒的に少なくて静か
  • 広大な花畑
  • 薬師沢左俣をはじめとした美しい沢の源頭

北ノ俣岳の山頂は広くてのんびりできる。

 

雲ノ平を中心とした巨大円形劇場の展望台としても素晴らしいロケーションだ。

 

「北ノ俣岳」という名前は岐阜県側の呼び名で、富山県側では「上ノ岳」と呼ばれるらしい。

 

面白いのは隣の「黒部五郎岳」で、こちらは富山県側の呼び名が「黒部五郎岳」、岐阜県側では「中ノ俣岳」と呼ばれている。

 

両方とも岐阜県側の呼称を採用して「北ノ俣岳」「中ノ俣岳」で統一すればわかりやすいのに…と思いつつも、何か政治的な駆け引きで富山と岐阜が呼称を分かち合ったのでは?等と勘ぐってしまう。

 

花畑も素晴らしく、まさに「楽園」という言葉がピッタリ。

 

山スキーの山としても素晴らしい。

 

日本海側に位置するので当然降雪量も多く、山容もなだらかなので滑落リスクなんかも比較的少ない。

 

3月の北ノ俣岳西面の様子。

 

夏道はこんな感じで木道が整備されている。

 

積雪期は当然どこでも好きなように歩くことができる。

 

冬は風が強いのでちょっとシュカブラが気になるかもしれないが…

 

山頂は夏も冬も同様に広い!360度の展望も健在。

 

…とここまでメリットばかり挙げてきたがデメリットもないわけではない。

 

一番問題なのはやはりアプローチだろう。

 

北ノ俣岳に登るルートで最もメジャーなのは岐阜県の飛越トンネルを起点とする「飛越新道」だが、この道はアップダウンが多い上にぬかるみがひどいので相当歩き辛い。

 

個人的には遠回りにはなるが富山県の折立から太郎平を経て北ノ俣岳を目指した方が楽だと感じている。

 

いずれにしても日帰り登山は厳しいので一泊以上の行程が望ましいが、飛越新道からアプローチした場合途中にあるのは北ノ俣避難小屋のみでテン場もないので辛いところだ。

 

飛越新道は泥だらけでとても歩き辛い。

 

ぬかるんでいる=水芭蕉は喜んで咲いているが…咲きすぎでゲップが出るかも。

 

飛越新道の途中にある北ノ俣避難小屋。小さいが一応宿泊可能。

 

冬は埋まっているので注意。

 

ぬかるんだ夏道歩きを避けつつ、泊まり登山でのんびり山行を実現する方法として、積雪期に雪上でビバークするという方法がある。

 

これなら水の心配もないし、朝晩の絶景も楽しめるので一石二鳥だ。

 

まだ雪が残る時期に雪上でビバークするという方法もある。

 

夕日を楽しむことも可能。

 

早起きすれば北ノ俣岳の山頂から巨大円形劇場の御来光を眺めることもできる。

 

天気が良ければ槍ヶ岳も見える。

 

というわけで、存在感こそ薄いものの超一級品の名山「北ノ俣岳」を紹介してみた。

 

悪口を言うわけではないが名前先行の百名山より、こういった地味な実のある名山を大切にしていきたいと思う。