エクストリームスキーへの憧れ | がんちゃんの雪山讃歌

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石川の山スキーヤーがんちゃんが登山、山スキーを中心とした日常生活や山への想いをつづります。
ヤマレコもやってます。(HN:Sanchan33)

先日の笠ヶ岳での四ノ沢滑降はマジで痺れた。

 

いわゆるエクストリームスキーにカテゴライズされるような山スキー山行だった。

 

登山は単純に自然と戯れたい、癒されたいという欲求を満たす場であるということ以外に、自己実現の手段のひとつでもあると思っている。

 

真剣に山と向き合えば向き合うほど「あんな山やこんな山に登ってみたい」とか「人がやったことがない山行をしてみたい」、そして山スキーヤーであれば「より困難なルートから滑走してみたい」というような欲求に駆られる。

 

遭難者数世界一の山としてギネス世界記録を保持する「谷川岳」に関して言えばロープウェイを使って天神尾根からピークを踏むだけなら小学生でも簡単に達成できるが、一の倉沢からクライミングで登ろうとすれば難易度は一気に上昇する。

 

命の危険を冒してでも一の倉沢からピークを狙うクライマーの心境は一体どのようなものなのか。

 

これは登山者の本能によって「単純にピークを踏むだけではなく、より困難なルートから登頂したい」という動機付けにつながっているのだと思う。

 

山スキーも同様で、同じピークから滑る場合でも滑走ルートによって難易度は変わる。

 

先日の笠ヶ岳を例にとれば、杓子平からの滑走であれば相対的に難易度は低いのだろうが五ノ沢、四ノ沢から滑ろうと思えば難易度は上がる。

 

それでも少しでも困難なルートを滑ってみたい、つまりエクストリームスキーをやりたいと思うのは、より大きな達成感を得たいという山スキーヤーの本能なんだろうと思う。

 

エクストリームスキーの典型例といえば急峻なルンゼ滑降だ。

 

そして一般的に急峻なルンゼ滑降には大きなリスクが伴う

 

斜度が急なので雪崩が起きやすく滑落のリスクも高い。

また、ルンゼは一般的に両側が壁になっているので一旦雪崩や落石が起きると逃げ場がない。

 

どれだけ注意していても一般的な滑走ルートと比較するとどうしてもリスクは高くなる。

 

奥穂高岳の直登ルンゼは陽が当たりにくいので凍結していることが多く滑落リスクが高い。

 

斜度も急なので滑落したら止まらない

 

自分も以前はルンゼ滑降にこだわっていた時期があったが、今はあまり固執してはいない。

ルンゼ滑降ばかりしていたら命がいくつあっても足りないと思うからだ。

 

地獄軍団の山行も傍から見ると危険な山行に見えるのかもしれないが、実はそれほど危険なことをやっているという意識はない。

 

「厳冬期に延々とラッセルして登頂困難な山に登る」とか、「誰も登ったことや滑ったことがないルートを開拓する」という形で困難に対して挑戦することはあるが、危険なコンディションで山に入ったり、危険なルートに足を踏み入れるといったリスクコントロールできない形で山行をすることはほとんどない。

 

例えば「厳冬期に吹雪の白山に登る」というのは一見危険な行為に見えるかもしれないが、吹雪前提で地獄装備に身を包み視界がなくてもルートファインディングができる経験と準備があればそれほど危険なことではない。想定内の地獄というやつだ。

 

…とは言いつつ、チャンスがあればルンゼ滑降も楽しみたいと思うのが山スキーヤーの本音だ。

 

ただ、最初からルンゼ滑降を目的としてギラギラするのではなく、雪の状況、季節、気温、風、時間などを総合的に判断したうえでリスクが低ければ楽しむ、というくらいのスタンスが丁度いい。

 

長く山スキーを楽しもうとした場合、イチかバチかのギャンブル山行はせずにしっかりリスクコントロールをすることが重要だと考えている。

 

谷川岳のマチガ沢もエクストリームスキーの代表コースだ。

 

唐松沢もメジャーなエクストリームコースのひとつ。