知り合いが逮捕されて報道された話 | さんちゃん@れに推しと申します。

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自分の中にある強いマスコミへの不信感の原因を書いておこうと思ってブログにしました。今回の山口さんの話とは直接関係ないです。あくまでも自分がなぜこんなにマスコミを信じていないのかという話。

※個人の特定を避けるために一部脚色・変更しています。


もう10年以上前の話。
僕の知り合いの佐藤(仮名)が逮捕され、テレビのニュースで報道された。
その報道によると「留守番をする女子小学生を狙った連続家宅侵入レイプ犯」だった。
帰宅する女子小学生を尾行して、玄関のドアを開けたところに遅いかかり、家に押し入ってレイプする事件だという。

耳を疑った。あの気の弱い佐藤がそんなことするか??と。僕はすぐに佐藤の親友の鈴木(仮名)に電話した。鈴木も寝耳に水だったようで、その後必死に事実確認に奔走していた。なお鈴木はエネルギッシュなやつなので、テレビ局やラジオ局に直接電話したりしていた。
しばらくして鈴木から真相を聞かされた。
あろうことか、なんとこれは誤報であった。
気の弱い佐藤が電車内の痴漢(盗撮?)で捕まり、その後○○県警の厳しい追求にビビってハイハイ答えてしまい、未解決連続女児レイプ事件の犯人にされてしまったのだ。


時系列はこう。

佐藤が電車内で痴漢(盗撮?)をする。(詳細不明)

佐藤が警察に捕まる

○○県警による厳しい取り調べを受ける

佐藤は泣きながら謝罪しまくり、なぜか警察に提示された未解決事件の犯行も自分が犯人だと認めてしまう

マスコミへ発表

「連続女児レイプ犯捕まる!」

よく調べたら痴漢(盗撮?)のみでした

痴漢(盗撮?)についても示談成立(詳細不明)

釈放


もちろんそもそもは痴漢をする佐藤が悪い。クソ野郎だ。痴漢に関しては一切擁護などできない。安全なはずの公共交通機関で一人の女性の尊厳が踏みにじられたのだ。全く許される行為ではない。鈴木もそれについては完全にブチ切れていた。佐藤は罰せられるべきだと思う。だが、佐藤が罰せられるべきは痴漢の罪のみのはずであって、連続女児レイプや家宅侵入の罪ではないはずだ。
(痴漢は死刑だ!という意見の人が居るかも知れないけど、それは今の日本の制度では難しいので、私のブログにコメントするよりも、法律が変わるように活動してください。)

マスコミに報道されたあとは、地元の○○県某市では佐藤は完全に家宅侵入と女児レイプ犯のウルトラ危険人物扱いだった。しばらくして佐藤の家はもぬけの殻になっていた。いくら人口の多い○○県とは言え、近所の人は誰がどこに住んでるかぐらい知っているのだ。なんせ小中学校が同じだから。きっと、近所の視線に耐えられなくなってどこかに引っ越したのだろう。佐藤の家族が悪いわけではないが、家族も同様に非難を受けたのだろう。弟も、父親も、母親も、本当に可哀想だと思った。

最初の逮捕の段階でニュースやワイドショーで取り上げられたが、釈放されたことや誤報だったことは取り上げられなかった。マスコミによる名誉の回復はなされなかったのだ。マスコミにしてみたらセンセーショナルで話題になって視聴率が稼げれば、その裏付けなんてどうでもいいし、ましてや加害者や被害者や周辺人物の名誉なんてもっともっとどうでもいいのだろう。


なお、日本の仕組みはこうなってるはずだ。

1:逮捕(警察が身柄を拘束する)
  ↓
2:送検(嫌疑が固まれば検察に送られる)
  ↓
3:起訴(検察が有罪にできると判断したら起訴される)
  ↓
4:裁判
  ↓
5:控訴・上告しなければ、やっとここで罪が確定。

でも実際には「1:逮捕」の段階で報道され、このようになる。

1:逮捕
  ↓
2:犯人だと確定したかのように報道
  ↓
3:人民裁判によるネットリンチ
  もしくは地域社会での迫害・イジメ





佐藤の場合は知り合いや近所からの目に耐えられなくなってこの地域から逃げ出したが、今はツイッターやSNSでの人民裁判・ネットリンチが自然に発生する。しかもそれは正義感から行われる。そうなったらもう社会的弱者となったリンチ被害者は逃げ場がない。

「イジメられるやつにも原因がある」というのは確かにそうだと思う。何事にも原因はある。というか、だいたいのいじめられっ子は性格が悪い奴とか嫌な奴だったりすることが多いように感じる。だが、「原因があるから自分はイジメに加わっていい」というのは間違いだと思う。

ネットリンチに加わっている人は「相手はこういう理由があるから俺に避難されて当然だ」という主張をすることが多いように感じる。でもそれはイジメと何が違うのだろうか。また、そういう人たちに無責任に面白そうな餌を与えるのがマスコミの考える本当のジャーナリズムなんだろうか。

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以上、このブログを読んだ人に何かを強制したり、何かをやめろとは言わないし、山口さんの件にも関係ないけど、自分の中にある強いマスコミへの不信感の原因を書いておこうと思ってブログにしました。

あくまでも一回の経験、しかも自分ではなく知り合いの案件ですが、自分の中では決定的な出来事でした。

(なお、この数年後にツイッターにも書いた「走り屋を見物していた人物が走り屋にされた」捏造報道を目の前で見ましたが、それはまた別の機会に書きます。)