◎松田学 人物評価の基準~意外と知られていない安倍政治の本質~問題はポスト安倍政治の不在にあり~ | 護国夢想日記

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 日々夢みたいな日記を書きます。残念なのは大日本帝国が滅亡した後、後裔である日本国が未だに2等国に甘んじていることでそれを恥じない面々がメデアを賑わしていることです。日本人のDNAがない人達によって権力が握られていることが悔しいことです。

◎松田学 人物評価の基準
~意外と知られていない安倍政治の本質~問題はポスト安倍政治の不在にあり~
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国会では安倍総理が掲げる憲法改正が議論にすら入れないまま、今年も終わろうとしています。

 

 

改憲、拉致問題、北方領土。

 

 

この3つは戦後70年、あるいは半世紀にわたり解決されてこなかった日本の国家としての大テーマ。

 

 

在任中にこれらを解決することを掲げる安倍総理ですが、いずれも道筋が見えておらず、特に改憲ができなければ、安倍総理は歴史に汚名を残すことにもなりかねません。

 

 

私が運営する松田政策研究所の動画チャンネルで先日、日本の論壇の中では安倍総理からの信頼の厚い小川榮太郎氏と、安倍政権の本質やポスト安倍政治の課題などについて対談をしました。

 

 

私も衆議院議員の頃はずいぶんと国会で安倍総理と議論を交わしましたが、同氏の政権評は見事なほど的確。

 

 

見解がピタリ一致しました。

 

 

誰が相手であれ不条理が大嫌いな性格であるがゆえに、時々ムキになる安倍総理、実は、その答弁はレトリックに満ち、政治言語として面白く、挑発的な心理戦も含め英国議会流のスタイルだと言われれば、確かにそうなのかもしれません。

 

 

しかし、政治は結果です。

 

 

前記の3つの大テーマをひるむことなく掲げ続ける安倍総理は、現局面での日本の宰相として、その使命ゆえの賭けに出ている。

 

 

その理由の一つに「もりかけ」問題があるとは興味深い指摘でした。

 

 

あの実態なき疑惑を書き立てたメディアが断罪されることなく、その手法が通用することを日本の社会は許してしまった。

 

 

改憲が出てくれば、議論以前にメディアが潰しにかかってくるだろう。

 

 

だからこそ賭けに出て改憲を言い続ける。なるほど…。

 

 

安倍政権は国家の大テーマを遂行する政治的必要条件としてまずは経済に注力し、外交安全保障ではリアリストとして戦後から積み残された課題の解決へと、さまざまな成果を構築しました。

 

 

しかし、内政面では、日本がいかなる国を目指すのか、長期的なビジョンのほうは後回しになったことは否めません。

 

 

私が「新しい国づくり」の中身の提示を国会でも安倍総理に求めてきたとおりです。

 

 

だからこそ、問われてくるのはポスト安倍政治。

 

 

安倍政権が築いた骨格的な土台の上に、では、次の政治はどんな未来を構築するのか。

 

 

日本の絶対的な死活問題としての少子化や人口減少問題の解決において、個人と国家の間に介在せざるを得ない共同体(コミュニティ)のあり方をどう設計するのか。

 

 

価値観やイデオロギーが関わる政治が選択肢を示さねばならない分野です。

 

 

問題は、小川氏の指摘のように、新しい次の国のかたちをプランニングし、その面で名乗りをあげられる政治家が皆無であること。

 

 

これでは政治の死、深刻な事態です。

 

 

逆に、いまの政界は、安倍政権を軸に人材のエネルギーが吸い取られ、次への準備ができない構造に陥っているようです。

 

 

私と小川氏とで意見が一致したのは、これから必要なのは「リアリズムに基づく保守政治」。

 

 

私自身が未来社会の基盤となるさまざまな事業プロジェクトを遂行しているのも、このことが念頭にあります。

 

 

ただ、日本で「保守」といえば、これまではスローガンと情念に基づく保守。日本は意外と、これが国民から広くは支持されない国です。

 

 

千数百年続いてきた日本の国柄や国民性に目を向ければ、日本の国是は聖徳太子以来、「自由」と「話し合い」というのが小川氏の指摘。

 

 

人間は決して賢くない、誰も絶対的に正しいことを言うことはできない、だからこそ和を貴びつつ、万機公論に決す。

 

 

これは一つの絶対的に正しいテーゼを追求する共産主義や「リベラル革新」とは一線を画す保守の理念の本質であるとともに、日本に根付いてきた民主主義の伝統でもあります。

 

 

いま世界では民主主義の危機が叫ばれていますが、日本は自国の国柄を科学技術の最先端にも通じた徹底したリアリズムと結びつけることで、独自の価値や仕組みを構築し、世界に発信できる国になれるはずです。

 

 

次なる政治の軸を真剣に組み立てるべき局面が到来していると思います。

元衆議院議員 松田政策研究所代表 東京大学大学院客員教授 

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