【知道中国 1685回】――「全く支那人程油斷のならぬ者はない」――(中野5)  | 護国夢想日記

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 日々夢みたいな日記を書きます。残念なのは大日本帝国が滅亡した後、後裔である日本国が未だに2等国に甘んじていることでそれを恥じない面々がメデアを賑わしていることです。日本人のDNAがない人達によって権力が握られていることが悔しいことです。

樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1685回】            
――「全く支那人程油斷のならぬ者はない」――(中野5)
 中野孤山『支那大陸横斷遊蜀雜俎』(松村文海堂 大正二年)


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 南京蟲の襲撃に悩まされ熟睡できず朦朧としたまま朝食となる。

 

 

朝飯は粥飯でそれに一ッの香の物があるのみだ、實に簡單である器皿は粗末で、不潔である、

 

 

おまけに布巾と雜布は兼用である、眼を閉ぢて口を開くの覺悟がなければならぬ」とは、「東洋啓發を以て天職とする我日本」の男児としては、些か情けないかぎり。

 

 

必要なのは「眼を閉ぢて口を開くの覺悟」なんぞではなく、じつは食事と排泄を「土人」と共にする覚悟といえる。

 

 

この2つが共にできれば、あとは怖いものなし。

  中野は「おまけに布巾と雜布は兼用である」と驚くが、半世紀ほどの昔の台湾の高雄で小洒落たレストランに入った折のこと。

 

 

注文を取りに来たオヤジが手にしていた布巾の色も形も奇妙だ。

 

 

そこで布巾をひったくり広げて見ると、じつはオヤジの穿き古したパンツだった。

 

 

つまり高雄のレストランでは穿き古しのパンツが布巾に化け、さらに「布巾と雜布は兼用」だったというわけだ。

 

 

中野孤山センセイ、まだまだ修行が足りませんゾ!

  その旅館の「應接室と云ふべき廣間の中央に高卓を据ゑ其四周を圍みて終夜賭博をやつてゐる、相手は旅客である、旅客も館主も唯一の遊戯の如く」に打ち興じている。

 

 

おそらくバクチの胴元は旅館の主だろう

 

 

加えて「旅館には賣春婦が巡廻的稼ぎに宿り込む、そして旅客に春を迎へしむのである、此れは隨分盛なるが如く」であった。

 

 

「賭」と「嫖」とくれば、「大烟」がないわけがない。キッとある。

 

 

中野は気づかなかったのかも知れないが、旅館にはアヘン吸引設備が併設されていたに違いない。

 

 

中野の泊まった宜昌第一の格式と規模で知られた旅館にして、このように「亂脈殺風景」なのだから、他は推して知るべし。

 宜昌の市街を歩く。「市街の特徴として不潔は言語の盡す所でない、街道には行倒れもあれば、犬の死骸もある、

 

 

糞尿は市上に押流されて嗅氣は滿々として蒸散してゐる、蒼蠅虻蚋は賣店の飲食物に群り集ふ、市民は之を怪まず、癖僻の我等之を見て嘔吐を催すに至る」。

 

 

だが「彼の國人は之を平氣に見做なす」というのだから、じつにタマッタものではない。

  だが、この程度でしかめっ面をしていたら、「東洋啓發を以て天職とする」ことなど夢のまた夢。

 

 

中野孤山センセイ、我慢ガマンである。

  市街の不潔さに驚き街を囲む城壁に登れば、「壁上には一個の死骸?はり蒼蠅之に集へるに逢ふ、鼻を被ふて」猛スピードで旅館に戻る。

 

 

しつこいようだが、糞尿だらけに驚き、死骸にたじろいているようでは、「東洋啓發を以て天職とする」ことは所詮はムリです。

  さて水。「他に飲料水を得る道はない」ゆえに、「沿岸の民は皆江水を唯一の飲料とする」。

 

 

カルチャーショックというべきか。文化摩擦というべきか。また、ひと悶着である。

 長江の流れの「溷濁の甚だしき、殊に岸近き所糞尿常に押入り、汚水流入する所を氣にもせず汲み取るのである」。

 

 

長江を行き来する大小船舶の船員や苦力は勿論のこと、「往来の人々皆所きらはず放尿勝手脱糞故障なし」。

 

 

それというのも「誰が定めた規則か知らぬが、自由勝手の主義」だからだ。そう、彼らは「自由勝手の主義」に生きる人々である。

 そこで中野孤山センセイは漢口や上海の公園を思い出す。

 

 

「漢口の沿岸リボン公園には足踏みが出來ず、上海の公園に『華人不可入』の制札がとれない」。

 

 

それというのも、「自由勝手の主義」に生きる人々が「所きらはず放尿勝手脱糞故障なし」だからである。

 

 

漢口であれ上海であれ、公園は糞尿に満ちていたはず。

 

 

やはり「足踏みが出來」そうになかっただろう。「『華人不可入』の制札がとれない」のも当たり前といえば当たり前の話だ。

 

 

これはもう人種差別やら中国人侮蔑といった人権レベルの問題ではなく、美観であり公衆衛生であり公徳心の問題ということになる
 
こういった人々を相手に「東洋啓發を以て天職」など、やはり骨折り損の・・・。
《QED》
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