【知道中国 1682回】――「全く支那人程油斷のならぬ者はない」――(中野2)  | 護国夢想日記

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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1682回】                    
――「全く支那人程油斷のならぬ者はない」――(中野2)
  中野孤山『支那大陸横斷遊蜀雜俎』(松村文海堂 大正二年)


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 上海では「内地奥深く旅行するには、先ず支那式を經驗するが好都合であらう」と考え、わざわざ「支那式を選んで純粹の支那旅館に投宿」するものの、便所の「甚だ風違ひ」に驚く。

  「起床して直に便所に行つた、所が支那人が一人最早先がけして、一つの壺に跨りて、眼を圓くして?を膨らし滿身に力を入れてやつてゐるので退却して來た」。

 

 

暫くして出かけると、「此度は二人並んでやつてゐる」ので、また「退却して來た」。

 

 

暫くしてまた行くと、「此度は四人も並んで煙草を吸ひながら、ゆつくりと平氣でやつている」。

 

 

なにせ日本式に個室ではないわけだから、さぞや困ったことだろう。

 以下、中野の綴る上海の街の風景をいくつか。

 

 

 「食器を拭く布巾も、靴臺や、腰掛を拭く雜布も、區別がない。

 

 

手鼻をかんだ手を着物になする。

 

 

其の着物で食器を拭く、斯の如きは、支那人の特徴で彼等は少しも氣にせぬが、我より見れば、不潔でたまらない」。

 

 

一切合切が「不潔千萬なのには、驚くの外はない」。

  「市街は晝夜雜沓してゐる」。茶館はひどく賑わっているが、「殊に妙なのは、荒物屋、八百屋、呉服店、菓子店、其他雜貨店等の店先にも、夜は娼妓が顔見せしてゐる。

 

 

茶館には、階上階下、常に客と娼妓で滿ちてゐる」。

 「舶來品は、總べて日本より價が安い」。

 

 

「各國商品競爭實に盛に行はれてゐる。商業上何が勝を制するか、獨逸の如きは我を大敵と見て甚だ努めてゐる。

 

 

大いに心すべきことである」。どうやら上海に、いや中国における日本の敵は「我を大敵と見て甚だ努めてゐる」というドイツ・・・昔も今も。

  「市中一番に繁華の街は、(中略)すべて家屋は、宏大に煉瓦にて疊まれてゐる。

 

 

街道は、廣?で蒲鉾形に作られてある。人出は多く、常に賑わうてゐる」。

  「商人は、各國各省から蝟集してゐる、人情、風俗、混然錯綜して一樣でない。

 

 

然し土人は、勤勉で商業を重んじて、善く外人に接し、大利を計つて小利に安んじない、專ら營利に汲々としてゐる、

 

 

だから人情浮薄毫厘の爭ひに情誼を顧みない、風俗奢侈?飾を貴ぶのである」。

 「各商店は軒を連ね、朱塗、?塗の大看板を掲げ、美事に飾られて」はいるが、「唯道路の狹隘と路上の修繕行屆かず、雨水常に溜りて、池をなし、

 

 

糞尿之に混じて、臭氣鼻を衝く、嗅官爲めに麻痺する。

 

 

實に余輩外人には久しく堪へられない」。

 「居留地には、巡査が辻々にゐる。大概印度人を採用してゐる

 

 

其容貌、魁偉頭髪を束ねて、赤い布を醤油樽の箍の如く纏頭して外觀甚だ異様なる風態をしてゐる」。

 

 

元を辿れば英国東インド会社の門番として連れてこられたインド人のターバンを「醤油樽の箍の如」しとは、言い得て妙。

  さて、いよいよ長江を遡航する船旅に出発となる。「すると案内のものは、出帆の延期を申込んで來る」。

 

 

すったもんだの挙句に強引に出帆の準備を進めた。

 

 

どうやら「支那人は、上海に歸り辮髪を垂れると本性を現はして、仲々我々の言ふ事を取り用ひない」らしい。

 

 

かくて中野は彼らには彼らなりの計算があって出航延期を申し出たはずと考えた末に、「抜け目のないのは支那人だ。

 

 

支那人に欺かれて、隨分困難をしたものが、あつたとのことであるが、全く支那人程油斷のならぬ者はない」と悟った次第である。

宿舎から船まで「荷物運搬を數多の苦力に託」すも「油斷をすれば、彼等苦力に竊み去らるゝの恐れがあるので」、

 

 

「嚴重に監督しつゝ波止場に行つて、船の倉庫に積み込んでしまふ迄」は見張りをし、それから船に乗り込んだ。さぞや骨が折れたことだろう。
《QED》
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(読者の声1)

 

 

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