佐藤守   「大東亜戦争の真実を求めて 477」 | 護国夢想日記

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 日々夢みたいな日記を書きます。残念なのは大日本帝国が滅亡した後、後裔である日本国が未だに2等国に甘んじていることでそれを恥じない面々がメデアを賑わしていることです。日本人のDNAがない人達によって権力が握られていることが悔しいことです。






佐藤守   「大東亜戦争の真実を求めて 477」
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渡辺氏の文に戻ろう。

 ≪「(彼は日本を文明国と考えたから)日本に対して東アジアを啓蒙し、同時に警備する責任を負わせたのである。


 少なくとも黄海周辺地域については日本にそうした役割を期待した。日本がこの海域周辺に関心を持つのは、アメリカがカリブ海周辺に重大な関心を寄せるのと同じことなのである」

 ルーズベルトは大使抜擢前の友人シュテルンブルクに対しても「日本が朝鮮をとる(支配す)べきだ。


  日本はロシアの南下に対しての備えにもなる。何よりも日本はそのように期待される立場を自ら勝ち取ったことが重要織」と述べているのです(一九〇〇年)。


  ルーズベルトは、朝鮮は非文明国であると確信していました。彼の自叙伝でも「朝鮮は自治能力、あるいは自国を防衛する能力にまったく欠けている国である」と言明しています。


  一九〇四年になると、この考えを英国にもドイツにも伝えています。次のように付言もしています。「支那に対しても、日本はこの(非文明)国を啓蒙する役割を負うべきだ」。

  ここまではルーズベルトの考える「文明国は非文明国を啓蒙すべきである」という主張を色濃く出た外交方針でした。


  しかし日本の日露戦争の勝利を受けて、彼の対日本外交は自国の安全保障を中心に置く、列強国(文明国)間のパワー・バランスをより重視した外交にシフトしていきます≫

  何かにつけて「強硬な反日姿勢を続ける現在の韓国」に、このルーズベルトの一文を読ませてやりたいものだが、それはさておき、日本を文明国だと認識していたルーズベルトも、日本軍の対ロシア戦闘ぶり、とりわけ日本海海戦でバルチック艦隊を全滅させた日本海軍の実力を見て、自身の海軍力との比較において、将来の太平洋上の覇権争いでやや不安なものを感じたらしく、少し考えを改めている。渡辺氏はこう続ける。

  ≪「ルーズベルトは、日本の行動は(列強問のパワーバランスのなかで)監視され抑制されなければならないと考えるようになった。


  だからこそ(そのための方策として)非公式の立場で日英同盟のサイレントパートナーとなることを決め朝鮮における日本の覇権を容認し、満州における日本の重大な関心事の存在を認めたのである


  それは日本から、アメリカのフィリピンにおける立場を脅かさないという(パワーバランス外交に基づいた)交換条件を付けたものであった。

  ルーズベルトが日本と結んだ桂・タフト協定は米議会にも秘密であり、アメリカ国民は知る由もなかった。外交史家タイラー・デネットがその存在を明らかにしたのは一九二五年(注:一九二四年が正しい)のことであった≫

  朝鮮や支那のような非文明国はもとより、文明国であるはずの日本までも、「列強間のパワー・バランスの中で監視抑制されねばならない」というのだから、本心としては列強とアジアの文明国(日本)の間にも、大きな格差が隠されていたのである。


  それはやはり「白人優先主義」の血がなせるものであったのだというべきかもしれない。

  ≪ルーズベルトの外交における二つの重要な方針(文明国は非文明国を啓蒙する義務があり、文明国間の外交はつねにパワーバランスのなかで制御されたものでなくてはならない)はルーズベルトの確固たる正義感の上に立脚していました。


  「強国に対しても堂々とわれわれの権利を主張し、そして同時に、弱い国に対しても強い国に対しても十分な礼節と正義感を持って接する」。

  それが彼の信条でした。その信念が対日本外交で象徴的に表れていたのです。

  一九〇五年以降、日露戦争によって文明国間のパワーバランスに激変が起きたなかで、東アジアをめぐる勢力図が形成されていくことになります。


  しかしアメリカの政治は既存のパワーバランスをそのまま受身で考えるような弱々しいものではありません。


  パワーバランスの枠組みそのものを自国に有利なものに積極的に変えていく。それがアメリカの国家戦略でした。アメリカの国柄と言ってもよいかもしれません。

  アメリカの弱点はドイツが見透かしていたように、つねに二つの大洋に軍事力を配備しなくてはならないことでした


  しかし二つの大洋が一つになればその弱点は消えるのです。だからこそアメリカはパナマ運河開削事業に邁進していくのです。パナマ運河が完成すれば列強間のパワーバランスはアメリカ優位に大きくシフトするのです≫

  この部分は、アメリカのその後の2正面作戦を避けるという海洋戦略上、重要なポイントであるように思う。


  なけなしの海上戦力を、対欧州方面に配備しておくか、それとも今後勢力争いが激化することが予測される太平洋・アジア方面に置くか、それはいつに“文明国間のパワーバランス”にかかっていた。


  そしてアメリカは、そのパワーバランスが自国に有利になるように、積極的な活動を開始する。つまり、大西洋と太平洋を結ぶ、パナマ運河の完成である。


  これが完成すれば、ドイツが分析していた「米海軍の不利」は一気に解決される。このような列強間のパワーバランスに注目してみると、その後の支那をめぐる列強間の勢力争いが見えてくる。

  大東亜戦争開戦直前の第一次上海事変の背後にはドイツがあり、米英より以前から蒋介石軍を訓練し武器を供与したのもドイツであり、恐るべきことに日独伊三国同盟が締結されている最中にさえドイツはそれを継続しているのである。

  要するにドイツはそれほど信用がおけない国柄であるにもかかわらず時の松岡外務大臣らは、圧倒的な進撃を続けるドイツ軍の攻勢に目がくらんで、ドイツ本来の素質を見落としていたのではなかったか?

  既に書いたことだが、第一次大戦中もドイツは「亡命先のスイスからレーニンをロシアへ連れ戻した」過去がある。


  それはイギリスとフランスは、ケレンスキー暫定政権の崩壊以降、ソビエトロシアの(対ドイツ)戦線離脱を極度に怖れていたからであり、英仏は、東部戦線にドイツを何としてでも留めておきたいという願望を持っていたからであった。


  そしてそのための最も効果的な方法は日本にシベリア出兵させることであった。

  ドイツ人と日本人は、几帳面さ質素さなどの共通点を持っていてよく似ているといわれる。私も同感だが、こと国際情勢には通用しないことを知るべきであった。(元空将)

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