奥山篤信 ポーランド映画『ワレサ 連帯の男 Walesa Man of Hope』2013 | 護国夢想日記

護国夢想日記

 日々夢みたいな日記を書きます。残念なのは大日本帝国が滅亡した後、後裔である日本国が未だに2等国に甘んじていることでそれを恥じない面々がメデアを賑わしていることです。日本人のDNAがない人達によって権力が握られていることが悔しいことです。

奥山篤信 ポーランド映画『ワレサ 連帯の男 Walesa Man of Hope』2013

―――――――――――――――――

ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダがポーランドの共産主義・ソ連圏からの解放の立役者で東欧圏のビロード革命に大きな影響を与えたワレサを描いた。

ワレサという男を単なる辣腕の英雄としてでなく、結構小心であり、家族思いであり、かつ傲慢なところもある平凡でいて、人々に祭られながら予想もせず英雄となった人物像として仕上げている。


ワレサはまさに労働者つまり現場の電気工上がりである。1970年の食料暴動の際、グダンスク造船所にて悲劇を目撃し、1976年以後、スト委員会の一員として活躍した。


1980年には物価値上げに端を発した造船所の争議を指導。バルト海沿岸工場間ストライキ委員会委員長に就任。歴史的なグダンスク合意を勝ち取り、「連帯」の委員長になった。


1981年10月、全国大会で再選されたが、12月ポーランド政府の戒厳令により、翌年11月まで身柄を拘束された。1983年10月にノーベル平和賞受賞、授与式に妻が代理で出席した。


ワレサは1970年に逮捕されたときに、公安当局に、今後公安当局に情報を与える旨の書面に署名させられ釈放された。このことを以て彼が公安の犬であるとの噂がいつもつきまとった、まさに不覚の署名であった。この映画でも何度も出てくる。


ワレサの言葉に<やりたくないけど、やらねばならない>
 "Nie chc!), ale musz!)" ("I don’t want to, but I have to")という言葉があるが、まさに彼は少なくとも当初は権力への意志などは毛頭なく、愛する家庭本位であり、渋々つき合っていたが、そのアジ演説など仲間に担ぎ上げられて深入りしていったものであることが分かる。


ワイダはユダヤ人だが、キリスト教理解もあるのか、ワイダのそうした<弱さ>を描きながら自己犠牲によってポーランドを解放していく、小さな<イエス>のような重ね合わせもしている。マタイ6章の9からあたりが引用されているし、公安やソ連がまさにユダヤ長老・ピラトに模して描くとともにユダ役や弱さを見せるや背を向ける大衆も描いていると読むのは穿ち過ぎか!


映画はまだ解放前にイタリアの著名な女性ジャーナリストとのインタビューをしながら回想する形で、1970年からの連帯の闘争を反芻する構成である。80年代のロック・ミュージックの自由を愛する曲をバックに聞かせながら、ワイダ監督は纏めている。しかしワイダ監督の往年の切れ味はないので、やや中だるみで退屈さも際立つ。


しかしそれにしてもワレサの女房には勿体ない愛妻ダヌタに扮する女優アグニェシュカ・グロホフスカはあまりに美しいポーランド女優でやり過ぎだ!まるで労働者階級の生活の匂いが一切ないので浮世離れのミスキャストだ。


ノーベル賞授与式で帰国し、徹底的税関検査をされ、身ぐるみ剥がされて共産圏特有の屈辱的検査の場面をもり立てるためだけの美女なのか!笑えてくるワイダの采配だ!
―――――――――――――――――

◎ 奥山篤信 イタリア・ポーランド映画『神聖ローマ、運命の日~オスマン帝国の進撃~11 SETTEMBRE 1683/THE DAY OF THE SIEGE: SEPTEMBER ELEVEN 1683』2012

―――――――――――――――――

~最低の映画だ!キリスト教社会の独善と欺瞞の象徴だ!~

1683年7月14日より9月12日までの第二次ウイーン包囲(Battle of Vienna)は、1683年に行われたオスマン帝国による最後の大規模なヨーロッパ進撃作戦である。


オスマン軍はオーストリアの首都にして神聖ローマ皇帝の居城であるウィーンを大軍をもって攻撃したが、拙速な作戦により包囲戦を長期化させ、最後は反オスマン帝国を掲げて結集した中央ヨーロッパ諸国連合軍によって包囲を打ち破られるという惨憺たる敗北に終わった。


この映画はイタリア・ポランド共同制作にあるようにイタリアの奇跡を起こす修道士マルコ・タヴィアーノと4万の兵を連れたポーランド王ヤン3世ソビェスキの功績を自画自賛した独善映画である。


ヤン三世の丘の上から奇襲攻撃が功を奏して勝利したものでポーランドにとって歴史的英雄である。
映画は意図的に911事件と結びつけてこの映画を宣伝しているが実際は9月12日夕刻からの戦闘で勝利したもの。


映画のお粗末なことったらない。CGを活用しているものだから人海戦術の当時の戦争の迫力などまるきしでないし、とにかく見ていて吐き気を催す色の調和が悪いのである。CGだから戦闘も人間もコピペである。


この映画を見てまさにブッシュ大統領が911事件で十字軍だと称したあのキリスト教界の本音がよく理解できる。そもそもこの戦いを911事件に結びつけるため日付も替え同一にさせた魂胆、それにヨハネ・パウロ二世が2003年に列福した奇跡の修道士の英雄化、まさにポーランドが国を挙げてのネポティズムである。


しかもオスマントルコをモスレムの野蛮人として虫けらのように殺戮していく場面はあの十字軍のコンスタンチノープル蹂躙、アメリカインディアン殺戮、日本人を猿扱いにした原爆投下と変わらないメンタリティがある。


新約聖書が如何に高邁な思想と哲学を奏でようと、宗教として組織が運営する限り、キリスト教用語の<罪深き人間>の組織となり、それは必然的に堕落と権力と暴力と排他主義をもたらし独善的な一神教として他宗教を抹殺するのである。


映画ではきれいごとの偽善的台詞がマルコ修道士より頻繁に叫ばれるがまさに独りよがりのキリスト教世界のむなしい響きしかないのである。


今なおこの映画のような考えが宣伝されるのであれば実質<罪深き人間>のキリスト者が本来の新約聖書の思想哲学をねじ曲げているのだろう。


日本人が考えたのか洗脳されたのかわららないが映画のキャッチコピーに<もしこの戦争でオスマン帝国が勝利していたら今の世界はなかっただろう>なんという差別発言だろうか!


<あの戦争でミッドウウエイに日本が勝利していたらいまの自由世界はなかっただろう>などと日本が言われるのと同じほど屈辱的な言葉であることを知るが良い!
━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…