【日本を良くし強くする 国民の憲法】
(1)東大に巣くう軍事忌避 NO.1
産経新聞「国民の憲法」要綱に沿って新しい憲法ができれば、日本はどのように変わるのか。連載で説き起こしていく。
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憲法に国を守る明確な規定がないことが、どれほど日本の安全保障力を損なっているか。その弊害は意外なところに表れている。
東京都文京区本郷の小さな工房-。ここに、ヒト型ロボットの研究開発・製造では世界有数の技術を持つ生まれたばかりの株式会社が存在する。東京電力福島第1原子力発電所の事故をきっかけに、世界でロボット開発が加速されているが、この会社も注目を浴びる存在だ。
この工房のホームページ(HP)には、東京大大学院で30年以上のロボット研究の歴史を持つ情報システム工学研究室の「卒業生有志」らが会社を設立した、とある。ただ、このHPには書かれていないことがある。彼らが、ある技術開発のコンテストに参加するため、東大を退職する選択をしたことだ。
参加したのは、米国国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催するヒト型ロボットの開発に関するコンテストだ。放射能漏れ事故を起こした原子炉建屋内で人間に代わって作業するロボットの誕生が望まれている。
この会社は、参加の動機について、福島第1原発事故で「私たちのロボットは何もできず大変残念に感じ」(HP)たことを挙げている。民生用の開発を志向しているのに、なぜ東大に在籍したまま参加しなかったのか。それは、東大の研究に関する内規に原因がある。
「東京大学では、第二次世界大戦およびそれ以前の不幸な歴史に鑑み、一切の例外なく、軍事研究を禁止しています」
ロボット研究室が所属する情報理工学系研究科が平成23年3月に明文化した「科学研究ガイドライン」だ。
DARPAの任務は、米軍の優位性を維持するための先端技術の開発だ。東大のロボット研究者らの退職が、ガイドラインへの抵触を避けるためであるのは明らかだ。
東大広報課によると、軍事研究の禁止を明文化したのは同科だけだが、「他の学部でも共通の理解だ」という。このことは、東大が戦後一貫して、軍事に関わる事柄を徹底して避けてきたことを示している。
世界の主要国は、産学官軍が協力して、安全保障の研究開発にしのぎを削っている。一方、日本は今の憲法に国防の概念が欠けているため、総力を結集して、平和を守る態勢をとれていない。東大の軍事アレルギーはその典型だ。憲法改正が必要なゆえんだ。
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