奥山篤信 アメリカ映画『ザ・マスター The Master』2012 | 護国夢想日記

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 日々夢みたいな日記を書きます。残念なのは大日本帝国が滅亡した後、後裔である日本国が未だに2等国に甘んじていることでそれを恥じない面々がメデアを賑わしていることです。日本人のDNAがない人達によって権力が握られていることが悔しいことです。

奥山篤信 アメリカ映画『ザ・マスター The Master』2012
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ポール・トーマス・アンダーソ監督といえば、僕が心底魅了された『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)以来5年ぶりである。


カリフォルニア州ロサンゼルス出身でマスコミ。俳優界の名門の生まれである彼は、アメリカの鬼才ともいえる才能の持ち主で『マグノリア』でベルリン国際映画祭金熊賞を、『パンチドランク・ラブ』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞、本年度アカデミー賞主演男優賞のダニエル・デイ=ルイスが石油王を演じた2007年の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』はベルリン国際映画祭監督賞などを受賞。


最新作の『ザ・マスター』でもヴェネツィア国際映画祭監督賞他を受賞し、世界三大映画祭すべてで監督賞に輝いている稀有な映画監督である。

さてこの映画は新興宗教を主題にしている。モデルは想像だがサイエントロジー(Scientology)というL・ロン・ハバードが創始した新宗教であり、伝統的な宗教よりも自己啓発セミナーに似ている。実際、サイエントロジーで実践されているダイアネティックスがその最初期の形態だった頃、「これは科学である」と主張していた。

映画は第2次世界大戦直後のアメリカを舞台に、爆発的に信者を増やしていった新興宗教の教祖とその弟子となった男の関係を描き出す。とにかく人間の魂は肉体を乗り移って、過去何億年にさかのぼる人間の罪を背負って受け継いでいる。


だから瞑想により過去にさかのぼりそのトラウマの原因を過去の時点で解消するという宗教である。キリスト教など何千年も続いた宗教は歴史的に切磋琢磨されて洗練されかつ神学的にも発達し現代人でも違和感はないのだが、新興宗教はまさに教祖のカルトであり、徒党を組み共同体内の乱れはもちろん社会悪を齎す。


典型がオウム事件がそれである。宗教が日本に定着しないのは、新興宗教のインチキ性を戦後日本人はすばやく感じ取る科学的視点が顕著に発達したためだろう。イエスやパウロの思想が好きでも、洗礼となると遠慮するのである。それが、いくら歴史的宗教であってもキリスト教が定着しない理由でもある。

この映画もトラウマを持った精神異常者の帰還兵のフレディ・クエルがある時無断でヨットに乗り込み「ザ・コーズ」という宗教団体の指導者で、信者から「マスター」と呼ばれているランカスター・ドッドに出会う。


その二人のやりとりの物語で
ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンが演技力をとてつもなく発揮しているのは良いが、どうも筋書きに深さが感じられないのだ。


果たしてマスターをインチキとして描いたのか偉大な宗教家として描いたのかわからない。かつこの精神異常者を幼子のような純粋な心をもつが、社会の規範に当てはまらない青年として描いたのか単なる異常者かもわからない。


どうも演技からだけ観ると異常人二人との印象を持つが皆様如何かな?エイミー・アダムスも活躍している。バックの音楽や映写技術などは完成度が極めて高いと評価する。
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