三つ子の魂百まで | サンベール社長ブログ

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強烈な感情の記憶は生後2~3年までの幼少期における養育者との関係から生じる場合が多い。

 

 

虐待などによって心が深く傷ついた場合は、特にこの傾向が強い。

 

 

生後間もない時期には、言語的に文脈を記憶する海馬や理性的思考の場である大脳新皮質は発展途上にあることが原因になっている。

 

扁桃核と海馬はそれぞれ独自に状況を記憶し、必要に応じて貯蔵している情報を取り出す。

 

 

ただし、海馬が取り出した情報を感情反応に結びつけるかどうかを判断するのは扁桃なのである。

 

扁桃核は海馬に比べて成長が早く、生後間もなく完成してしまう。

 

 

人生の始まりの数年間における人間関係、特に養育者との関係がその人の感情学習をだいたい決めてしまうというのが精神分析の基本的な考え方である。

 

扁桃核が学習したことは、その人の感情に強い影響を残すが、成長した後でその内容をさかのぼって理解することは難しい。

 

 

何故なら、感情の記憶は言葉にならない大雑把な形で扁桃核に貯蔵されているからである。

 

幼少期の感情の記憶は本人が経験を表現する言葉を持たない時期に形成されるために、成長したあとでその記憶がよみがえった時に、自分自身がとった反応を整理して考えることができないのである。

 

 

日本では、三つ子の魂百までと言われるが、このように幼少期に私たちが経験した感情の記憶、特に養育者から受けた愛情やしつけが、成長したあとでも、私たちに大きな影響を与えているのである。

 

 

何かが原因で感情的に爆発してしまった自分自身に私たちがひどく困惑するのも、原因が遠い昔、まだ自分が混沌とした状況を理解するための言葉を持たなかった時代に端を発しているのかもしれない。

 

心の中に渦巻いている不可解な感情の記憶を表現する言葉がないのである。

 

 

極度の怒りや恐怖に襲われたとき、扁桃核は大脳新皮質が状況を理解するより早く反応する。

 

むき出しの感情は思考と無関係に、しかも思考より先に生じる。

 

そして、人間が不安にかられて衝動的な行動に出るのは扁桃核の仕業だが、感情をつかさどる脳の中には衝動を軌道修正しながらより適切な反応を命じる部分もある。

 

 

扁桃核に起因する感情の興奮を抑えるスイッチは、視床から大脳新皮質へつながる主要回路の末端、額のすぐ内側の前頭前野に存在する。

 

恐怖や怒りを感じながらも事態に適切に対応するために気持ちをコントロールしようとするとき、あるいは、状況を見直して反応を変更しようとするとき、脳の中で働いているのは前頭前野なのである。

 

 

前頭前野は扁桃核の働きを調整して、人間が衝動に対してより分析的に適切に反応できるようにしているのである。

 

 

感情の興奮を抑えるスイッチを活性化するのが、まさしく天風道の“クンバハカ法”である。

 

自分自身を恐怖や怒りなどの衝動が襲ってきた時に、肩の力を抜いてお腹に力を入れ、肛門をしめて心に受けるダメージを防ぐ方法である。

 

 

人間関係において、価値観や人間性の違いから、相手から思いもよらない扱いを受けたり、発言を浴びせられることもある。

 

 

そういう時に、扁桃核に暴走させてはいけない。

 

額の内側の前頭前野を意識して、沈着冷静に物事を分析して、取るべき反応を決めることが大事なのである。