私が今、世界経済や株式、商品先物市場で疑問に思っていることのいくつかをこの記事が教えてくれました。
《概要》
英国の経済学者、J・M・ケインズは、1930年代に世界経済を混乱に陥らせた大恐慌に対する処方箋として、財政政策(インフラ等への政府投資)と金融政策(利子率の引き下げ)を取り混ぜて需要を刺激するよう求めました。その考えをまとめた『雇用・利子および貨幣の一般理論』は戦後、資本主義国における経済政策のバイブルとなりました。
(ケインズ理論の副作用=過剰債務体質)
リーマンショック後、世界の非金融部門(政府+企業+家計)の債務総額は08年からの15年間で78兆ドルから227兆ドルへと約3倍に拡大し、過剰債務体質になってしまったのです。
今は大恐慌期のピークに近い1933年に匹敵する水準
2020年のコロナ禍で債務の拡大ペースが急加速したこともあって、ついに40数年ぶりに金利が上昇し始めた。
ここまで債務が極大化した段階で、各国の金利は上昇基調に転じ、米国を除く各国ではGDPや鉱工業生産が低迷しています。その結果、世界の「利払い費÷名目GDP」は2001年のITバブル崩壊前や、2008年のリーマン・ショック直前のレベルにあるのです。いつ新たな金融危機が起きてもおかしくありません。
(世界的な株価の高騰)
今、世界中の株価が高騰 アルゼンチン、イタリア、ギリシャ等も?
政府支出の拡大で潤う米国株はともかく、日本やドイツはGDPや鉱工業生産が低迷しており経済が好調とは言えません。しかも、欧米では中央銀行が量的引き締めを続けているというのに、株価が最高値を更新しているのです。
つまり今の株高は、好景気や金融緩和といった従来の常識とは違う局面で起きているわけです。
〇先行き不透明さの中での投機筋の仕業
このため株価の先行きに弱気な人も多く、空売りポジションが積み上がりやすくなっています。そこに謎の投機筋が大口の買いを入れて、ショートカバー(空売りの買い戻し)を誘発する「踏み上げ」が株高の原動力となってきました。
〇通貨から実物資産への選好
また、マーケットの深層では、「中央銀行の国債引き受け→通貨の信用失墜」と「超インフレの到来」を察知し、債券や預貯金から株式に資金を移し始めたのでないかということです。
昨今のアルゼンチン株や、1920年代のドイツ株の高騰(図6)が示すように、超インフレ時には、株式が持つ実物資産としての側面が評価されるのです。
《感想等》
ケインズ理論は1930年代の資本主義がまだ成長過程にあった時には有効だったと思われますが、現在のグローバル社会、開拓するフロンティアが無くなり成熟してきた世界経済の下では難しいのかもしれません。人口減少・超高齢社会を迎える日本は尚更です。
1980年代中途から超低金利政策をこんなに長く行っているのですから、副作用は必至です。今は話題に上がらなくなったけど、長短金利差逆転という異常事態が2年程続いています。
私は今の世界的な(資産)インフレは世界各国(特にFRB)の中央銀行や政府の過剰なお金のバラマキが原因だと思っています。FRBの資産はコロナショック前から2倍近く膨らみました(今はQTで減らしていますが)
膨らみすぎたバブルは弾け、崩壊する。つまり、ハードランディング。”歴史は繰り返す” ”歴史から学ぶ” が妥当かなと感じています。
米国経済が一人勝ちとよく言われますが、米国は対外債務総額がダントツ世界一。米国経済が好調に見えるのは、
〇下記の理由から個人消費がいまだ旺盛なこと
① コロナ渦での個人への現金給付
② 家計債務・ローン増加
③ 個人資産の40%を占める株式投資が好調
〇 NYが世界の金融センターであること(グローバルマネーが集まる)
〇 ドルが世界の基軸通貨のため、いくらでも(?)発行できる
本当は、
米国(金融)経済は、信用創造・リバレッジにより膨れ上がった虚像・バブル、砂の城❣
また、米国には、核保有国、世界一の軍事大国という側面があります。
ベトナム戦争後、財政赤字拡大・高インフレに苦しみましたが、インフレ退治。
1989年 ベルリンの壁崩壊、東西冷戦終結
1990年~金融革命で覇権回復
2000年~シェール革命により、原油純輸出国に
中東情勢への関与薄れる 世界の警察の役割低下
2022年~ロシアのウクライナ侵攻
米国が経済制裁~ロシアのドル資産凍結
この頃から新興国等でドル離れが進む
基軸通貨ドルの信認の低下
2023年~イスラエル・ガザ侵攻
今日の記事を読んで、
米国経済一人勝ち →ドル高 の構図の水面下で、
”ドルの信用失墜”と”超インフレの到来”に対する動きが出ている
”超インフレの到来”→ 通貨から実物資産への選好
金先物や仮想通貨、世界の株式の高騰の理由が理解できました。
”通貨の信用失墜”という意味では、日本の円が一番顕著なのかもしれません。デフレからの着火剤としての当初の異次元金融緩和は良かったと思いますが、燃え尽きてしまえば、まったく効果がありません。火が着いた後は、為替などの自浄作用を大事にして本来の力を発揮できるよう支援するのが金融の役割じゃないでしょうか❣ 今は、本末転倒ですね。
見かけ倒しの虚像を追い求め、緩和一辺倒、名目のGDP成長ばかり重視するのではなく、長期的な視点で足腰(経済力)を強くしていく必要があります。
まず、その前に日本の政府や日銀は長い間積み上げてきたツケ、大量の資産(国債やETF)を精算しなければいけないのでは❗❓️
このままでは、人口減少、人類初めての超高齢社会を乗り越えることはできません。
新しい時代に合った理論・価値観が必要です。円高不況→円安になったのだから、例えば、円安メリットを生かして企業回帰、そのために、規制緩和や税制改正をするとか、知恵を振り絞るんです。成長産業と並行して、新しい価値観、つまり、脱成長を受け入れることも大事だと思います。
残念ながら、世界各国の過剰債務体質が世界大恐慌やリーマンショック時に類似している事、超低金利から高金利への転換・過渡期と考えられる事から、世界的な金融危機を連想します。
ウクライナ侵攻やイスラエル・ガザ侵攻の終わりが見込めない。
私は米国の世界警察の役割もあるけど、世界の金融経済を牛耳っているユダヤ人の国・イスラエルに米国はあまり口出しができないのでは? イスラエルとイラン、米国の関係、つまり、米国とイランの関係悪化が気になります。米国の立ち位置は❓
また、世界各国が保護主義的自国主義に向かっている事から大きな戦争を連想してしまいます。中国もそうだし、火種はいっぱい転がっています。
私の杞憂であれば、よいのですが...
最後に、日本への提言 私が望むこと
〇日本の金融政策(量的緩和)一辺倒からの脱却
(メリハリをつける)
〇日本の社会の非効率的で不合理なところを見直す
〇既存のやり方にとらわれず、他に先駆けて実現する
〇世界のいいところを学ぶことからはじめる
〇円安は再浮上のチャンス
日本経済の長期的な視点で自助作用を生かし、
足腰を強くしていく
規制緩和と税制改革により、
海外から人やモノ、お金が入ってきやすい
環境づくり
〇日本のモノづくりなどの実体経済の強みを生かす
《参考》