日本の社会保障の中核である国民皆保険制度はとても素晴らしいと思っています。

 しかし、今後の社会保障については、多くの課題を抱えています。

 

 先日、TVで医療費の問題、例えば、過剰医療、終末医療、延命治療のことが議論されていました。

 人の命、倫理の問題です。とてもデリケートな問題です。

 

 国民皆保険の制度は、基本的には水平的な相互扶助という考え方ですが、年金も健康保険も半分は税金が投入されています。低所得者対策のために、社会・経済政策的に所得の再分配がなされています。超高齢社会到来のため、社会保障費の増大・一人当たり給付の減額が考えられます。

 若い人は自分たちの高負担に対する将来の給付に不平等感を持っています。そのため、国民年金保険料の収納率が低くなっています。

 

 家族の負担と社会の負担の両方について、私たち(50~60代)の世代が感じることを述べます。

 

家族の負担

 私たちと親世代を比べた場合、親世代の上、つまり、祖父母は平均的に60代ぐらいに介護はあまり受けることなく、病気で亡くなっていたような気がします。

 それに昔は子どもが多かった。長男家族が看ることが多かった。その変わり、長男が不動産など引き継ぐ財産などの恩恵も多かったのですが。

 我々の少子世代では、今、私も親戚(いとこ)も皆、親の介護のことで苦労しています。

 現在は下記のとおりです。

健康寿命(2019年)男性72.68歳、女性75.38歳

   平均寿命(2019年)男性81.41歳、女性87.45歳

   ギャップ      男性 8.73歳、女性12.07歳

 

 私たち世代は40代から子育てと並行して(疾病持ちや要介護の)親の介護を約10年以上しなければならないことになります。もちろん、子育てはそれよりも短期間か、いずれは無くなります。介護の場合は、親が生きている限り延々と続いていきます。

 

 

社会の負担

 来年、団塊の世代の方がすべて後期高齢者(75才)になります。

 今後ますます、日本の社会保障費(年金、医療費や介護費)は増えて、国の財政を圧迫していきます。つまり、若い人の負担がますます多くなるということです。

 

過剰医療、終末医療等について

 日本の場合、昔の老人医療費無料の時代がありましたが、どの市町村も負担増が問題になり、制度は破綻しました。

 国民皆保険制度や後期高齢者医療保険制度はとても素晴らしい。しかし、それゆえに、過剰通院、過剰投薬、過剰検査が行われているのではないでしょうか。

 医療の進歩により、命を救うことが多くなり、延命治療による費用も増えてきていると思われます。

 命に関わるデリケートな問題、日本では議論があまりされていないように思われます。きれいごとではすみません。

 とても高額な先進医療についても、保険適用について、十分精査が必要ではないでしょうか!?

 私の母が通院している心療内科は、原則、ジェネリック医薬品。また、必要最低限の投薬や検査を義務付けるなど工夫すれば、医療費は減らせます。定期健診等での早期発見や予防という視点。日本人のもったいない精神など。医療業界の儲けなどと中立な立場の人間の意見を吸い上げる。

 

 

⦅うちの事例⦆

 私の父は、70歳の時、腰椎椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症で入院し手術を受け、退院後、認知症を発症、その後、いろいろな疾病を発症し、入退院を繰り返しました。(70才くらいから心身が弱くなる人が多くなる❣

 自宅で看れなくなり、84才の時、認知症専門の精神科病院に併設の介護老人保健施設に入所。入所後、施設長(医師)から説明を受け、(終末)看取りの介護を受けました。今までの前立腺がんの延命のためのホルモン治療もやめました。入所後、身体状況は徐々に悪化し1年後に亡くなりました。死の直前も自然往生でした。

 私は、家での父の苦しみを見てきたので、結果については肯定的に考えています。施設の方々にもとても感謝しています。家ではろくな介護ができなかったと思いますし、父に聞いた訳ではありませんが、このような状態で永く生きることに意味がある又は幸せだとは思えませんでした。

 亡くなった時、もちろん悲しかったけど、「もう苦しまなくていいよ、楽になって良かったね」と言葉をかけました。

 

⦅スウェーデンの事例⦆

 スウェーデンでも、80年代までは日本と同じように過剰医療が蔓延っていました。

 スウェーデンでは医療はすべて公的医療ですから、「このまま続けていたら財政の破綻が予想される」という危機感がありました。

 スウェーデンでは、お金への問題意識が議論の出発点にはなりましたが、最終的には「人にとって何が幸せなのか」という観点に立脚して議論をしました。その結果「無駄に感じられる部分の延命治療はやめよう」という判断に至った。そして、健康寿命を最大化するために「寝たきり老人をなくそう」という目標を立てたのです。

 

 終末医療や延命治療については、命の問題。

   とてもデリケートな問題ですが。有益か?ムダか?

 日本は国民負担率(租税、社会保険)約48%。近年、格差や貧困に苦しむ人々が増えてきました。

 本人や家族の幸せや社会の負担を考えると、いわゆる過剰な医療は何とかしなくてはいけません。

 しかし、日本は世界で初めて超高齢社会を経験する国。日本もスウェーデンの事例を見習い、しっかり議論をして、政府が方針を決め、法的に考え方を整理するべきだと思います。

 社会保障費が増えても、その分は赤字国債を発行すればよいという考えでは、将来に、若い世代に禍根を残します。

 

 私は、自分の幸せな人生や社会的な次世代への過剰な負担を考え、健康なうちに、”延命治療はしない、自然に死にたい”という意志を文書に書き、子どもに残したいと思っています。

 その代わり、これからも、ジョギング等で身体を動かして健康な身体づくりに気をつけて、健康なうちに、自分の好きなことをして、自分を愛し、周りの人も愛し、精一杯生きていきたいなと思っています❣❣❣

 

 最後に

 本人、家族、社会のすべてにとっての幸せとは、

   ”健康”です。

 本人が健康であれば、仕事や趣味で自分らしさを発揮できます。家族や社会に過度な負担をかけることもありません。

 

 国として考えることは、まず、政治でいろいろ議論し、過剰な医療や介護を減らし、その分を予防的な施策に振り分けることです。その中で、公的保険だけでなく、市民ボランティアや生命保険等の民間企業を巻き込む”仕組み”を考えることです。

 それぞれの役割を考えながら連携して、高齢者の健康寿命を延伸していく❣❣❣

   上手く仕組みが機能すれば、社会保障費の伸びは減らせるんじゃないでしょうか⁉️

 

 参考までに、長野県佐久市や生命保険協会の取り組みを参考までに紹介します。