ヨーガの伝統を保持した師たちは、

リシ(Rishi)とムニ(Muni)という、

2種類の霊的求道者の中から、

現れたと言われています。





インドには、さまざまな種類の聖者がいます。




聖者の定義は「他者のために生きる人」です。




インドの聖者は、

サンニャーシン、

パリプラジャカ、

タパスヴィ、

ムニ、

ヤティ、

リシに

分類されています。





リシは、サッティヤバチャン(真実を語る者)と同義語とされていて、

真実を語る者こそがリシであると言えます。




リシたちは、

最も高い(真実や神の)領域に達しているので、

他の聖者がひるむような場面でも、

真実だけを語ったと信じられています。





リシは幻想(惑わし)を超越し、

完全に啓発され、

精通している人、

詩人、

ヴィジョンを見る人等でした。





古代、彼らは人とはみなされず、

神様自身の表れだと考えられていました。





ヴェーダの伝統においては、

およそ48000人のリシたちがいたとされています。





リグ・ヴェーダにおいては、

7人のリシが、特に注意を払うように言われています。





これらの聖者は、

ヴェーダの智慧を明らかにするだけでなく、

彼らの個人的な存在そのものによって、

ヴェーダ自体を保存することにも

貢献しています。





現在、もっとも有名な7人のリシは、

リグ・ヴェーダで推奨されている7人とは異なりますが、

サプタリシ(saptharishi)と呼ばれ、

ヴィシュワミットラ(Vishvamitra)、

アトリ(Atri)そして

ヴァシシタ(Vasishita)などが含まれます。




ヴェーダのリシたちは、

デーヴァリシ、

ブラフマリシ、

ラージャー・リシ、

マハーリシ、

スルタリシ、

カンダリシに

順位付けがされています。





ナーラダ・ムニは偉大なデーヴァ・リシです。





ブラフマリシはブラフマンを体験的に理解した者。




ラージャー・リシで有名なのは、

ラーマーヤーナのヒロイン

シータ王女の父親ジャナカ王です。





リシたちはしばしば結婚生活を営み、

社会の中でその役目を演じました。





彼らは宮廷内や、村落の中、

もしくは人里離れたところに住み、

アーシュラムを運営し、

地域社会から来る生徒たちに、

ヨーガや神の真理を教えました。





ムニは、

サンスクリットの語源がマウナ(mauna=黙ること)から来ており、

もともとは、聖者やサードゥーの中でも、

全くしゃべらないか、

まれにしか喋らない事を誓い、

心が固定されることを求める者のことを言いました。






彼らは、隠遁者です。





常にナーラーヤナ(バガヴァーン、ヴィシュヌ)の事を考えていたとされる、

ナーダラ・ムニのように。





ナーラダ・ムニは、ヴィーナ(楽器)を抱えた姿で、

地上・天上界・神界の

三界を自由に行き来したと伝えられています。





ヴェーダを4つに分割し、口伝だったマハーバーラタと

18のプラーナ(昔語り)を

記述したとされるヴェダ・ヴャーサ(Veda Vyasa)は、

マハー・ムニ(偉大なムニ)と位置付けられています。





また、ラーマーヤナを語り、

ガネーシャ神に記述してもらったという

バールミキー(Valmiki)は、

森の中で、ライオンに囲まれながら創作したという伝説から、

ムニ・シンハム(ライオンのムニ)と呼ばれています。





時代がすすむと、

ムニの解釈は誤解され、

神を求めるあまりに、

神に狂い、

社会的な追従をあきらめた人々として

しばらく位置づけられてきました。





彼らは、自然の中の切り離された場所に住み、

霊的な探求にフォ-カスし、

時に、着衣、住みか、食物などに

ほとんど注意を払わない場合も多くありました。





そして、

リシとムニの中間をとり、

バランスと秩序を与えたものが

サンニャーサの伝統です。





サンニャーシンたちは、

リシやムニたちよりも新しい時代の、

8世紀初頭(1200年前)

アドワイタ、ヴェーンダンタ哲学の学派から出た、

アーディ・シャンカーラチャリヤによって、

インドでダシュナミー・サンニャーサが編成されました。





近代のヨーガは、

このヨーガを保持する10ファミリー、

ダシュナミー・サンニャーサの伝統によって保存され、

伝えられているものがほとんどです。

サンニャーサ(Sannyasa)は、

「自発的に放棄する」もしくは、

「必要上放棄する」という意味です。





3つのサンスクリット語から成る複合語で、

サン(sam)は蓄積された、

ニ(ni)は下に、

アサ(asa)は、投げるとか、置くという意味です。




ですから、サンニャーシンの言語学的な意味は、

「蓄積したものを床に置いて(捨てる)」という意味です。





南インドのドラヴィダの言葉では、

「サニャーシ」とか「サンナーシ」と呼ばれることがありますが、

これはスラング(方言)だそうです。





サンニャーシンは、

所有するものを持たず、

独身生活を営み、

ヨーガ・メディテーション(ヨーガの瞑想)を練習します。





さまざまな伝統があるので、

それによっては、

バクティー(神様に無心のない愛を捧げること)や、

それぞれが選んだ神様や対象物への

祈りを伴った、

信仰を通したメディテーション(瞑想)を行います。





パリヴラジャカ(Parivrajaka)は、

サンニャーシンが、様々な土地を放浪するときに呼ばれる呼称です。





パラマハンサ(Paramahansa)は、

サンニャーシンの最も高い等級です。





スワミとサンニャーシンによって、

全土で練習されたサンニャーサは、

マントラや聖典のチャンティング(声明)、

聖典の勉強、

ライフスタイルの教育、

ヨーガの練習、

個人的な啓発、

そして、

師から弟子へと、

ヨーガの科学の精妙なものについて、

受け渡しを行い、

これらすべてを含む伝統の維持をし、

継承することを伝統としています。





サンニャーサは、最も高い個人的な次元ですが、

霊的な道の進歩のために、

そこに、

献身と犠牲の精神をはぐくむことが、

含まれています。





サンニャーサの伝統は、

どのように継承されているのでしょうか?

それは、次回お話すことにしましょう。





パラマハンサ・スワミ・ニランジャン








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