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プラットフォーム 本編

椎名響

Special Story 1 利用する者、される者

1/2
へんちくりん女が楽屋を出て行った後、
手にしていた花束を見つめた。

(アシスタント、か…)

響「しばらく俺のアシスタントをしろ」

「俺の言う事を聞いて、俺の役に
立てば、取材を受けてやってもいい」

○○「アシスタント…? それで
受けてくれるんですね」

「わかりました。いつから
始めますか? 私は何を…」

響「そんなに嬉しいのか?」

○○「はい、嬉しいです! やっと
椎名さんに近づけた気がします」

響「言っておくが、俺は厳しいからな。
使えないなら切り捨てる」

○○「もちろんです、それはここ数日で
良く分かってます」

(嬉しそうな顔をして…
利用されてるとも知らないで)

響「馬鹿な女だ…」

――カチャッ

つぶやきを隠すように
ノックもなくドアが開くと、

俺は呆れたように入口を見る。

響「いると思った…」

遼一「当然でしょ」

何てことない顔で入ってきた
遼一と悠月は

興味津々といった風に
目を輝かせていた。

悠月「今、あいつが嬉しそうに
帰ってったけど」

「アシスタントなんて本気か?」

響「盗み聞きか? いい度胸だな」

遼一「有名音楽家のアシスタントが素人?
何の冗談だろうね」

響「俺があの女とどんな契約をしようと、
お前たちには関係ない」

遼一「そりゃあ、そうなんだけどねえ…」

「素人にずいぶん酷な事をすると思って、
どうせ本気じゃないんだろ」

響「ふんっ、しつこい女には
このくらいで丁度いい」

悠月「アイツに何させる気だよ」

遼一「まあ、せいぜい家政婦ってとこか」

遼一の言葉に薄く微笑む。

響「便利でいいだろう」

「うるさいハエも払えて、なおかつ
身の回りの事をさせる」

悠月「鬼だな…」

2/2
響「断っても断っても食いついてくる
面倒なヤツに」

「散々迷惑をかけられたんだ」

「どうせなら利用してやりたくなった。
これで少しは懲りるだろう」

遼一「そうかねえ…」

「そんな事でアイツが根を上げるとは
思えないけど」

悠月「そうそう、アイツ根性だけは
ありそうだからな」

「今回ばかりは響が負けたりしてな」

響「冗談はよせ」

(まったく、何なんだ…こいつらまで
あの女をかばうのか…)

(本当に上手く取り入ったもんだ)

(女は怖い…。だが、
俺は騙されないからな)

響「とことん利用してやるつもりだ」

「きっとすぐに諦める。
それまでコキ使ってやる」

鼻で笑うと遼一が珍しく
考え込むような顔で言いよどむ。

響「なんだ、まだ何か言いたい事でも
あるのか?」

遼一「いや、あの女をあんまり甘く
見ないほうがいいと思ってね」

「強運の持ち主らしいから」

悠月「○○がサンドリオンに
来てから」

「いい事ばかりだって兄貴も
言ってたな」

「未来が惹きつけられたのも、
何か力が働いたとか…」

響「馬鹿を言うな。あの女が幸運の
女神とでも言いたいのか?」

「どうせ、それもみんな
手繰り寄せたんだろ」

遼一「相変わらずだねえ」

響「女なんて欲の塊だ」

(利用されるくらいなら、
こっちが利用してやるまでだ)

響「使えなくなったら追い出してやる」

悠月「…なんかアイツが
可哀そうになってきた」

響「おい、悠月。あいつに
余計な事を言うなよ」

悠月「言わねーよ。でも、
あんま苛めるなよ」

「未来と兄貴が妙に
気にいってるからな」

遼一「俺も好きだけど」

響「くだらん。俺はただ使うだけだ」

「子供じみたイジメをする
つもりはない。ただの家政婦だ」

遼一「それが運命だったりしてな」

響「なに?」

遼一「まあ、ミイラ取りがミイラに
ならないように気をつけなさい」

遼一は薄い笑みを浮かべ、
悠月とふたり楽屋を出て行った。

響「ミイラ取りがミイラだと…俺が?」

「見くびられたもんだな」

フッと笑うと手にしていた
花束を握りしめる。

柔らかな花の香りがささくれた心を
少しだけ癒してくれるような気がした。



To be Continued...