こんにちは!
今日も10年前に書いたメルマガの続きをお届けです。

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今回も、ヤングあるの空想がどんどんふくらんでいきます。

ではどうぞ☆

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2001.11.2

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拘置所の塀沿いで…
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翌水曜日、出社するため駅に向かう途中、
拘置所の塀沿いの道を歩きながら、

「もしぼったくりをマスコミやネットで流し、
大きな報道になってしまったら
あのホテルはどうするだろうか」

と考えていました。

自分がすることの結果を、実際そうなるかならないかよりも
最大限まで思い通りになった場合、という方向に
延長させて考えてみた
のです。

塀の脇の道は、長く長く続いていて出口が見えないため、
どこまでも無限に続いているのではないかと
一瞬錯覚を起こしそうになります。

太陽の下、そんな道を歩いていると、
頭の中にはアルファ波が出ているような、
妙に冴えた不思議な感じになるのです。

大報道になったらまず、そのホテルは謝罪し、
心当たりのある人は申し出てくれたら返金します、
などとなるでしょう。

そして、他のホテルに対する世間のチェックも厳しくなり、
各ホテルはいっせいに点検をし始めるでしょう。
ホテル業界だけではないかもしれませんね。

マスコミや世論は、

「騙されていた! なんて杜撰な料金体系。
このホテルの推定累計ぼったくり金額はうん千万に上っていた」

「騙されるな、気をつけよう。どんどん告発して行こう」…

など、派手な報道になったらどんな文面か、までも空想していました。

そして次に、

「では、ガンガン叩かれたホテルの経営者側はどう感じるだろうか」

と考えたのです。

「悪かった。

利用してくださった多くのお客様に、本当にご迷惑をおかけしました。」


とは何度も言いはするでしょうが、本当にそう感じるでしょうか。

そう考えたときに、「いや、絶対そうは思わない」と思いました。

もしかしたら機械の設定を変えることを本当に忘れていたとして、

「申し訳なかったなあ。毎年チェックするんだった」

と万が一思ったとしても、
さんざん罵倒され、客足も遠のき閑古鳥が鳴くようにになったら、
そんな殊勝な気持ちも遠のくのが当然でしょう。

「くそっ。おかげで売上が5分の1になった。あの客のせいで…!」

などと思うだろうな、とは容易に想像がつきました。

そしてそこで彼らが学ぶのは、
「ばれるようなヘマをしてはならない」ということだろうな、と。

他のホテルは、
「うちじゃなくてよかったー」と胸をなでおろすかもしれません。
「あそこも運が悪かったな」「バカなことをして」と。

それでは、私たちは、
そういう会社や店などを一つ一つ探して、見つけて、追求して直させる、
ということをいちいちやらなければならないのだろうか、
と思いました。

故意にしろ過ちにしろ、その手のことは、
各業界にいくらでも転がっているのだろうなと思い、気が遠くなりました。

政治家の汚職にしても、女性関係にしても、
報道されている事件なんて運が悪かったほんの氷山の一角でしかないんだなあ、
と実感しました。

そしてそれを見つけて、マスコミが激しく叩き、

ばれたら口で謝り、

それからはばれないように気を付け、

叩かれなかった他の人もそうならないようにうまくやる


と、ネズミなんかが小さい隙間にどんどん逃げて行くような構図が浮かびました。
いつまでもいたちごっこが繰り返されるだけだ、と。

こちらが強く、叩き潰そうとすればするほど、
とりあえず切り抜けるためになんとでも謝るでしょうが、
見えない部分では、ものすごく頑なになるだろうな、と思いました。
心は、かたーく防衛して行くのだろうなと。


そうすると叩く方も、余計に目を皿のようにして、
「どんな不正も見逃すか!」と強硬になっていき、
お互いがどこまでも激しく対立し合って行くのだな、と、
両者の間に横たわるくっきりとした「溝」のイメージが浮かびました。

まるで川の両岸が、広い川によって大きく隔てられているような。

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その直後、稲妻にバリバリと貫かれたように、
私の中に入ってきたことがあったのです。

「そうか、そうだったのか!!」


次回、「支配人のおごりで飲み明かす」編へ続く。

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10年前はこう書いていますが、
今は、叩かれて弱ってしまう人や、本当に申し訳なかったと思う人もいるよね、
と思うようになりました。
数は少ないかもしれないけど・・・。

でも、上に書いた本質は今でもそのとおりだと思っています。

そうそう。
当時は拘置所のチョー近くに住んでいました。
ときどき門の前で記者がたくさん待ち構えていることもありました。(笑)

ではでは、また明日!