友人に、「何か柄本佑君では道長イメージじゃないのよね」

と話すと友人「どうして?」

「これからやらかす有名なエピソードがね、あんなサワヤカ二枚目では、そんなことやらかすように感じないのよね」

「そうなの?」

 

 まずパワハラ案件の有名な話。

一条帝の御代となって紫式部の父為時は再び閑職に追いやられることを恐れ、その嘆きを得意の漢詩にして帝に奏上した。一条帝はその漢詩を読んで為時の苦学を思って落涙し寝所に入っても嘆きはやまなかった。

為時は除目で淡路守に決まっていたが、帝のご様子を見た道長は自分の乳母子の源国盛に決まっていた大国の越前の国守を取り上げて為時を越前守とし、帝に除目をやり直して為時を越前守としたことを知らせた...というのがあります。

帝のご機嫌をとるために素早い対応と言えば聞こえは良いですが、コマでも動かすように権力を振りかざして思い通りにする。

道長は無粋なくらい行動的に過ぎる人なのですが、この除目のやりなおしで役職を取り上げられた源国盛はショックで寝込んでしまい、そのまま病気になって死んでしまったとか。

帝に気に入られるためには何でもする道長です。

 

紫式部日記には

道長に「(源氏物語みたいな恋愛ばかりの話を書いてるのだから)あなたは、かなり沢山の男と恋をしてきたんだろうね

」と歌を詠みかけられて紫式部は「なんて失礼な」と歌で返す。

原文では道長は「好きもの」と読みかけています。いくら当時でもほぼセクハラ案件。いくら雇い主とはいえ「いろんな男とヤリまくってんだろ」みたいなことを平気で言える神経。

 

そしてセクハラというかそれ以上というか、

三条帝が東宮の頃、御息所であった道長の妹綏子の不義を疑って浮気相手の子を懐妊しているという噂は本当だろうかと、東宮は道長に相談。

道長は早速実家に里下がりしている妹のところに参じて、ズカズカと御簾内に入り、御息所の着物を剥いで乳房をつかんでひねり母乳が出るのを確かめた。

 御息所はいくら実の兄とはいえ男に乳をひねられることに、あんまりだと嘆いたという。

 道長は東宮の心配ごとを迅速に確認できたと思っていたようだが、東宮は道長のしたことに御息所が泣いていると聞いて、なんと不躾な道長に相談しなければよかった、御息所には可哀相な事をしたと思われた。

 

 

私は道長は子供がそのまま大きくなったみたいな不遠慮で図々しい人に感じます。道長のそういうところがチャーミングでもあります。

 

しかし、今回の大河の中の道長とまひろは身分違いの悲恋と思っている方には申し訳ないのですが、現代の倫理ではそうでも、当時は多情でも男は不実ではないので。男の身分が高ければ妾妻にすればよいだけです。

なので現代の倫理観でロマンティックに思う方には申し訳ないけれど、ドラマの中の穏やかで思いやりのある二枚目の道長が今後有名なエピソードでセクハラパワハラやりそうには見えないのよね。

 

「道長、いい人っぽい、私はもっとガキ大将ぽい感じだと思う」「じゃあどんな感じ?」

「古田新太みたいなかんじ。古田新太の道長なら帝にすり寄るのも、強引なのも、妹のオッパイつかむのも、紫式部にそなた男好きなんだろと言うのもやりそう、ついで言えば道長が家に帰ったらその横で鷹揚に殿はちと不躾であらせられるとか言っている。倫子は花總陛下だと似合いすぎ」

というと、友人は絶句しつつも納得してた

 

初の平安中期の大河なのに上記の有名エピソードはスルーされるんでしょうか、せっかく日記なんかに書いてある楽しいお話なのに