この映画を観た後に

太鼓たたいて布教運動なキリスト教団体とか見て笑える気分には逆立ちしても無理です

ブラックすぎます

 

狂信的な信仰団体が主人公の子供時代を重く暗い影で覆っていました

その映像がホラー並みに怖い

その暗い影から

陽のあたるか明るい場所を求めた青年の破滅の物語です

 

赤と黒に似ています

どちらも子供の真の幸福は考えない野蛮な親を持ち虐げられた暗い幼少期を過ごし

その環境の恵まれなさに反して魅力的な容貌に恵まれた主人公。

勿論違いもあります。ジュリアンソレルは華奢で小柄な少年の様な容貌なのに対して

ジョージはいかにもアメリカンな美丈夫

 

そしてジュリアンにとって貴婦人の愛を得ることは憧れのナポレオンと同じ道であったけれど

ジョージには令嬢アンジェラは「陽のあたる場所」そのもの

 

女性との三角関係の描写に複雑な心理が投影されていて、

そこが秀逸ながら、

そこが昨今の観客にはウケないかもなあと思ったり

ジョージはアンジェラを手に入れて逆玉を狙うには恋人アリスが邪魔になる

妊娠したアリスに結婚を迫られしぶしぶレジスターオフィスに出向くも休みで婚姻届けを出せず

泳げないアリスを殺そうとボート遊びに連れ出すが

アリスのことを憎み切れない愛しく思う気持ちも捨てきれない

しかしアリスはボートの転覆事故で死亡

ジョージは殺人罪で死刑判決を受ける

 

映像で見る限り謀殺ではなく故殺もしくは過失致死に見える

ここがこの話の何ともリアルで真実をついているところでもあるけれど

観客としては引っかかるところでもある。

 

美貌の令嬢アンジェラと陽のあたる場所を熱望するも

恋人アリスの真摯な思いに心も動くjジョージ

 

一見清純そうに見えるも、無意識の中でジョージをその美貌で幻惑するアンジェラ

 

妊娠を盾にしてジョージに結婚を迫るもジョージへの愛は切なくもひたむきなアリス

 

それぞれが複雑に多面性を見せる描写(役者がすごく上手いのです)

作品に深みと現実味を与えている

観客によっては「意味わかんない」と思う人もいるだろうと感じた

 

何よりもこの作品を成立させているのは

主人公の運命を強力に揺さぶったことを納得させるリズのアンジェラの美しさ

輝かんばかりの圧倒的な若さと美貌

アンジェラの存在がいかにまぶしいか、強烈なので

沢山のすみれの花をあしらったドレスが似合ってそれは美しい

 

宝塚のトップ娘役にふさわしいお役と思いますが

お話はいわゆるスマホ脳世代や古い倫理観で勧善懲悪を好む世代には

受け入れられない気も致します

好みの問題ですが

赤と黒も意味わかんないと思う人多いみたいですしね

娯楽に小説の様な心理描写は求めないのも理解できます

 

とにかく字ではわからない

リズの美貌を映画で見ないことには

この作品の良さは解らないと思います