韓国での雑誌のインタビュー記事の内容を、こちらのブロガー様に教えていただき、感謝です

そしてとても感動しました

自分がこんなに感動するとは思っていなかったのです

 

このブログ開設のきっかけになった作品です

この作品が無かったら皆さんと知り合うこともなかったでしょう

駄作と思います

駄作でも私には大切な作品です

 

しかしどうして感動せずにいられましょう

大切に演じてくれた人のことを知って涙が出ました

 

チョン・ドンソク君は本当に真摯に役に取り組んでいたのだと

 

シルヴィ・ギエムが

「本当に心から思ったことは観客に必ず伝わる」と日本で自らと同じ役を踊るバレリーナに指導したそうです

それは卓越した技術あってのことだろうと私は思いました。

ギエムも変わった解釈で踊りますが、その時の役はブラックスワン、

オデットに通じなければ納得できないから、誘惑的に踊れないとの後輩からの言葉に対しての最初の言葉です

何という勇気

 

誰でも一般的イメージで演じることで観客に良かったと思われたいものです

しかしながら卓越した技術があれば、観客に思いを手渡せる

そして思ったようにしか演じられないことが許される才能に恵まれた人間は存在するのだと

 

私はチョン・ドンソクというミュージカル俳優は山口祐一郎と同じく数十年の一人の逸材だと思っています

二人はサイズは同じです。二人は共に突出した美貌に恵まれ、そして超長身なのに愛を歌うための広い音域と、豊かな声量にも恵まれました

彼が山口さんと違うのは、山口さんがストレートプレイ、それも世界的な名戯曲への出演も多々経験していることや、ミュージカルもアジアの隅っこでしか再演されない所謂二流の作品ではなく、超級の作品に出演していることです。

一方、ドンソク君はまさにアジアの端っこ以外需要の無い作品にばかり出演しているのが歯がゆいのです

彼は若く、私の息子の方が年が近く、もっと上を目指してほしい、ときめくというより、もっといい経験をして欲しいそういう気持ちになってしまうのです。

 

演出より彼の方が役を解っているではないですか

(演出が今回要求したのは初演からの学習で弱ったもののようですが、二枚目としてやって欲しかったのでしょう)

まさに卓越した技術があれば、こんなぽっこな脚本でも奥行きのあるドラマを観客に手渡せるのです

先ほども書きましたが、観客に少しでもカッコよくて素敵な自分をイメージして欲しい

そういう自分を見せたい役者は多いと思います

彼はそうしなかった。夢の国の美しいロマンティックな物語としてではなく

現実の中で、もがき絶望した男の決して美しくはない末路を演じようとしたのですから

 

高貴な身に生まれれた男が、「男」として立ち上がり、それを鼓舞した最愛の少女との幸せな道行を気品高く、そして官能的に演じた井上芳雄

全てに倦み果てて絶望しながら、ろうそくの炎が燃え尽きる前に燃え上がるように破滅へと走り抜け、熱愛する少女をエゴから手にかけたイム・テギョン

そして

運命に見放された男が、泡沫のような運命に流されて立ち上がり破滅、彼を愛する少女によって孤独から解放されたチョン・ドンソク

 

彼は私にとって大切な三人目のルドルフになりました

そして私の常々思っていた

「最後の瞬間、少しでもマリーに心から何かを感じてほしい」そういったルドルフでありました