ハロウィンに思うこと | 紗奈

紗奈

急性骨髄性白血病(M7)を発症し1年3か月の闘病の末天国へ旅立った娘を持つ母親の患者家族としての記録

今年もハロウィンが来た
 
にゃんが再就職した会社に通っているころ
 
大手のIT企業へ出向して楽しく仕事をしているようだった
 
ハロウィンが近づいた時「どうしよう、渋谷に行こうって言われそう、部署のみんな行くみたい」と焦っていた
 
にゃんは大人しい控えめなタイプだったからそういう場ではどうしたらいいのかわからなかったらしい
 
「用があるからいけませんって言えばいいんじゃないの?」と助言したけれどそういうわけにはいかなかったらしい
 
 
「いいよ、狐面かぶって浴衣羽織って歩く」とお気に入りの狐のお面を指さして気合を入れていた
 
中学校の修学旅行で伏見稲荷大社へ行き一目惚れした狐のお面
 
私は最初気味が悪いからあまり歓迎はしなかったのだけど買ってきたしまったのならと仕方なくにゃんの部屋に好きなように飾らせていた
 
にゃんは嫌だなぁと言いつつもハロウィンを楽しみにしているようだった
 
引っ込み思案なにゃんが大人になってそういう場所へ出かけるようになったことを私はとても嬉しく思っていた
 
 
 
結局当日は残業になり渋谷ハロウィンデビューは無くなってしまった
 
そしてその2か月後には白血病と診断されてしまった
 
 
神社仏閣巡りが大好きで狐面もとても大事にしていた
 
神様と通ずるものを感じていたみたいだった
 
 
 
 
にゃんが息を引き取って自宅に戻り、自宅からまたお棺に入って斎場へ行くとき
 
一緒に持たせてあげたいものをお棺に入れてあげてくださいと言われた
 
燃えるものならどんなものでも大丈夫だった
 
にゃんのTwitterのDMに送られていた闘病を応援する絵と、高校卒業の時に後輩達から贈られた寄せ書きと、お気に入りの狐面をお棺に入れた
 
ちゃんと神様の元に狐が連れて行ってくれるようにと
 
神様なんていないんだと思う私とどうか神様の元へと思う私がいた
 
 
 
狐面は燃えてしまったからどんな顔だったか忘れてしまっていたけれど、ちょっとネットで探してみたら多分同じものだと思われるものが見つかった
 
 
 
記憶にあるのはこれと同じものだ
 
どこのお店なのか等々は何もわからない
 
にゃんが言っていた伏見稲荷大社のお狐様ということしか判らない
 
緊急事態宣言も解除されてできれば京都へ行きたいと思っている
 
この狐面に出会えないかと思っている
 
手に入ったらにゃんと繋がれるんじゃないかと思っている
 
GoToトラベルが再開したらなんとか行けるといいのだけれど
 
無駄遣いってにゃんに怒られるかもしれない
 
まだ悩んでいる