春が来て思い出す | 紗奈

紗奈

急性骨髄性白血病(M7)を発症し1年3か月の闘病の末天国へ旅立った娘を持つ母親の患者家族としての記録

少し暖かくなってきたと感じてからすぐに桜の開花宣言

 

ほとんど外に出ない生活が続いていたけれど窓を開けると確実に春の匂い

 

 

気分転換に始めたウォーキングにも出られなくなるくらい体調が悪い

 

春だから

 

にゃんが旅立ってしまった春が来たから

 

 

窓の外の景色も匂いも逝ってしまったにゃんを解剖のために病院へ置いて一人泣きながら帰ってきた日と同じで

 

何も考えないようにしていてもすぐにあの日々に引き戻される

 

 

病院からの緊急の電話

 

飛び乗ったタクシー

 

奇跡的に交わせた会話

 

握りしめた手

 

0になったモニター

 

一瞬で青黒くなった顔

 

少し開いた口元

 

 

 

朝も昼も夜も泣いて泣いて目の奥が痛いし頭が割れるよう

 

 

体調が悪くなると少しはにゃんの辛さに近づけてるだろうかと考え、比べ物にならないくらいの苦しさだっただろうことにまた胸が引き裂かれる思いがする

 

 

自殺するなというにゃんの遺言が重苦しくまとわりついてくる

 

いつかはその言葉に感謝できる日が来ると思う

 

でも今はただただその言葉に苦しさを感じている

 

 

会いたい

 

声が聴きたい

 

 

帰ってきたよって

 

ただいまって

 

 

 

 

もう二度とお帰りは言えない

 

寂しい

 

苦しい

 

 

お願いだからにゃんを返してください

 

あの頃に戻してください

 

誰に頼めばいいですか

 

何をすればいいですか

 

 

 

どうにもならないことを延々と考えている