「10 Years Ticket」は初めて全てに字幕をつけさせていただきました。
初めてということもあり、至らない部分が多く、気まずい日本語もあったと思いますが、「10 Years Ticket」と主演したOhm Tuを応援している方に、日本語でシリーズを楽しんでもらえたら、という思いで翻訳に至りました。
(もしSanaより先に翻訳作業をしようと思っていた方がいらしたら、すみませんでした)
Sanaの考察ですが、ネタバレ含みますので、まだ見てない方、完走してから戻って来てください✨
全話まとめてあります。こちらからどうぞ。
16話全て、内容どっしりの重めのドラマでしたが、家族の愛と憎しみ、絆が描かれた素敵な物語でした。
家族の愛の物語なのは間違いない。
でも描写が少し生々しかったり、その愛を再確認するまでの過程がまた心苦しかったり。
憎しみが、愛が、記憶が、このドラマの象徴とも言える、映画のフィルムを通して視聴者の私たちのところに届きます。
翻訳をしていく中で、タイ語のタイトル「หนังรักเรื่องที่แล้ว」はドラマの中に出てくる「Previous Love Film」→昔の愛の映画・フィルム をどう訳すか、かなり迷いました。
映画と訳しましたが、本当は「記憶・思い出」と訳したかった。
でもそう訳したら伝わらないかな、あるいは記憶と訳したら逆に伝わらないかな、と色々考えて「映画・フィルム」のままで行きました。
何度も「フィルム」の例えが出てきて、フィルム映画が彼らの生活の一部になっている以上、そのフィルムに自分の記憶、経験を残していく。
でも10年前に刻んだそのフィルムは、こじれていて、憎しみと勘違い、悲しみに溢れた、醜い物語だった。
それを何度も何度も再生している、とYoおじさんや、Piakが言っていたんですね。
でもようやく10年経って、お互いの関係を変えよう、昔のように愛することを大切にしよう、と思えた時に、その10年前に刻んだフィルム、記憶はそこで打ち切り、新しいフィルムに新たに記憶を刻むことにした。
今までの生活も、恋も、愛も、何もかも、新しい映画にフィルムに刻もう、そう決めたのが最後、SantiとSaiが会話をしている時に、現れていたと思います。
ドラマ中に出てくる、「Previous Love Film」。その「Love 」という単語でも悩みました。
最初は、MaiとLuk、SaiとPinの恋を例えているのだろうと思い、「Love」を「恋」と訳しましたが、またまた最後のSantiとSaiのシーンで、「あ、これは愛のフィルムだったんだ」とすごく納得しました(Sanaだけこんな遅いのかも555)。
ここで例えている「Film」は結局4家族とそれに関係するPiakおじさんや他の人たち、全ての記憶と経験が込められていて、そしてその「Love」もMaiとLukだけではなくみんなの「Love」、つまり愛だった。
「Previous」以前→そうつくのはやはり10年前の愛と、新たに刻もうとした愛はやはり別物だから。
SaiとLukが仲直りしていたり、PinはSaiにあるべき道を歩んで、と背中を押したり、PhukaoとKongkwanの恋がMaiとLukとは違い成功したり、と同じようで違う愛が10年たった時には生まれていました。
最初の方にSantiが「メナムの残照」というフィルム映画を上映しましたが、あれは4家族が幸せな時でしたよね。
そして最後にまた「メナムの残照」が上映されてて、またあの幸せな関係が戻って来たんだ、とウルっと来ました。
英語に「(Life) come(s) to full cirle」という熟語がありますが、それは「紆余曲折などを経て一周して元に戻る」という意味。
「メナムの残照」とあのMaiが持っていったPhukaoのおもちゃから始まり、様々な困難と挫折を繰り返した先にあったのが、「メナムの残照」とあのおもちゃだった。
その元の戻し方にも涙を誘う、グッとくるものがありました。
なかなかズッシリくるドラマなので、またすぐ見たいという気持ちにはなれませんが、なかなか明かされない犯人と、疑いがかけられる人が移っていく感じが、見ていて面白かったです。
なんせ、監督は「Who Are You」や「Home School」を手がけたFonさん。
Maiが亡くなった原因となる人が明かされるまで、本当に誰か検討がつきませんでした。
複雑な人間関係がとてもよく描かれている気がします。
でもただの恨みと憎しみの繰り返し、というわけではなく、SantiとPhukaoがわかりあう所、究極の愛を見せたLuk、おばあちゃんとPluのシーンと感動する場面もたくさんあって、どのEPもティッシュが必須。
個人的にPiakさんは影のヒーローだと思っています。
自分の命を危険に晒し、大切な人たちを守る。
ドラマ視聴中は、正直いい人なのか、悪人なのか、わからなくなりましたけど、これ以上、誰も犠牲にしまいと自分を犠牲にしたのがとても印象的でした。
ただ、もうそばにいない、という事実を知ったSorのことを考えると、少しだけ胸が痛かった。あの咽び泣く様子に、こちらももらい泣き。ガンスマさんの演技は素晴らしかったです。
俳優陣も素晴らしく、脚本も良いので、重いストーリーOKで、感動したいなら、ぜひ見てほしい作品です。
そうでない人もぜひ見てみてください。