去る3月7日に行われた、大和市議会第1回定例会一般質問の原稿を公開します

長文になりますのでご理解ください

 

○25番(小倉隆夫議員) 会派自由民主党の小倉隆夫です。

それでは、質問通告書に従い順次質問してまいりますので、理事者側におかれましては明快な御答弁をよろしくお願いいたします。大項目は2つです。大項目ごとに行いたいと思います。

 

 では大項目1、本市における異次元の少子化対策について、年始から岸田文雄総理が異次元の少子化対策なる政策を掲げました。異次元とは、次元の異なる世界、通常とは全く異なる考え方、またはそれに基づく大胆な施策など、かつてない少子化対策を打ち出すキーワードを述べたものと捉えています。そして、東京都の小池都知事からは、国に先んじて、都内の子供1人当たり月額5000円程度の給付金の支給政策を打ち出すなど、とてもインパクトのある少子化対策を打ち出してきました。2022年に生まれた赤ちゃんの数、出生数は前年比5.1%減の79万9728人で、1899年の統計開始以来、初めて80万人を下回ったことが2月28日、厚生労働省の人口動態統計で分かりました。国内の外国人などを除き、日本在住の日本人だけに限れば77万人前後となると見られ、1980年代の約半分の水準に落ち込むなど、深刻なものとなりました。

 このような人口減少が訪れると労働人口の減少、それは国力の衰退を映し出すもので、日本社会にとって各分野における次代の担い手がいなくなることなど、社会の存続すら危うくなることを意味し、為政者としても最も責任が問われる社会問題に発展しています。日本の出生数は第2次ベビーブームの1973年には209万人でしたが、その後は減少傾向が続いています。ここに来て明らかに少子化が加速していることは顕著で、この80万人の割り込みが岸田首相の異次元の少子化対策や小池都知事の1人当たり月額5000円給付の施策を動かしたのは間違いないと思います。

 

 岸田首相が掲げた異次元の少子化対策とはどの程度のものなのか。

大枠の政策は、1、児童手当など子育て家庭への経済支援強化、

2、産後ケアや学童保育への支援、3、子育て関連分野の働き方改革推進などが盛り込まれていると見られます。

 

 さて、本市におかれましては、地方自治体の人口数が全国的に減少している中、総務省の調査において、本市の人口増加数が全国1700以上ある全ての市町村と特別区の中で8番目に多かったことや各種ランキングでも上位に入るなど、子育て世代と言える20代から40代の転入が多く、特に北部地域には大型集合マンションや宅地開発による戸建てが多く建設され、県内市町村においては2番目に人口密度の高い本市となっています。子育て王国大和市、子育てに手厚いとされる本市における異次元の少子化対策について市長はどのように捉えているのか、中項目の1、市長に御所見をお伺いしたいと思います。

 

 続いて中項目の2、学校給食について、本市の最初の学校給食は昭和34年に林間小学校で、主食が脱脂粉乳とおかずによる完全給食が実施され、単独調理校として始まりました。

 

私は林間小学校出身なので、牛乳ではなく、脱脂粉乳の洗礼を受けまして、脱脂粉乳で栄養を補いました。思い起こせば半世紀以上前になりますが、クラスで給食当番になると、白衣とマスク、白い帽子をかぶり、アルマイトの食器や食缶容器など、個々に配膳をした記憶があります。林間小は単独調理校だったので、調理室の前には本日の献立が展示され、厨房室から調理の匂いと共に、いつも楽しみにしていました。先割れスプーンや献立では鯨の唐揚げや揚げパンなど、半世紀以上前の思い出がよみがえってきます。平成22年4月からは、学校給食の改革として、食器の材質をアルマイトから樹脂製食器に替え、先割れスプーンは廃止され、箸を導入するなど、また、米飯給食の回数を増やすなど、より充実した食環境になりました。

 

 さて、現在の学校給食の調理方式は、単独調理校は8校、共同調理場受入れ校は小学校11校、中学校は9校で運営されていますが、本来であれば学校給食は、食育の観点から鑑みると、調理する側と食べる当事者、児童生徒たちが互いに交流するような仕組み、いわゆる各学校に厨房が完備された単独調理校が望ましいと思いますが、現実には難しいことは承知をしております。作ってくれている栄養士、調理員の方へ感謝し、食べてくれている児童生徒から、いつもありがとう、おいしかった、作り手と食べる側の可視化による食育の意義があると思います。

 

 中項目2、学校給食について、小項目の1、食育に対する考え方について御所見を求めます。

 続いて小項目の2、地場農産物の利用状況について、学校給食における地産地消の取組については、学校給食は児童生徒の生活習慣の中に溶け込み、食の安全が担保されなければなりません。給食の食材に地場農産物を取り入れることは、食育という観点からも、児童生徒たちにとって食を身近に感じますし、作物を作る側と食べる側双方にとってプラス要素が高い仕組みだと感じます。自分たちが住む地域農家の人が作った農産物であれば、安心感と親しみが湧き、地域への愛着も深まると思います。学校給食で地場農産物の利用を高めることは、児童生徒にとって食を身近に感じて、食生活について正しい理解を深め、望ましい食習慣、いわゆる食育を学ぶことができるなど、その効果は大変大きいものと思います。市内の農産物生産に従事されている農家の方とはどのような関わりがあるのか、地場農産物の利用状況についてお伺いします。

 

 続いて中項目の3、小学校給食費無償化について、公立の小中学校で給食費を完全無償化する動きが全国各地で広まりを見せています。これまで比較的人口規模の小さい自治体が給食費無償化を実施していましたが、令和に入り、人口が多い市区にも広がりつつあります。お手元に配付したグラフを見ていただきますと、これは2月22日発行の日本農業新聞からのデータグラフです。2022年度に給食を無償化した自治体は全体の28%、約3割近くが実施しているとのことです。近年の物価の高騰などを背景に、経済支援策として一番有効なのは学校給食の無償化だと思われる表れだと感じます。

 

 文科省の2021年度の学校給食実施状況等調査によると、給食費は全都道府県の公立小中学校で過去最高で、2018年度、前回の調査に比べ3.4%の食材の値上げがありました。これは食材費の高騰によるもので、子育て世帯への負担がのしかかっています。本市の人口24万人より多い約35万人が暮らす大阪府高槻市では、今年4月から市立中学校の学校給食費の完全無償化に踏み切ったようです。高槻市によると、中学生になると部活動や習い事など家庭の負担が増えることから、子育て支援として給食の無償化が一番効果的と判断したようです。さらに、東京都内で給食費を無償化する方針を打ち出す自治体が相次ぎ、NHKの調べでは、23区の新年度の対応をまとめたところ、8つの区が給食費を無償化する方針で、無償化する方針の区は、小中学校は、中央区、台東区、品川区、世田谷区、北区、荒川区、葛飾区、中学校のみは足立区。このように人口24万の本市と同等の自治体が無償化へシフトしています。このように、子育て支援策として一番ありがたい、目に見える現物支給が有効ではないでしょうか。

 具体的に本市の現在の小学校の給食費は、4260円掛ける11か月で年間191食と換算すると1食当たり245円です。ちなみに、中学校は280円です。小学校総児童数から割り出すと、年間の給食費はおよそ5億6000万円となりますが、国からの交付金などを活用することで、自主財源を抑えることができます。子供を育てることは未来の日本を支える人材を育てることであり、社会全体で支えていく必要があります。中でも食は重要であり、将来にわたり健康であり続けるための源の一つとなります。子供の成長を社会全体で支える施策の一つとして、子供たちの安心で充実した食の環境を整える取組を進めるため、学校給食の無償化を実施すべきと考えます。

 

 では、質問します。中項目の3、小学校給食費無償化について、

小項目の1、現在の保護者負担について、小項目の2、給食費無償化について。

 これで1回目の質問を終わります。

○議長(中村一夫議員) 答弁を求めます。―市長。

〔大木 哲市長 登壇〕

 

○大木 哲市長 小倉議員の御質問にお答えします。

 1番目、本市における異次元の少子化対策について御質問がありました。1点目、本市における異次元の少子化対策についてお答えいたします。

 国においては、経済社会の持続性と包括性を考える上で、子ども・子育て政策を最重要政策と位置づけ、従来とは次元の異なる少子化対策を実現すると示しております。全国的に進行する少子化や人口減少につきましては、本来国が対策を講じるべきものであることはこれまでも申し上げてきたとおりでございます。この喫緊の課題への対応には一刻の猶予もありません。もはや緊急事態。地震時のサイレンではありませんが、今、鳴っていると言っても過言ではないのではないかと思います。私は、子育てしやすい環境を整えることが、ひいては少子化対策にも効果があるものと考え、市長就任当初から、働きながら安心して子育てができる環境の整備や子どもの医療費助成の対象拡大など、本市ができる様々な子育て支援策を積極的に進めてまいりました。しかしながら、少子化対策は長きにわたって継続されて、やっと効果が実感できるものと捉えており、私としては、まさに今こそ国が長期的な展望の下に、これまで実施してこなかった大胆な施策を実施する必要があるときであると考えております。

 総理のおっしゃる異次元の少子化対策を超える大胆な施策を実施する必要があると考えております。そうでないと、この国は、100年後、とんでもない方向になっていることは間違いないと思います。人口問題は80年サイクルと言われておりますけれども、100年後は相当ひどい状況になっているのではないかと思います。

 そこで、例えばの話ですけれども、お子さんが1人生まれた場合、1000万円を給付と言ったら、大胆な施策だと思う方も多いと思います。しかしながら、メディアの試算でありますけれども、中小企業に勤めている方が一生涯で納める税金は住民税と所得税を合わせて3000万円弱、2800万円であります。お子さんが1人生まれたときに仮に1000万円、国がぼんとそのお子さんにお支払いになったとしても、そのお子さんは3000万円近い納税をしてくれるわけです。長い目で見ればプラスの効果のほうが全然多いわけです。目の前のことだけ考えていると、小出しになります。これでは、この国の将来は、100年後はどうなるのでしょうか。

 また、お一人生まれれば、生きていく中では、裸で生まれても、裸で死んでいくわけではないわけです。服を着たり、食事をしたり、家を建てたり、車に乗ったり、電車に乗ったり、様々なところで消費活動を行うわけでありますから、内需の拡大に大きな効果があるわけであります。経済の最も中心は内需です。人口が減ってしまえば、その内需が細ってしまいます。輸出に頼ったとしても、内需が細っていれば、申し訳ないですけれども、何かのきっかけにあっという間に崩れていってしまいます。

 今述べさせていただいたように、内需の拡大に大きな効果があるものと捉えています。それもまさに今、瀬戸際、分水嶺に来ているわけであります。出生後に1000万円を給付することにより出生率が向上するならば、仮に赤字国債を発行することになっても、これは将来への有効な投資と言えるのではないかと思います。赤字国債は将来にツケを回すなどと思われる方もいますけれども、先ほど言ったように、1000万円投資したとしても、3000万円近い納税をしていただけるのですから、これほど手堅い投資はないわけであります。このまま少子化、人口減少が進むのを小手先だけの、いわゆる異次元の少子化対策。本当の異次元の少子化対策でなく、名前だけの異次元の少子化対策として、小出しにやっているようだと、このまま少子化、人口減少が進むのを手をこまねいて見ていることは、将来にいかんともし難いツケを残すのではないかと思います。先ほど議員が東京都の事例をおっしゃっていましたけれども、そんな小出しのことでは何にも改善しないですよ。それこそそういう小出しのことばかりやっていると、小出し小出し、小出しで、気づいてみたらとんでもない事態になっているのではないかと思います。

 さらに申し上げますと、全出生数に占める婚外子の割合につきまして見ていきますと、日本は御存じのように婚外子は2%ですよね。韓国とか、台湾とか、儒教の国というのは婚外子が非常に少ないですよね。だから、これから先、台湾も、韓国もそうですけれども、合計特殊出生率も1を切ってしまうような状況ですから、相当人口減少になっていくのではないかと思います。それに対して、全出生数に占める婚外子の割合、アメリカ、イギリスは、100人生まれてくれば40人が婚外子です。日本は、100人生まれて、婚外子はたった2人です。オランダ、デンマーク、スウェーデンは50%、2人に1人は婚外子です。日本は100人中2人です。フランスに至っては60%台であります。日本は2%であります。日本も西欧諸国の一角だと言うならば、アメリカ、イギリス、オランダ、デンマーク、スウェーデン、フランス、こういった国と同様の婚外子ということをもっと大きく考える時代ではないかなと思います。先ほど言った日本の2%と西欧諸国の主要な国とは、婚外子において大きな開きがあります。この開きの中にも、少子化対策のヒントがあるのかもしれません。

 また、私は、人口減少対策をすることが最大の国防ではないかと考えています。過去の歴史を見ていただければ、どんな国が攻め込んできたとしても、仮にいっときは負けるかもしれません。しかし、人口が1億人いた国は必ず復活しています。人口が1億人いた国の制覇を行った国は一つもありません。巨大な軍需産業にお金を使うこともいいかもしれませんけれども、やはりこの人口こそが最大の国防であるということは言うまでもなく、歴史が、事実が物語っているところでございます。もはや待ったなしです。外科的処置をするときに来ています。今このしっかりとした外科処置をしなければ、病巣はどんどん大きくなります。小出しでもって、小出しで小出しで、小出しでやっていても意味がありません。やるか、やらないか。今本当に、本当に緊急事態にあるということを国のトップの方々は真剣に考えていかなければならないと思います。

 我が国の歴史においても、これだけ出生数が一気に減少している時代はございません。天然痘が発生したとき、飢饉のとき、あるいは太平洋戦争で多くの方が亡くなったとき、どの時代を見ても、これほどの人口減少の時代は、我が国は経験していないのであります。今こそ大胆な発想、今こそ外科的な処置が求められている、今やらなかったらもう手遅れです。それができるか、できないか。国のトップの決断にかかっていると私は思います。

 その他につきましては関係部長から答弁させます。

 

○議長(中村一夫議員) 続いて、補足答弁を求めます。―教育部長。

前田剛司教育部長 登壇〕

○前田剛司教育部長 2点目、学校給食についての1つ目、食育に対する考え方についてお答えいたします。

 本市では、食育は生涯にわたって健やかに生活するための基本となるものと考えており、健全で豊かな人間性を育むことを目的として、学校給食における食育を推進しているところでございます。具体的には、できるだけ化学調味料を使わずに、手づくり給食を心がけるとともに、季節の食品や地場農産物を積極的に活用して、新献立や行事食、郷土料理等を取り入れているほか、学校給食展や親子料理教室を開催して、給食や食材等への理解、調整を図っております。また、栄養士等が小中学校を訪問し、授業や給食を通じて食事の重要性やマナー、望ましい栄養の取り方や地産地消など、食に関する指導等を行っております。

 

 2つ目、地場農産物の利用状況についてお答えいたします。

 地場農産物の利用につきましては、毎年市内生産者に季節や献立に合わせ、ジャガイモ、ニンジン、大根、長ネギなどの作付を依頼しており、今年度は総量で約9500キログラムが納入され、前年度と比較して約1300キログラムの増加となっております。学校では、これらの野菜を利用してヤマトン汁などを給食で提供し、子供たちに地場農産物を身近に感じてもらえるよう献立を工夫しております。

 

 3点目、小学校給食費無償化についての1つ目、現在の保護者負担についてと2つ目、給食費無償化については、関連がありますので一括してお答えいたします。

 小学校の給食費は月額4260円で、年間では11か月分で4万6860円となっております。給食費無償化につきましては、学校給食法では、給食に必要な経費のうち、食材の購入に要する経費については保護者が負担するものとされておりますが、社会状況等に鑑み、適切に判断していきたいと考えております。

 なお、経済的な理由により就学が困難な家庭への就学援助制度や、子育て支援としての第3子以降の学校給食費補助制度により、給食費の補助を行っているところでございます。また、物価高騰が続く中、保護者等への負担増とならないよう、令和4年10月から物価高騰相当分の補助を行っているところであり、令和5年度におきましても、当面の対策として令和5年4月から9月までの間について補助を行う予定となっております。

○議長(中村一夫議員) 発言を許します。―25番、小倉隆夫議員。

25番(小倉隆夫議員) 登壇〕

 

○25番(小倉隆夫議員) 先ほど市長から、本当に熱のこもった少子化問題、出生率の低下ですか。本当に緊急事態だと私も感じております。いずれ日本は滅びるのではないかというぐらいの速さの少子化という中で、先ほどの市長の出生したら1000万円。非常にこのアイデアはすばらしいなと思いますし、あまりにも大胆過ぎてびっくりする方も多いと思いますが、計算式を置いたら、税金を払っていただく金額から考えてみたら、確かにそのような金額。これもまた、本当に大木市長のグッドアイデアなのかなと私は感じました。ありがとうございました。

 公立小中学校で給食費を完全無償化する動きが今、全国的に増えている中、これまでは比較的規模の小さい自治体が目立っていたのですけれども、ここ最近、大和と同等の人口の多い市区にも広がっている特徴を伺いまして、物価の高騰などが背景にありますので、家庭の支出は今以上に負担がかかっております。市側の答弁では、社会の状況等に鑑み、適正に判断していきたいと考えているとの前向きな答弁をいただきました。小学校児童を多く抱えている多子世帯は家計のやりくりが大変だと思われ、経済的負担を軽減する一助になると思います。現実的な考え方として、財源の確保に関しては、各部局の予算要求編成をマイナス5%シーリング、新規事業は凍結するなど実際に実行されている自治体もあるようです。財源の確保に至ってはトップである市長の裁量を発揮する場であり、4月に統一地方選挙が行われる際、新市長誕生には、無駄な債務を抑えた子育て支援策に転化する施策をぜひとも実行してほしいと強く要望したいと思います。