竿貴作 万能渓流竿(ハヤ竿)・・・流石です。 | 惣治の日々

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「悠々として急げ」とは彼の巨匠 親父の呟き
開高健に憧れ・・江戸和竿に魅せられ
回顧録を兼ねて綴る
4代目竿治 参乃治会 惣治 

注文したのは2016年9月だから、約4年、待ちに待った、竿貴作の江戸和竿、本日受け取りました。

 

竿貴君の竿は、本物を求める人に人気で、注文を受けてから早くて2年、4年待ちは当たり前( ^ω^)・・・。

なぜか、注文を受けてからそれにぴったりの材料があれば比較的早く作れるが、なければ竹の手配、場合によっては竹の在庫に

ぴったりのがなければ自分で適合する竹の採取から始まるからだそうです。

 

ほんとに特別な注文があった場合(竹の種類、長さ、節数、固さ、重量、調子、等々・・・・)

竹を採取、油抜き等の原竹処理、晒し竹にするまで、最低2年はかかる。

 

受注後、実際に竹を切り出し、切り組む等の作業は、ほぼ2年後・・・・。上手く材料が見つからなければ見つかるまで待って頂くことになる。

当然、竹をお持ちの竿師や竹屋にも問い合わせて、あれば譲っていただくこともあるそうです。これが特殊だと、結構な高値で購入しなければならないこともあるのだとか。 予算次第だそうですが。

 

さて、本日竿貴君に届けて頂いた江戸和竿、2本組、ほぼ同じ調子で、2尺1寸切り6本継、3本仕舞、全長11尺。3.3m

ハヤ、ヤマベ竿

 

図らずも節揃え、ふ、し、ぞ、ろ、え の、組竿!

二本の竿の長さ、太さが同じであることはもちろんのこと、節の位置も同じ!!

 

節の入れ方が実に美しい。

自然界の中で、太さ、節の長さが同じものを揃えることがどんなに大変なことか。感謝である。

 

しかも、手元は矢竹の根堀。工作がどれだけ大変か、地下の根は真っすぐ下に伸びることはなく、

必ず横に跳ねているんです。それを真っすぐにする。貴重さと大変さは、やったことのある人にしかわからない。たぶん。

 

継ぐと、シャキッとして一部の狂いもなく真っすぐに矯められて、美しい。

 

竿貴君から

「竹は極めて良質で、矯めはしっかりとしていますので、これは狂わないですよ。」と太鼓判。

 

なお、竿の狂いとは、癖のある竹を真っすぐに矯めても、経年で戻ってしまったり、竹の繊維が矯めによって強化されるのだけど

この強化されるべき竹の繊維が、矯めが不十分で荷重側に曲がりが出て元に戻らないこと。

 

矯めは、備長炭の炭火を使って、竹の曲がりの矯正と繊維の炭化による強化を指します。

 

ここに材料の大切さと、矯めの技量、技術が現れるわけです。

「表面だけでなくじっくりと中まで火が入っています。」

と、嬉しいですね。

 

変わり塗りは、竿治一門、竿治の大得意のレンガ色の団十郎。

3本仕舞の3本は、線がきっちりと揃えてある。

この根堀は仕事の大変さとしっかりとした技術、がうかがえる。

良くこんな材料を見つけてきたもんだ。唸るしかありません。

穂先もすごく丁寧な仕事。アイで作ってあり、覆輪も丁寧に。

実際に使うときは、ここにリリアンを付けて、コブを結んでおくのが良い。

 

漆塗りは、手拭きで2回、拭き漆数回、一旦、てかり止めで、サンドペーパーを掛け、その後、拭き漆

その後、磨き粉で仕上げてあるとのこと。上質な質感と漆の美しさが際立ちます。

 

今回の発注の際に参考にした、竿治の竿、お店物で〇治の焼き印。

これが使い易くて、これと同じような長さと調子の竿を2本お願いしますと発注していました。

下の竿に比べると、調子はほぼ同じで

最初軽く振ると先調子だけど、しっかりと胴に乗ってきます。これがないと竿って折れるんですよ。

おそらく材料が上質な分、比較的肉厚の竹(こちく:古竹)を使っているのか、重量的には少し重いかな。

 

昔ながらの細い軟調竿は楽しい竿です。

 

 

 

竿貴こと、鴨下貴仁 君は、江戸和竿組合に入ったそうで。

名刺には「経産大臣指定伝統的工芸品」、「東京都知事指定伝統的工芸品」 江戸竿組合 の表記があります。

もう、竿師として独立して約10年。

幸いにして、お客さんには恵まれ、感謝しているそうです。

 

皆で、竿貴 応援よろしくお願いいたします。

 

お約束で、納品時に次の注文をお願いすることにしているので、今回「ヘチ竿」をお願いしました。

(本来なら・・・・自分で作れよ なのですがね。(´∀`*)ウフフ )

小値賀の防波堤で、ヘチ釣りができる日が楽しみです。

 

お終い。

 

 

追記:竿を受け取った後、手長エビ釣りでもと話していたのですが、多摩川は昨今の雨で増水し、川は濁り、流速も早いし

古枝等のゴミが流れるため、釣にならず、断念。

ちょいと際を探ってみましたら、真鯊が、ぶるぶると竿を引き込んでくれました。

さすがに、このサイズは数が出なきゃダメなので、すぐにリリースでした。

大きく育ってもらいたいものです。多摩川の鯊!!頑張れ

 

夕食を一緒に近くのファミレスでとり、JR蒲田まで送り届けて、一日は終わり。

 

竿談義など、楽しい一日でした。