~すてきなバレンタインデーを たくさんの愛をこめて~
部活が終わり、剣道場から出て校庭を歩く二人。
あやめ「なんでそうなるの?」
ひより「うん?」
あやめ「だから、なんでそうなるのよ?」
ひより「何が?」
あやめ「ひより。チョコレート、誰に渡したっけ?」
ひより「パパ~。」
あやめ「うん、陽幻先生。うるうるしてたね。あと?」
ひより「あやめ~。」
あやめ「うん、ありがとう。友チョコ嬉しかったわ。あと?」
ひより「叢雲と雫ちゃん。」
あやめ「うん、義理チョコと友チョコ!あと?」
ひより「みやび先輩と転校生の倭くん。」
あやめ「先輩と転校生にもあげてたね!で?」
ひより「雷~。」
あやめ「で?」
ひより「うん?」
あやめ「で?!」
ひより「う~ん?」
あやめ「なんで冬馬にあげないのよ~っ!!!」
ひより「え~?」
あやめ「仲良しメンツほぼほぼみんなに渡してるのに、
どうして幼馴染みの冬馬にだ・け!渡さないのよ!?」
ひより「あやめがあげてたじゃん。」
あやめ「それはそれ!あんたがあげることに意味があるのよ!」
ひより「だって、あやめ、
あやめ「愛の大きさに比例してるのよ。」
ひより「冬馬、他に貰ったって食べきれないよ~。」
あやめ「そんな心配いらないのよ!
ひより「なんでそんなに怒ってるの?」
あやめ「冬馬の顔、見てなかったの?あの表情!」
ひより「う~ん。見てなかった~」
あやめ「はぁ。もう、私のこの怒り、無駄な気がしてきた。」
ひより「うん?」
あやめ「あんたに伝わりやすいように言うね。
冬馬だけ仲間外れみたいでしょ!」
ひより「あ~・・・そっか~。
なんかあやめのチョコレートの大きさに惑わされて、
あやめ「私のせいかよ。」
ひより「冬馬傷付いちゃったかなぁ~どうしよう~」
あやめ「はぁ・・・これ。」
バッグから、可愛く包装されたチョコレートの箱を出す。
ひより「あ、チョコレート?」
あやめ「冬馬に渡したら?」
ひより「・・・まさか用意してくれてたの?」
あやめ「そ、そんなわけないでしょ?!
他校の友達にあげる分だったけど、特別に譲ってあげるわ。」
ひより「あやめ~~~ありがとう~~~!」
あやめ「こらこら抱き付くな!」
ひより「冬馬に渡してくる~!」
あやめ「はいはい、いってらっしゃい。」
ひより、剣道道場に向かい走っていく。
あやめ「はぁ。なんだかんだ、複雑だけど・・・
これでヨシ!
頑張れ私!今日もスーパー良い女!」
(イラスト:ぷるぷる。)