演技者.Honey Impactの稽古場!

演技者.Honey Impactの稽古場!

ファンタジーアクション時代劇を描く
「ファンタジーちゃんばら劇団『演技者.Honey Impact』」
の稽古場日誌です(^^)

楽しい仲間たちとの公演作り!
そしてボイスドラマ作り!

稽古場やレコーディングの様子などをお伝えしていきます!

once a year reunion.

~年に一度の再会~

 

百花繚乱絵巻より1年と数か月後

百花繚乱一座 芝居小屋

 

ゆり 「ということで、次回の演目は『七夕物語』で!」

 

座員たち 「はい!!!」

 

大気 「了解しました!」

 

下を向いたまま、何も言わない作土。

 

ゆり 「作土。あんた聞いてんの?」

 

作土 「あ?聞いてるよ~。」

 

ゆり 「じゃあ、なんて言ってた?」

 

作土 「あれだろ?来月から演目を変えるって話。」

 

ゆり 「だから、それがなんだって言った?」

 

作土 「それは、あれだよ。」

 

ゆり 「あれって?」

 

作土 「俺の単独ライブ。」

 

ゆり 「作土!!!」

 

大気 「作土さん!!」

 

作土 「はいはい、冗談だよ、冗談!

・・・で、何やるって?」

 

大気 「もう~しっかりしてくださいよ。七夕物語ですからね!!」

 

作土 「あぁ~、あれね。」

 

ゆり 「ったく。台本読んでおきなさいよ!」

 

作土 「はいはい。」

 

ゆり 「じゃあ、そういうことで。解散!」

 

座員たち 「はいっ!!お疲れ様でした~!!」

 

各々部屋を後にする。

 

ゆり 「作土、大気!二人にはちょっと相談があるから時間くれる?」

 

作土 「えぇ~~~~っ」

 

ゆり 「あからさまに嫌がるな!すぐ終わるから!」

 

作土 「じゃ、一服だけさせてくれ。」

 

ゆり 「しょうがないわね。行ってらっしゃい。」

 

作土 「帰ってこなかったらごめんね~。」

 

ゆり 「そん時は、お給料減額なんで。」

 

作土 「わっ!きたね!!」

 

ゆり 「いいから早く言って来い!」

 

作土 「へいへい。」

 

部屋を出る作土。

 

ゆり 「はぁ~。最近の作土は集中力がないわ~」

 

大気 「はい。でも芝居にはまったく影響ないですけどね。」

 

ゆり 「それがあいつの良いとこよね。プライベートと芝居はまったく別物。」

 

大気 「ほんとに。」

 

ゆり 「まぁ、去年はあんな戦いがあって、その後は気が張ってたんでしょうけど、そろそろ頑張ってた気持ちが途切れたんじゃない?もう一年過ぎたし。」

 

大気 「そうですね。

これまで、作土さん、何かを吹っ切るかのように芝居に打ち込んでましたもんね。妖し仕置き人もですけど。」

 

ゆり 「妖しの話に関して言えば、最近は事件も減って、だいぶ楽になってるけどね。」

 

大気 「そういえば・・・あ、翔さんのおかげですかね?」

 

ゆり 「そうだと良いわね。」

 

大気 「妖魔王に即位したんでしょうか?」

 

ゆり 「それはまだわからない。でも妖したちの現状を見ると、そうかもしれないわね。

人間界と妖魔界の未来のために、帰ったんだんもの。

きっと頑張ってるわ。」

 

大気 「・・・光くんは元気ですかね?」

 

ゆり 「光・・・ってまだあんた『君』付け?(笑)」

 

大気 「ははっ、中々抜けなくて(笑)

作土さん、会いたいでしょうね。」

 

ゆり 「・・・でしょうね。」

 

大気 「唯一の兄弟、翔さんは妖魔界。

愛する光くんは、刀を守る神子。

どちらも会えない存在・・・か・・・。

うぅっ!急に悲しくなってきた~~!!(泣)」

 

ゆり 「なんであんたが泣くのよ!!」

 

大気 「作土さん、頑張ってるな~~~って!!!(泣)」

 

 

一方、そのころ。

芝居小屋裏手で一服している作土。

 

作土 「ふぅ~・・・七夕ね。」

 

煙管を吹かしながら、夜空を見上げる。

欠けた月と星たちが共存している。

 

作土 「天の川・・・。

なんでそんなもんがあるんだろうな。

・・・ははっ。だっせぇ俺・・・

ふぅ~~~。」

 

煙草の煙がゆらゆらと宙に舞う。

そのとき、薄い月明かりが遮られた木陰から声がする。

 

 「川があるならば、橋を架ければよい。」

 

作土 「は?」

 

 「目の前の障害に臆すな。」

 

作土 「誰だ?!」

 

持っていた煙管を捨て、刀に手をかけ、鯉口を切る作土。

鯉口から少しだけ現れた刀身に月明かりが吸い込まれる。

 

「ははっ。久しぶりに手合わせと行きたいところだが、今宵は遠慮しておこう。」

 

そう言いながら、木陰から姿を現したのは、

 

作土 「か、翔!?」

 

翔 「弟の顔を忘れていなかったようで何より。」

 

作土 「同じ顔してんだ、忘れるわけないだろ?!」

 

翔 「そうだな。作土よ、久しいな。」

 

作土 「あぁ!にしても、どうして人間界に!?」

 

翔 「少し用があってな。」

 

作土 「用があってって。そんなんで妖魔界から人間界に来られねぇだろ?!」

 

翔 「驚くのも無理はないか。しかし、以前よりは進歩していてな。」

 

作土 「進歩?」

 

翔 「今、妖魔界は変革期を迎えている。」

 

作土 「変革期?・・・お前の夢が進んでるってことか?」

 

翔 「そうだ。約束したからな。

人間と妖魔が共存できる世界を作ると。

今はその一歩だ。」

 

作土 「翔、頑張ってんだな。」

 

翔 「・・・妖魔王に即位した暁には、世界は大きく変わる・・・。

否、変えてみせる。」

 

作土 「楽しみにしてるぜ。」

 

翔 「・・・では、また会いに来る。」

 

作土 「もう行くのか?」

 

翔 「妻を待たせているのでな。」

 

作土 「妻ぁ~~!?何!?嫁もらったのお前!?」

 

翔 「まぁな。」

 

作土 「え!?じゃあ、俺の義妹になるじゃねぇか!?

おい、会わせろよ~~!!」

 

翔 「すでに会っている。」

 

作土 「はぁ!?」

 

翔 「そなたも幸せになれよ。じゃあな。」

 

立ち去る翔。

 

作土 「お、おい!翔!?・・・行っちまいやがった。

・・・でも、元気そうで何より。

ははっ。あいつ、『また』って言ってたな。」

 

そう言って、煙管を拾い、慣れた手つきで刻み煙草を入れ替えると、再び火を点けた。

一息吹かし、星空を見上げた。

 

作土 「そなたも幸せになれよ~、か。

けっ、結婚した男の余裕ってやつか?」

 

「・・・さ、作土、さん。」

 

作土 「あん?」

 

かすかな女の声が聞こえた気がして、

星空を見ていた顔を正面に下げると、目の前にもう一人の会いたい人物が立っていた。

 

光 「作土さん、あの・・・」

 

もじもじとうつむき加減に、遠慮しがちな声を発している。

 

作土 「光?・・・・」

 

持っていた煙管が地面に落ち、パッと線香花火の最後のような火の粉が舞う。

 

光 「作土さん!お久しぶりです!」

 

光がやっと人並みの声を発したとき、

作土は光を抱き締めた

 

作土 「・・・なんで?なんで?」

 

戸惑いながらも抱き締める手は光の体を確かめる。

 

光 「作土さん・・・・・く・る・し・い!」

 

作土 「あ!わりぃ!!」

 

そういって腕を緩める作土

 

光 「はぁ~~~~」

 

息を整える光

 

作土 「わりぃ、大丈夫か?」

 

光 「あ、ごめんなさい!大丈夫、です!・・・」

 

作土の顔を見ると、頬を赤らめて、またうつむいてしまう光

 

作土 「お前、なんでここに?」

 

光 「・・・あ、そうですよね。ビックリしますよね。私、宝刀を納めてるはずですもんね。」

 

作土 「あ、あぁ。刀から離れて良いのか?」

 

光 「実は、翔さんのお陰なんです。」

 

作土 「翔の?」

 

光 「はい。あの宝刀、妖魔界の方たちが力を貸してくださることになったんです。」

 

作土 「妖魔が?どういうことだ?」

 

光 「地人刀は、人間界と妖魔界をつなぐ宝刀じゃないですか。

元々は、人間と妖魔、両方が守り、納めていたものらしいんです。

それがいつのまにか、人間の神子だけが守るようになって。」

 

作土 「へぇ~」

 

光 「だから、大昔は妖魔界にも刀の神子がいたんです!驚きました!

それを、翔さんが調べて、神子の一族の末裔も探してくださって。」

 

作土 「じゃあ、光はもう?」

 

光 「いいえ。

その一族の力は弱くなってしまっていて、刀を納めるのは、まだ一日が限界なんです。」

 

作土 「え?」

 

光 「でも、あの子たちの力が成長すれば、きっと・・・。

だから、今は、一年に一回だけ・・・、作土さんに、

・・・会いに、」

 

作土 「光!!」

 

光を抱きかかえる作土

 

 

光 「作土さん、会いたかったです!!」

 

作土 「俺も・・・」

 

空には天の川。

二人は、年に一度だけ会うことを許されました。

まるで、織姫と彦星のように。