安藤広大 リーダーの仮面 | 花の本棚

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読んだ本についての感想を載せています。
本を選ぶときの参考になれば幸いです

安藤広大 「リーダーの仮面」
著者の著書「数値化の鬼」「とにかく仕組み化」を読んだので、関連書籍の最後の一冊も読んでみました。

 


 
本書ではプレイヤーがリーダーへと立場が変わったときに何を考えればいいのかを書いた書籍となります。考えなければならないことが多すぎて悩みそうになるが、まず5つのことを考えようという主張が書かれています。紹介する5つを実施すると無機質なリーダーになるので「リーダーの仮面を被る」と作中では称していました。
大項目としては以下となります
 
①そもそも出世したくないしリーダーになりたくない、と考える人たちについて
 プレイヤーとして一生働く場合、プレイヤーのメイン層である20,30代たちと同等の業務量、勉強量、体力(健康)を維持し続けることが要求される。年老いてもそれらを維持するよりは昇格してリーダーとしての思考を学んだ方が給与、労力面でコスパが良い。
②リーダーとして考える5つのこと
 1. ルール
 言語化されたルールを作って職場での曖昧さを無くす。誰でも守れるルールを作り、破った人は「悪意を持ってルールを破った」と見なして守るように徹底する。
 2. 位置
 上下の立場の違いを部下たちにはっきり伝える。部下の個人的な事情を慮るのはリーダーの仕事ではない。
 3. 利益
 「このリーダーについていくと利益がある」と部下に思わせる行動をする。カリスマ性や人情で引っ張ると部下からは利益がはっきりしないので長続きしない。
 4. 結果
 業務の評価は結果だけでする。結果に対して発する言葉は以下だけでいい。
  達成:達成ですね、お疲れ様です
  未達:未達ですね、どうしますか?
 5. 成長
 5,10年後に部下が成長していることを考えて指示を出す。目の前の業務効率や利益は現場の部下に考えさせる。
 
といった内容になっています。
アジャイル開発など現代では「リーダーはもっと部下に寄り添わないといけない」が主流なのに対してそれらを真っ向から否定していくスタイルを提唱しているようでした。「1on1」「プロセスを重視した評価」「個々の事情の配慮」などといった流行りの取り組みも本書内で全部否定されていました。
こういった内容ではありますが主張そのものは納得できる点が多くある内容でした。特にリーダーやマネージャーに近頃要求される取り組みを納得できない方や、中小およびベンチャー企業のリーダーやマネージャーが読むと共感できるところが多いと考えています。私としては本書の内容そのままでは無機質すぎるので、それだったらAIにリーダーやらせているのと変わらないからリーダー自体が不要になるという考えになりました。ただ共感できる点も多くあったので、6割くらい取り込むのがいい塩梅でしょうか。上に書いた5つですと1.と5.は全体的に良くて、2.と4.は半分くらい取り入れるのが良いという印象です。
個人的に面白いと思ったのはリーダーの天敵についてのお話。なぜこの5つを徹底出来ないかというと「寂しさに耐えられないから」だと書かれていました。著者の経験上、耐えられなくなった結果リーダーとしての役目を果たせなくなる人が非常に多いそうです。それに対しての著者の主張は「私生活での人間関係の寂しさを会社で埋め合わせるな。会社はそういう場じゃない」とのことです。家庭での評価ボロクソだけど職場で慕われているのがアイデンティティなお父さんたちが全否定されているのは面白い。
 
リーダーやマネージャーをしているが部下がなかなか付いてこない、と悩む方にとって良い情報が書いてありそうです。
 
本書を読んで今後やってみようかと考えていることを書いてみます
①チームのルールを破るために自分ルールを勝手に作らない
「重要な仕事をしているから、自分は定型業務の納期などは守らなくていい」など自分の中でルールを勝手に作ってチームのルールを破る人は非常に多いそうです。これも上に書いた「悪意を持ってルールを破った」に該当するとのこと。
「〇〇さんと関わる業務はすべて拒否する」といった自分ルールを勝手にやっていたことが私もあったので、今後こういったことをやりたい場合は「全員の前で公表して合意が取れたらOK」としてみようかと思います。

②自分から報告を挙げる
報告は指示された側が自主的に報告するような業務体制になるのが理想だそうです。そうならないと上司側が確認する負荷が大きくなり、ちょっとでも怠ると「確認されないからその業務はやらなくていいと思っていました」と部下に言い訳させてしまうとのこと。
私は部下がいるわけではないので、まずは自分から報告上げる意識を持つようにしようかなと思い至りました。