市川哲也 「あの魔女を殺せ」
気になっていたけど去年読めなかった作品にさっそく手を付けてみました。
主人公の男性は世間で話題になっている三姉妹芸術家の新作発表の場である彼女らの屋敷に娘と共にやってきた。姉妹の三女が主人公に一目惚れしたことから何とか取り入って作品を入手する伝手を作るのが彼の依頼主の目的であった。彼女らが作成する人形にはグロテスクでありながらも人々を惹き付けていたが、その魅力は材料に人間の部位が使われているからではという疑いがかかるほどであった。主人公は技術というよりも込められた執念によって引き出されていると素人なりに感じ取っていた。
しかし新作が発表された翌朝に長女が殺害されているのを発見する。現場は大人が通れない程度にだけ開く窓以外は完全な密室であったことから、唯一窓を通れる彼の娘が犯人として疑われ始めるというお話。
オカルト系のSFミステリー作品となります。
帯に「館 X 密室 X 魔術」と書いてあるように登場する三姉妹は魔術を継承している家系という設定があるためSF系となります。この魔術が物語後半部分や真相、結末に深くかかわってくるという点から、ちゃんと楽しむのであればSF要素も理解する必要があります。とはいえ身構えるほど難しい話ではないので楽しみながら読めるのが見所となります。
ミステリー面はどうかというとかなり上手く作られています。事件の真相や登場人物たちがどういった思惑を持って行動していたかの点を推理していくことも出来る点も本作の見所でしょう。注意点としては上に書いたように魔術によるSF要素があるため、自分で推理してみたいという方はそこもしっかり理解して読む必要があります。
市川哲也さんの作品を読むのはこれが初めてだったので他の作品も見てみようかと思います。
SF系のミステリーとして非常に上手く出来ているので気になる方はチェックしてみてください。