前回のブログ、part1の続きです。
part1はこちらから
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Rubiが無事にデビュー戦を勝利で飾り、余韻に浸りたいところですが···
イベント進行でバタバタで。
全てを終わらせたときには、もうすでにTuanの入場数分前。
暗い階段の踊り場で、薄っすら汗をかいたTuanが一人座って待っていました。
ついに、夢にまで見た、憧れ続けたプロのチャンピオンになるための大舞台。
だと言うのに、
遊び尽くした子供のようにスッキリした表情。
彼のここまでの努力が、疑いようのない確かな自信になっているのでしょう。
でも、
彼の目に力強いパワーを感じました。
本当は、時間がないので慌てて最終動作確認をするとこですが、
僕も隣に座って少しおしゃべりをしました。
「なんでボクシング始めたの?」
「···強くなりたいから」
「なんでサムライジムなの?」
「···強くなりたいから」
「・・・」
「さぁ、ベルト取りに行こうか!」
最終動作確認なんて必要ないですね。
もう彼は出来上がってます。
この2年半、二人で毎日確認し続けてきましたからね。
入場口に向かう途中、自分の現役時代の頃を思い出してました。
選手のころ、僕の先生に言われたことがあります。
「強くなりたければ馬鹿になれ。周りのやつより1回でも多く、1秒でも長く努力しろ!馬鹿みたいに努力しろ。それをできるやつが天下とるんだよ。」
あんまり意味がわからずいたんですが、今よくわかります。
誰に言われるでもなく、それを実践してきたのがTuanでした。
センスもないのに
たいした才能もないのに
いつも、最後まで全力でした。
その努力が報われるのは、もう目の前です!
歓声のなか、リングイン直前に1回深呼吸したあと
「Just do it. you can do it.」
全てを込めて。
1R
作戦通り、ステップを踏みながら自分の距離を保つ。
すぐにリズム掴んだ彼は、最初のジャブ
それまでの前座の試合とはスピードもタイミングも違うのが伝わるのか、観客席から感嘆の声と拍手が起こりました。
たった1回のジャブに、彼の2年半が現れていました。
正直、僕はこの瞬間で"勝った"と思いましたよ。
相手が強い弱い関係なしに、このジャブで負けるわけがない。

慌てず、落ち着いて、すでに王者のような堂々とした戦い方
相手の連打にも臆することなく、自分のリズムを常に崩さない
ラウンド終盤、狙いすましたアッパーカット
この瞬間、次のラウンドで終わらす絵が僕は描けました。
もともとの作戦は、
倒さなくていい。
6Rの間、リスクを避けて確実に勝ちに行く。
でしたが、
あえてインターバルで彼に尋ねました。
「どう?勝負に出るか?不安はあるか?」
彼は何も言わず、ゆるく表情を崩しました。
チャンスの流れで作戦を変えてでも勝負を賭ける。
これはリスクがあり勇気のいる選択です。
でもそれを恐れずトライする経験が彼にはまだありません。
これを成功させれば今後の彼のキャリアで絶対大きな武器になる。
「作戦変更!このラウンドで倒せ!距離詰めてプレッシャーかけろ。
"左ボディーからアッパー、最後は渾身の右の打ち下ろし"
このコンビでいこう。できるよ。頭を振ることだけ忘れるなよ。」
これは、彼の必勝パターンを作るために二人で考えてきたコンビネーション。
一撃の力をつけるため、バランスボールを使って体幹を作るとこから、時間をかけて完成させてきたコンビネーション。
これがハマれば誰でも倒せる自信があります。
ゴングがなって、勢いよく立ちがる。
2Rは映像で。
パーフェクト!
これ以上ない、完璧です♪
いくら作戦を伝えても、試合中にそれを100%実行できる選手なんて、なかなかいません!
言われたことを確実に本番で出せるのは、紛れもなく日々の積み重ねであり、日頃からこの大舞台を常にイメージしてこれたから。
頭が上がりません。心の底から彼を尊敬します。

アマチュアのオープン戦すら勝てなかった彼が、自分の力でスターダムへと上り詰めました。
夢を叶えるのにセンスや才能は必要なくて。
想いと気持ち、それを実行する勇気があれば人生を変えられる。
彼はそれを証明しました。
自慢の教え子です。僕の誇りです。
そして、今回セコンドとしてサポートしてくれたサムライトレーナー陣、Hien, Phuong, Binh,
試合中に僕の指示をベトナム語で大声で選手に伝えてくれたHien
インターバル中、僕が選手に指示する邪魔をしないで、選手の呼吸に合わせてマウスピースを受け取り、洗ってまた選手の口に戻す。
とても集中力のいる作業です。
それを完璧にこなしたPhuong
タオルがない!手袋はどこ?水を取ってきて!
慌ただしい中で会場中を走り回ってくれたBinh
彼らは最高のチームです!
決して僕とTuanの二人で掴んだチャンピオンベルトではなく、みんなで掴み取ったものなんだと改めて感謝!
僕がチャンピオンを育てたんじゃないんです。
彼らに
"チャンピオンを育てたトレーナー"にしてもらったんですね。
ついに夢の一歩を踏みしめたTuan
僕の仕事はこれで終わりです。
あとはほっといても彼は上に行く。
行き方を彼はもう知っています。
あとは楽しみに見守るだけ。
彼が最後の夢に辿り着く瞬間を···
ポップコーンでも食べながら観客席から見届けるのが、僕の最後の夢です♪
ゴールに向かって
まずは、次のステージへ···
最後に
チームSamurai Boxing
誰がなんと言おうと"世界最強"です!













































































