「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)の左門 新です。

 

富山大学の研究チームが、新型コロナの特効薬開発につながる抗体の産生に成功しました。さまざまな変異株に有効なスーパー中和抗体と呼ばれるものです。どんな抗体なのか、日刊ゲンダイでのコメントを以下に引用します。

 

 新型コロナの特効薬になるのではないか――。富山大学の仁井見英樹准教授らの研究グループが作成した「スーパー中和抗体」が大きなニュースになっている。

 この「スーパー中和抗体」は、複数の変異株を防ぐ抗体で、英国型のほか南アフリカ型、インド型、南カリフォルニア型などへの効果が確認され、ブラジル型にも効果があると期待されている。ひとつの抗体で多種の変異株の感染を阻害できる最も理想的な抗体であるため「スーパー中和抗体」と名づけられた。

 研究グループは中和抗体の量が特に多い回復患者の血液からB細胞と呼ばれる抗体を作る細胞を抽出。このB細胞の遺伝子を組み替えて複数の変異株を防ぐ抗体の作成に成功した。

 きのう(16日)、同大の齋藤滋学長は会見を開き、「治療薬開発にとって大きなインパクトがある研究成果だ。研究成果で終わらせず、国民に使っていただきたい」と語った。

 研究を進めた仁井見准教授が言う。

 「スーパー中和抗体には2つの特徴があります。ひとつは複数の抗体を混ぜて作成する〝カクテル〟と違い、ひとつの抗体から作るためコストが抑えられること。もうひとつは薄い濃度でも強力な感染阻害力を発揮できることです。新型コロナウイルスに感染した軽症から中等症の人に投与した場合、重症化せずにすむと思われます」

 これから製薬会社と連携して、早期の実用化を目指すという。

「かなり画期的なことです」とはハーバード大学院卒で近著に「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)がある医学博士の左門新氏だ。

 「従来のワクチンは人に接種して体内に抗体を作らせる原理。一方、スーパー中和抗体は人の体を使わず、中和抗体そのものを人工的に作ります。もちろん発症の予防効果も見込めますが、実際はワクチンと違って、症状が出た人に投与するクスリとして使うことになるでしょう」

 国立国際医療研究センターは15日、変異株によってはファイザーのワクチンの働きが弱まる可能性があることを示す研究結果を発表した。新たな変異株が現れた場合、ワクチンが効かなくなる恐れがあると警告したのだ。

「このスーパー中和抗体は新たな変異株が出てきても、その都度、効果を発揮すると考えられます。変異株が登場するたびに人は右往左往してしまいますが、心強い味方が現れたといえるでしょう」(左門新氏)

 一刻も早く実用化してもらいたい。

 

 

「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)の左門 新です。

 

 新型コロナワクチンの2回の接種を終えたのに、感染したという事例が日本でも報告されています。この先接種を躊躇する人もいるかもしれません。でも、さほど心配は要らないと思いますが、日刊ゲンダイの記者による記事では以下のようなコメントとなりました。

 

 

兵庫の女性2人に陽性反応 新型コロナワクチン「2回接種完了」に落とし穴

 

 ワクチンを2回接種したのに感染した――。兵庫県で4日、新型コロナウイルスの陽性が確認された女性2人のうち、30代女性は6月1日に、40代女性は4月14日に2回目の接種を終えていた。30代女性は接種翌日に発熱し、PCR検査で陽性と判明したという。

 埼玉県でも先月、2回目の接種を受けた60代の医師が体調を崩し、検査の結果、陽性と判明。同県感染症対策課は「ワクチンで感染を完全に防げるわけではない。接種後も引き続き感染対策が必要」と注意を呼びかけている。

「そもそもワクチンはウイルスが体内に入るのを防ぐものではないのです」と言うのはハーバード大学院卒で近著に「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)がある医学博士の左門新氏だ。こう続ける。

「ワクチンの効果は、コロナウイルスが体に入った場合、発症を防ぐ、あるいは重症化を軽減するもの。発症していなくても、喉にウイルスが存在すれば接種後に陽性となるケースはあり得ます。ワクチンは2回目の接種の1週間後に体内に中和抗体が立ち上がり、2週間後に本格的な効果が出ると考えて欲しい」

 横浜市大が血液を採取して実施した研究だと、ファイザー社のワクチンを2回接種した人の99%に従来株に対する中和抗体が確認された。つまり従来型でも効果のなかった人が1%はいることになる。ちなみに、英国型は94%、インド由来の変異株は97%だった。

「米国ではワクチン接種を完了した約1億100人のうち、2週間後に陽性反応が出たのは1万262人。わずか0・01%です。この調査は血液ではなく、唾液などを調べたPCR検査の結果です。日本も同程度と考えられ、2回接種後も感染する人は、そもそもワクチンが効きにくい体質の可能性もあります。ただ、どんな人が該当するのかは医学的に解明できていない。ワクチンを打てば安心できるけど、過信すべきではありません」(左門新氏)

 2回接種を終えたからといって〝夜の街〟に繰り出そうなんて発想は、もってのほか。接種完了後もマスクと消毒を心がけたい。

「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」の著者左門 新です。

 

日本では、新型コロナワクチン接種はまず医療従事者を優先、次いで高齢者、その後基礎疾患を有する人、そしてそれ以外の一般の順となっています。管首相は7月中に高齢者の接種を終える方針と声高に叫んでいますが、すでに終わっていていいはずの医療従事者でさえ、2度の接種を終えた人は6割に止まっています。今日駅で配られた私の住む習志野市市会議員のビラによれば、高齢者の接種が済むのは9月になると書いてありました。一体どうなっているのでしょう。

医療従事者である私の接種も、当初より一ヶ月遅れ、その理由はワクチンが届かなかったからです。政府、マスコミは「打ち手」がいない、なので薬剤師にもなどと言っていますが、これはワクチン配布の不備の責任を隠蔽するためと思えます。ワクチン接種の注射そのものは、一人10秒もかからず、時間のかかるものではありません。むしろ、ワクチンの手配、配分、準備、会場の設置と運営、(あまり意味のない)事前の問診、接種後の15~30分の待機場所の確保などがスムーズにいかないことに遅れの原因があります。

 それはともかく、インドでワクチン接種の済んでいない医師が多数死亡したというニュースがありました。インド人医師の友人がいる私も驚きまましたが、日刊ゲンダイでのコメントを以下に引用します。

 

日本は大丈夫か?インド 医師1200人コロナ死の衝撃

 「インドで医師1200人死亡」――というニュースにビックリした人も多いはずだ。現地の医師会が30日までに明らかにしたことで、今月16日だけで医師50人が死亡。新型コロナがまん延するインドでは5月中旬までに医師の6割以上がワクチンを接種したが、死亡した1200人の医師らのほとんどが接種していなかったという。

 日本では2月半ばに、医師や看護師など医療従事者(約470万人)へのワクチン接種が始まったが、2回目の接種を完了した人は60%に留まっている(5月27日現在)。インドの二の舞となる心配はないのか。

 ハーバード大学院卒で医学博士・作家の左門新氏(元WHO専門委員)はこう言う。

 「心配なのは当然ですが、日本はインドに比べると爆発的な感染になっていないので、それほど危険ではないと思われます。一般の病院は患者の体温を計り、アクリル仕切り板やフェイスシールドなどを使用し、コロナ感染の疑いのある患者が来院すると、保健所に相談するようお願いしてクラスター感染を防いでいます」

 当初、政府は医療従事者へのワクチン接種が終わった後、高齢者への接種を行う方針だったが、内閣支持率をアップさせるために、菅政権は医療従事者の接種が終わる前に高齢者の接種を開始してしまった。その結果、一部の地域では、医療従事者用のワクチンが届かず、左門氏も最初の接種を1カ月も待たされ、4月半ばに受けたそうだ。

 「ワクチンの副反応を心配して接種に及び腰な医療従事者も存在します。ただ、国民を安心させるという意味からも、医療従事者は前向きにワクチンを受けたほうがいいと思います」(左門新氏)

 国の無策が国民の不安感を駆り立てている。

 新型コロナウイルス感染症は、糖尿病、高血圧、肺疾患、肝臓病などの基礎疾患や肥満があると重症化しやすく、死亡率も高くなることが知られています。

 なぜなのでしょうか? 女性自身でのコメントを以下に引用します。

 

 佐野史郎氏に発覚した腎臓機能障害は、実は国立国際医療研究センターが中心となって新型コロナ患者の情報を収集したデータベース「COVIREGI-JP」の最新データ(2月4日付)によると、重症で入院した患者の死亡率の1位になっている。

『感染症予防BOOK』(三笠書房)の著者で、元WHO専門委員の医学博士・左門新氏は、こう語る。

「今回のデータは科学的にリスクの大小を比較する解析法を用いていないので、必ずしもこの順位通りにリスクが高まるというわけではありません。とはいえ、参考にはなります」

 新型コロナが出始めた当初に重症化するとされた慢性呼吸器疾患の約4割を超えて、腎機能障害が5割にもなっています。

持病があって感染すると重症化や死亡リスクを高めること自体はデータも示しています

 腎臓の機能が低下すると、免疫も低くなりウイルス感染で重症化しやすいという。

「腎臓は血圧もコントロールするので、腎臓が悪いと高血圧になって他の循環器臓器に悪影響を与え、動脈硬化を進行させます。すると、血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞になるリスクが高まるのです」

 特に慢性腎臓疾患は、なぜなるのかまだ解明されておらず、よく効く治療薬もないという。

「腎機能の低下は自覚症状が少ないため健診データの把握が重要ですが、数値の変化が現れたときには悪化しているケースも多いです。50代以上の数%が慢性腎臓疾患になります。

そのため、尿検査と併せ、血液検査では“クレアチニン”の値に注意を。治すことはできなくても進行を遅らせることはできます」

 死亡率の2位は、固形悪性腫瘍、つまり“がん”だ。

「がんが進行すると消化器や肺、肝臓、腎臓など全身の臓器の機能が落ちるので、やはり重症化しやすい可能性があります。抗がん剤によっては副作用として体の機能が落ちるものがあったり、免疫が落ちるので重症化のリスクがあります」

3位は、慢性呼吸器疾患。コロナ流行直後から最も重症化を指摘されてきた持病だ。

「これは肺気腫を含むCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎などがその代表ですが、肺機能の低下で酸素交換が阻害され臓器に酸素が十分いかなくなります。ウイルスは肺に増殖して肺炎を起こすことから、呼吸器疾患の重症化リスクはかなり初期から言われていました」

 心疾患が死亡率37%で4位、5位に同約27%の脳血管疾患となっている。左門先生は、この2つの持病には共通点があるという。

「新型コロナ感染症は、全身の血管に障害を引き起こす『血管病』でもあるのです。血栓が全身の血管にできてしまい、心臓に起これば、これは心筋梗塞、脳に起れば脳梗塞となります。心疾患や脳血管疾患の持病のある人は、血栓が元来できやすくなっているので、新型コロナウィルスの感染でそれが助長されてしまうのです。心筋梗塞や脳梗塞の既往歴のある人も、同じ理由で重症化するリスクが高いのです」

 6位が肝疾患。健康診断で肝臓の数値が少しだけ悪いとか、軽度の脂肪肝などは含まれないそうだ。

「この肝疾患というのは、B型肝炎、C型肝炎、脂肪肝、アルコール性肝炎などで高度な肝機能障害や肝硬変になっている人です。肝臓は生体内物質の代謝を担っているので、これらの病気があると全身の機能が低下し、重症化するリスクが高いです」

 以下、糖尿病、高血圧、気管支喘息、肥満と続く。

「糖尿病があると免疫の働きが落ち、健康な人には感染を起こらさない病原体による日和見(ひよりみ)感染が起こります当然、このウイルスにも感染しやすく重症化するリスクも高くなります。また、動脈硬化にもなりやすいのです」

「高血圧も同じく動脈硬化により血管の壁がもろくなり、血栓ができやすい。高脂血症も同じです」

 「気管支喘息は、呼吸機能の障害によって感染すると十分に息が吐けなくなって、酸素交換が悪くなってしまいます」

「肥満は、脂肪細胞から出る様々なホルモンが炎症を助長したり、感染抵抗力を下げると考えられます」

 持病を抱える人々は、コロナ禍で不安になりがちだ。

「主治医と相談して薬をしっかり飲み、血糖値や血圧をコントロールしておくことが大事です」

三笠書房から4月に上梓した「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」に基づいての記事です。

 

インドで新しい変異株が現れ、一日の新規感染者が数十万人という大流行となっています。同じアジアの日本にもこの変異株が入ってきて、やがて大流行になるのではと危惧されています。大流行の理由として、ウィルスの増殖力と感染力が大きく関係すると考えられます。

 

この両方を同時に検討した実験研究に対する、その信憑性と解釈に関するコメントを日刊ゲンダイから以下に引用します。

 

インドで新たな「変異株」見つかる!初期変異株より感染力15倍の衝撃

 

 新型コロナウイルスの感染爆発に見舞われているインド。とうとう、1日あたりの感染者数は世界最多となる40万人を突破してしまった。感染力が強いとされる「二重変異株」が猛威を振るう中、新たな変異株の発見がインド国内に激震が走っている。 河野行革相なのに管轄外のワクチン担当 菅首相が兼務させた真の狙い  問題となっているのは、インドの細胞分子生物学研究所(CCMB)が発見した「N440K変異株」だ。最初に確認されたインド南東部アーンドラ・プラデーシュ州の頭文字を取って、「AP変異株」とも呼ばれている。 ■潜伏期間が短く、3~4日で重症化  衝撃なのが、その感染力の強さだ。地元の英字日刊紙「ザ・ヒンドゥー」(4日付)は〈AP変異株は初期の変異株より、少なくとも15倍も毒性が強い〉と報じ、ヤフーニュース(英語版)も〈二重変異株より強毒かもしれない〉と、危機感をあらわにしている。特徴としては潜伏期間が短く、感染すると3~4日で重症化する恐れがあるということだ。  N440K変異株は、二重変異株や英国型に取って代わられつつあるが、現地の専門家が先月30日に公開した論文(査読前)からも感染力の強さがうかがえる。ハーバード大学院卒で医学博士の左門新氏(元WHO専門委員)が論文を読んだ上で、こう解説する。 「N440K変異株が人に感染しやすいかどうか、ウイルスの『複製力』と『感染力』の2つの指標で論じています。実験ではN440K変異株の感染力が、それ以前の株に比べ10~1000倍高い。ただし、この数字がそのまま人の感染に当てはまるわけではありません。およそ1年前は複製力の強いウイルスが席巻していたが、その後、感染力の強い変異株に取って代わられたことが論文から分かります。N440K変異株は複製力が弱い一方、感染力は強いとみられます」  ウイルス量が少なくても、感染力が強ければ感染しやすい。複製力と感染力は必ずしも比例しないわけだが、この2つの“能力”に秀でた変異株が出てきたら厄介だ。 「この先、心配されるのが、世界で接種が進むワクチンが効かない変異株の出現です。新たな変異株に対応したワクチンに作り変えるのは簡単ですが、認可までに時間を要します。それだけ集団免疫の獲得に手間取るわけです」(左門新氏)  次は一体、どんな変異株が出てくるのか。