ワクチン接種は何回必要なのでしょうか。

 

 イギリスでは多くの人にまず1回とし、2回接種まで当初12週空けてデルタ株の流行を招きました。その後、この流行からイギリスなど3回接種が必要とする国も現れました。デルタ株だと1回で予防率は33%、2回だと88%と従来株に比べて予防効果が低いことが分かったからです。前回の記事に3回接種の詳細を日刊ゲンダイから引用しましたが、今回は一部重複しますが、女性自身での記事の一部、私のコメントを引用します。

 

 丸川珠代五輪担当大臣の、「1回目の接種で、まず一時的な免疫をつけていただく」という発言が波紋を呼びました。東京五輪ボランティアへの2回接種が間に合わないことへの記者からの指摘への返答です。1回である程度だいじょうぶともとられ批判を浴びました。

 

 デルタ株は日本でも感染が拡大しつつある。これについて、『感染症予防BOOK』(三笠書房)の著者で元WHO専門委員の左門新さんは、「デルタ株の感染力は従来の1.95倍と言われ、さらに日本人は重症化しやすいとも言われています。今、日本では、従来型からデルタ株への置き換えが進んでいます。秋には感染の9割がデルタ株に置き換わると予測されます」 

 デルタ株のほかにも、話題になっている変異株として、ペルーで最初に見つかったラムダ株もある。「ラムダ株はまだ研究が進んでいないのではっきりと言えませんが、ペルーやブラジルなどで猛威を奮っている状況を見ると、感染力が高いことは間違いないでしょう。抗体の働きを低下させるのではないかと推測されていて、〝ワクチンの効果が下がる〟のではないかと考えられています」(左門さん)。

 日本での感染例はまだないが、「日本に入ってくる恐れはありますし、東京五輪によってそのリスクは高まると思います」(左門さん)。

 すでに世界では広く普及したファイザー製やモデルナ製ワクチンはそれぞれ3週、4週後の2回接種が行われて一応終了でしたが、ここへきて3回目のブースター接種をする国が出てきました。なぜなのでしょう? 日本でもそうする必要があるのでしょうか?

以下に日刊ゲンダイでのコメントを引用します。

 

英国は9月開始、各国は検討中―ワクチン3度打ち

「ブースターショット」どこまで効果があるのか

 

 新型コロナ接種を2回接種した人にもう一度ワクチンを打つ〝3度打ち〟の動きが海外で広がっている。英国政府は70歳以上の高齢者や医療従事者などを対象に9月から実施することを発表した。その後、50歳以上と16~49歳などへ範囲を広げていく方針だ。

 韓国政府も接種回数を1回増やす方法の検討に乗り出した。いずれも2度より3度というわけだ。加藤勝信官房長官も、3回接種の必要性について「ワクチンの効果がどの程度の期間持続するか、検討する必要がある」と会見で答えている。

 どうして、こうした動きが出てきたのか。

 「理由は変異株への警戒感です」とは医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏だ。

 「ファイザー、モデルナのワクチンは従来型や英国型ウイルスへの効果は95%とされていますが、インド由来のデルタ株には効果が不十分。そのため英国と韓国で感染が再燃している。そこで3度目の接種をすることで免疫効果を高めようとしているのです。どれだけの効果を発揮するかは実施してみないと分かりませんが、3回打つことでワクチンの有効性が高まるのは間違いありません」

 規定の回数より多くワクチンを接種する行為は「ブースターショット」と呼ばれ、免疫効果を強化したり効力を延ばすために行われている。ハーバード大学院卒で近著に「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)がある医学博士・左門新氏によると、ブースターショットはワクチン接種が始まった数十年以上前から行われているそうだ。

 「たとえばインフルエンザのワクチン接種は大人の効果は40~80%ですが、2度目の接種をすれば10%アップします。子供の場合はもっと顕著で最初の接種の2~3週間後に2回目の接種をすれば30~40%の効果が40~80%に跳ね上がります。新型コロナについては、ファイザー社と英韓の両政府が2回の接種の効果が現行のワクチンでは1年以上続かないのではないか、またデルタ株への効き目が弱いのではないかと心配してブースターショットを検討したようです。当初の効力をさらに引き上げるのもさることながら、接種後に低下した免疫効果を再び押し上げるのもブースターショットの役割です」

 注射するワクチンの量は1回目、2回目と同量。副反応も従来の接種と同じだから、とくに心配する必要はないそうだ。いずれは日本でも3回打ちが実施されるのだろうか。

 「日本はいま接種が遅れ、ワクチン供給も心配されているので、そこまで考える余裕はないでしょう。英国と韓国の結果を見て、効果があるかを見極めてから検討すればいいと思います」(左門新氏)

 英国、韓国でどれだけ数字が上がるのか注目だ。

 

 「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)の出版からの縁でラジオに電話出演しました。文化放送 斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!「ニュースフカボリ」http://www.joqr.co.jp/sakidori/です。前回のブログで前半の骨子の引用をしましたが、以下は後半部分です。

 

斉藤一美キャスター:デルタ株に加えてデルタプラスやラムダ株があらたに注目されています。

 

松井佐祐里アナウンサー:デルタ株やデルタプラス株とはどういうものですか?

 

左門 新:デルタ株は、ブラジル株であるガンマ株に次いでインドで起きた変異株です。日本でもアルファ株にとって代わって増えつつあり、7月頃にはアルファ株であるイギリス株を越えて9月に入った秋には新規感染の9割を越えるという試算もあります。

 

松井アナ:デルタ株にはどんな特徴があるのですか?

 

左門 新:デルタ株は、これまで株がさらに変異したもので、感染力が強いだけでなく、免疫力を低めて重症化がよりしやすく、若い人でも入院率が高くなります。また、ワクチン効果も低くなると思われます。

 

斉藤キャスター:では、デルタプラス株とはどういうものですか。

 

左門 新:デルタ株にさらにK417Nという新たな変異が加わり、免疫逃避という、抗体をできにくくする作用を持つとされています。日本でもこれまで37例が確認されています。イギリスではデルタ株がこれにとってかわりつつあり、イギリスの感染者数が増えている理由と思われています。

 

松井アナ:最後に、新たなラムダ株の特徴にはどういう点がありますか?

 

左門 新:これはペルーで発生した変異株で、ペルーでは4月以降の80%がこの株となっています。その後南米中心に29カ国に広がっています。感染力も強く、抗体の働きを低下させ、ワクチンの効果が4~5倍低下するという推測もあります。

 

このブログでは本番中の電話内容の骨子をより分かりやすく文字にしたので、多少の脚色はあります。

 

 

 「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)の出版からの縁で、ラジオに電話出演しました。文化放送 斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!「ニュースフカボリ」http://www.joqr.co.jp/sakidori/

から本番中電話取材があり、6月29日 16時42分から52分まで放送されました。この放送はラジオアプリで聴取できますが、その骨子を音声から文字にまとめて以下に引用します。

 

斉藤一美キャスター:ここへ来てデルタ株が日本でも増え始め、ラムダ株なるものも登場してきていますが、きょうはその点をフカボリしてみます。

 

松井佐祐里アナウンサー:最近三笠書房から、「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」を出版された医学博士の左門 新先生を電話ゲストとしてお招きしています。左門先生、まずお尋ねしますが、変異株はなぜデルタ株とか、ラムダ株と呼ばれるのでしょうか。

 

左門 新:そうですね、実はイギリス株も最近になってアルファ株と呼ばれるようになりました。インド株と呼ばれると、国への偏見や非難を生むとインド政府がWHOへ呼称の統一を求め、5月末からギリシャ語で呼ぶことに変更したからです。

 

斉藤キャスター:でも、なぜ英語やフランス語でなくギリシャ語なのでしょうか。

左門 新:文系含む科学分野の学術用語は、中世からラテン語が使用されてきたのですが、その語源の多くはギリシャ語なのです。ですので、医学でも体の部位や病名はギリシャ神話が元になっているものが沢山あります。その代表はよくご存じのアキレス腱です。

 

松井アナ:なるほどそうですか。でも最初のイギリス株がアルファ株で、4番目のインド株であるデルタとラムダの間には、イプシロンやゼータ、イータやシータなどがありますが、これらの変異株はあるのですか?あまり聞きませんが。

 

左門 新:懸念される変異株に対して、見つかった順にギリシャ語アルファベットを割り振っているので、もちろんあります。でも、それはマスコミがセンセーショナルに取りあげないだけの話しです。

 

斉藤キャスター:でも、どんどん変異株が現れると、ギリシャ語アルファベットは24だから、足りなくなってしまいませんか?

 

左門 新:WHOはその時点で新しい命名システムをとると言っています。

 

 この後、デルタプラス株、ラムダ株の特徴やそれらへの注意点へと話は展開していきますが、長くなるので、これらは次回に。

 

 

 

「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)の左門 新です。

 

新型コロナワクチンの予防効果持続期間について、政府内で不一致の見解が表明されました。ワクチン接種推進役の河野行革大臣が1年と表したのに対し、政府広報担当の加藤官房長官がそのようなデータはないと発言したのです。どうしてそうなってしまったのか、日刊ゲンダイでのコメントを以下に引用します。

 

河野大臣の発言を加藤官房長官が修正。ファイザー&モデルナのワクチン効果は1年続くのか

 

 新型コロナワクチンの効果をめぐって河野太郎行革大臣と加藤勝信官房長官が〝対立〟した。

 河野は20日のテレビ出演の際に「ファイザー製も、モデルナ製も、1年は持つ」と発言。ところが翌21日、加藤が記者会見で「長期の有効的データは十分に得られていない」として、有効期間が1年という河野発言に否定的な見解を示した。政府内で齟齬が生じた格好だ。いったい、どちらが正しいのか。

 今年5月、新型コロナの発症を防ぐ中和抗体について、横浜市立大学の研究グループが効果の持続期間を発表している。 感染から1年を経過した250人の血液を使い、中和抗体が従来型のウイルスをブロックする期間を調べたところ、1年後も抗体が残っていた人は、軽症・無症状の人で96%、中等症と重症の人で100%という高い数字が出た。変異型についても調べ、イギリス型に対して中和抗体が1年間続く人は軽症・無症状で79%、重症で95%。インド型では軽症・無症状で69%、重症で95%だった。

 ということは、河野はファイザーとモデルナのワクチンも同様の有効期間を示すと考えたのではないか。ハーバード大学院卒で近著に「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)がある医学博士の左門新氏はこういう。

 「両社のワクチンはmRNAを使ったものです。発症予防効果が高いことは間違いありません。ただ、これらのワクチン接種を完了した人の中和抗体が1年持つというエビデンスは取れていない。横浜市立大が調べた中和抗体と予防接種でできる抗体は違うので、現時点では同じ効果があるとは断定できないのです。河野大臣がつい口をすべらせ、加藤官房長官が否定ではなく、『まだ分からない』と修正したということでしょう」

 左門氏によると、従来のワクチンは効果の持続期間にばらつきがある。インフルエンザは半年、A型肝炎とB型肝炎は5年。破傷風、ジフテリアは10年、水痘は20年と大きな差があるそうだ。現下のmRNAワクチンはどうなるのか。

 「ファイザー製ワクチンは半年間、効果が持続することが分かっています。あくまでも個人的見解ですが、半年効いたものが一気に効果が激減することはありえない。むろん、効果はなだらかに落ちるでしょうが、1年~1年半は持つのではないでしょうか」(左門新氏)

 しばらくは1年に1回、接種を受けることになる可能性もある。